ヒロインは七罪   作:羽国

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デートアライブ LLB配信されましたね
暇だったなのでうっかりやりこんでしまいました。
☆3の七罪も折紙も引けて満足してます。

今回の衣装もAI生成しています。良ければどうぞ。https://www.pixiv.net/artworks/142503811


番外編:バニークリスマス③

Side 士織

 

 どうしてこうなったのだろうか?

 

 俺の周りには美九、折紙、琴里。みんなが座っている。

 美九の提案で今年はバニーガールでクリスマスパーティーをすることになったようだ。

 ちょっと、いやかなり変な気もするけど、みんなが嫌がってないならそれは別にいい。

 

 衣装の用意から料理の手配までラタトスクがしてくれたから、本当に贅沢なクリスマスだ。特に文句を言うこともなかっただろう。

 俺までバニーガールを着せられていなければ。

 

 突然神無月さんたちに拉致されたかと思えば、七罪に女の子にされてしまった。

 文化祭以来の士織ちゃん復活だ。

 

 男の尊厳なんてもうない。今はピンクのかわいらしいバニーガール衣装を着せられている。

 

「士織さん、元気出してください。お菓子美味しいですよぉ」

「あ、ああ」

 

 そんな俺を見て美九はとってもにこにこだ。

 

 美九自身もピンクと白のフリルいっぱいのバニーガールコスをしている。

 ときどき、そのこぼれんばかりの胸が揺れて目の毒だ。この身体だと反応することもないのだけが救いだろうか。

 

「ああ、士織さん。お肌すべすべでおっぱいも大きくて、とーってもかわいいですねぇ」

「ちょっと、美九」

 

 美九は元々女の子大好きな百合っ子。男の俺のこともちゃんと好きでいてくれるけど、ちょくちょく士織ちゃんを求めてくる。

 隣に座りながら二の腕をさすり続けている。その手は徐々に上っていて、いずれ肩や鎖骨にまで辿り付きそうだ。

 

「流石にそれはまずいって」

「そんなこと気にしなくていいじゃないですか?」

 

 美九が本気の目をしている。これはまずい。

 このままだと食われる⁉

 

「はーい、そこまでよ美九。公序良俗に反さないレベルって言ったでしょ」

「あ~ん、琴里さんのいけずぅ」

 

 ギリギリで助けてくれたのは琴里だった。手刀を振り下ろして美九を止めてくれた。

 

「全く、油断の隙もあったものじゃないんだから」

「ありがとな、琴里」

 

 琴里の手にしがみつき心から感謝を伝える。心なしか琴里がいつもの三割増しでかっこよく見える。

 

「ふむ、騎士(ナイト)の役目をすれば、後で士織を頂ける?」

「止めなさい、折紙」

 

 隣で恐ろしいことをつぶやいていた折紙。美九同様に琴里が手刀を振り下ろす。

 

「本当、性別を気にしない奴らは」

 

 マジで琴里がヒーローに見える。

 最近、朝起きると自分の貞操が無事か気にしちまうんだよ。周りの女の子がこれだから。

 

 美九と折紙を見ながら胸をなでおろしていると着信音が鳴った。

 

「はい、私だけど。どうかしたの、神無月?」

 琴里はいつもの調子で連絡を取っている。

 

「え、それ本当?わかったわ、すぐ行く」

 琴里は少し慌てた様子でスマホをしまう。何かあったのだろうか?

 

「トラブルでも起きたのか、琴里?」

「トラブルっちゃトラブルね。大したことにならないと思うけど」

 琴里は歯切れ悪そうにそう話した。琴里らしくないな。

 

「気になるならついて来れば?」

「この格好でか?」

 

 俺はピンク色のバニーガール衣装を着ている。万が一ご近所さんに見られようものなら、明日から針の筵だ。

 

「問題ないわ。玄関で片が付くから」

「そうなのか?」

 

 つかつかと普通に歩いていく琴里。その後ろについていく。

 俺たちが着いたタイミングで玄関の扉が勢いよく開け放たれた。

 

「呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじゃーん!」

「二亜⁉」

 

 現れたのは灰色のショートカットの少女、二亜だった。

 愛と狂三が連れてきた新たな精霊。そして、七罪攻略のときに助けれくれた子だ。

 

「あっ、士織ちゃんじゃないの?」

「うげっ」

 

 二亜は俺の格好を見て嬉しそうにする。そういえば士織ちゃんを見たいって言ってたっけ。

 よりにもよってこんな衣装を見られるだなんて。

 

「エッロい格好だねぇ。一枚いい?」

「よくねえよ⁉」

 

 普通のコスプレイヤーを相手にするように話す二亜。そんな感覚で取られてたまるか。

 

「いらっしゃい、二亜。囁告篇帙(ラジエル)で調べて来たのかしら?」

「そうだよ、琴里ちゃん。バニーガールでクリスマスパーティーなんて面白そうなことしてるから。あたしも思わず来ちゃったよ」

 

 二亜の天使は何でも知ることのできる囁告篇帙。俺たちのやってることを知るくらい朝飯前ってわけか。

 

「律義にバニーガールを着てきたみたいだし」

「そりゃそうよ。あたしは空気が読める女だもの」

 

 確かに二亜もバニーガール衣装を着ていた。金色のラインが入ったちょっと高級感のあるものだ。

 

「どうよ、少年。二亜ちゃんの魅力に欲情しちゃった?」

 

 そう言いながら二亜は腰に手を当てて身体をくねらせる。

 目のやり場に困る格好なのに、二亜の態度が全て台無しにしている。二亜を見ていると少しずつ心が穏やかになっていく。

 

 なんだろうなこれは?ちゃんとかわいいと思ってるのに、変な気分にはならない。

 

「キレイダヨ」

「なんか酷くない⁉」

 

 過剰反応する二亜。今までのどの精霊とも違う感じだ。

 この子もいずれ攻略しないとなんだよな。

 

「どうするんだよ琴里?」

 

 小声でボソッと琴里に確認する。

 二亜が来るのは琴里も完全に想定外のはずだ。封印してない二亜を招いても大丈夫なのか?

 

「別に心配いらないわ。精霊の方から来てくれるだなんて、願ってもないことよ」

「話がわかるね~。流石、ラタトスクの司令官」

 

 琴里の言葉を聞いて二亜は機嫌良さそうにする。

 

 本当にただパーティーに参加しに来ただけなのか。それとも何か考えがあるのか。

 俺には判断がつかないな。

 

「どうせ、狙いはあいつでしょ?」

 二亜の動きが一瞬止まる。核心でも突かれたみたいに。

 

「……本当に察しがいいね」

「あそこまでヒント貰ったらわかるわよ。だから士道に七罪を攻略して欲しかったんでしょ」

 

 琴里の追加の言葉に苦笑いをする二亜。すごく気まずそうな感じだ。

 

「どういう意味だよ、琴里?」

「気づきなさいよ、このボーフラ。そんなんだからいつまで経ってもチェリーボーイなのよ」

 

 琴里は毒を吐くだけ吐いて部屋に戻ってしまった。本当にどういう意味だろうか?

 

♦♦♦

 

「飛び入り参加者が来たわ。彼女にも参加してもらうつもりだけど、みんなも大丈夫かしら」

「みんなおひさ~。二亜ちゃんだよ~」

 

 二亜は手を振りながらニコニコしてる。パーティーに参加できて機嫌が良さそうだ。

 なんだかんだみんな歓迎している。特に反応が大きいのはあの二人だ。

 

「二亜さん、冬コミの方は大丈夫なんですか?」

「年末は来ないと思ってたんだけど」

 

 愛と七罪が専用席を離れて二亜と話している。二人ともに後は仲良くしてたみたいだからな。

 

「昨日まで描いてたよ。いや~、死ぬかと思ったわ。はっはっは!」

 高らかに笑う二亜。そんな冬休みの宿題みたいな。

 

「印刷所に迷惑かけてなくて安心したわ」

「スケジュール作ってあげた甲斐がありましたね」

 

 この二人は手伝いに行ってたのか。本当、お疲れ様。

 

「いや、本当感謝してるよ。サンキュー、マジ愛してる」

 

 二亜は神様みたいに拝み倒してる。口調こそ冗談めかしてるけど割と本気っぽいな。

 二人とも漫画描いてたし、いいアシスタントになってるんだろう。

 

「それじゃあ二亜もその辺に座って美九のお世話をしていてくれ」

 そして、俺を一人でいさせてくれ。みんなとは少し距離を置いていたいから。

 

 この格好がシンプルに恥ずかしいし。みんな際どい格好だから目のやり場に困る。

 

「そっかそっか、少年は思春期だもんね。おねーさんに任せなさい」

 察したようにうんうん頷いている二亜。物わかりが良すぎて逆に気まずい。

 

「二亜さん、前からお話したいと思ってたんです」

 目を輝かせながら二亜の手を握る美九。相変わらずその瞳は輝いている。

 二亜もかわいいもんな。

 

「いいよー、みっきー。そこでじっくり語り合おうじゃないの」

 そう言いながら二人はソファに座った。少し平和になっただろうか。

 

♦♦♦

 

Side 二亜

 

「しっかし、みっきーも面白いこと考えたね~」

 

 ラタトスクの周りには面白い子が集まってる。愛くんたちもなかなかだったけど、みっきーも負けてない。

 まさかバニーガールでクリスマス過ごそうだなんて。流石のあたしも考えたことなかったわ。

 

「そうでしょう、そうでしょう。女の子たちがあ~んな格好で私にご奉仕してくれるんです。もう溜まりませんよ、うへへ」

 

 そう言いながらみっきーはあたしのこともばっちり見ている。そこまでオープンだと一周回って尊敬の念を抱くね。

 残念ながらあたしのバストは80にも届かずに成長が止まっちゃったんだけど。みっきーにはあんまり関係ないみたい。

 

「二亜さんは飛び入りだったみたいですけど、自分で用意したんですか」

「ああ、これ?お世話になってる店から取り寄せたの」

 

 マンガの資料で色々お世話になってるお店。コスプレとか際どい衣装とか売ってくれてる。

 参加しないって選択肢はなかったからね。面白いイベントって意味でも、折角のチャンスって意味でも。

 

「それはそれは素晴らしいお店ですねぇ。ご紹介していただけますぅ?」

「いいよ。店長も太客を紹介したら喜んでくれそうだし」

 

 みっきーはあたしの衣装を見ながら艶めかしく笑ってる。ゆるゆりならぬガリ百合だね~。

 

「はい、あ~ん」

「ん~、美味しい」

 

 そうして話しているとなっつんと愛くんの声が聞こえてきた。

 二人はこの部屋の中央で二人だけの世界を作ってる。

 

 お菓子の食べさせ合いなんて、ベタなことしちゃって。

 

「本当、嫉妬もできないくらい仲いいね」

 

 以前から思っていたことではあるけど、改めて思い知らされる。踏み込む余地がもうないんだよ。

 戦ってもいないけど負けちゃった。あたしの気持ちはこのまま沈めてしまうべきなんだろうね。

 

「そうですよねぇ。私もお二人をまとめて美味しく頂きたいんですけど」

「おおぅ、みっきーは強いねぇ」

 

 横恋慕がダメなら二人まとめて頂いてしまおうと。一部の界隈から魔女裁判にかけられそうなことを。

 

「いや、でも女の子ならいけるのか?」

 

 男が百合の間に挟まったら殺されちゃうだろうけど、今ここにいるのは女の子だけ。

 あたし自身女だし、愛くんも今は女の子。挟まっても冗談の範疇で収められちゃう?

 

「あっ、もしかして二亜さんもイケる口ですかぁ?」

 

 みっきーは興奮した様子で詰め寄ってくる。同士を見つけたオタクのようなテンションだねぇ。

 

「百合ものね~。あたしはどうなんだろう?」

 

 ギャルゲーはイケる口なんだけど、別にそっちの造形が深いわけじゃないし。

 三次元はちょっとわかんないな。

 

「ま、食わず嫌いも良くないか」

 BLも凌辱もNTRも読んでみたら案外ってなるし。漫画家たるもの、人生は何事も経験よ。

 

「おっ、いいですねー。誰と仲良くします?ここには女の子がより取り見取りですよ」

 

 みっきーはホストのままみたいに女の子を勧めてくる。確かにみんなかわいいけど、そういう気分じゃないんだよね。

 かと言って、ここであの二人に絡みに行くのは空気読めてないし。

 

「イベントで絡む機会を作ろうか?」

 

 あんまり露骨なのは良くない。なっつんの許してくれるラインを見極めるのが大事。

 その上でみんながちゃんと楽しめるように。ちょっと大変だけど、なんとかなるでしょ。

 

 編集ちゃんの機嫌を取りつつ、裏締切ギリギリを攻める空気読みスキル。今見せてあげようじゃない。

 

「みっきー、どうせなら大胆に楽しまない?あたしにいい考えがあるんだ」

「聞かせてもらいましょう」

 

 みっきーを乗せることはできた。あとは二亜ちゃんの策略に嵌めるだけよ。

 

♦♦♦

 

「はいはい、みなさーん。ちゅうもーく」

 みっきーの声が響いてみんなの視線が集まる。その先にはプロデューサーのみっきーとアドバイザーのあたし。

 

「みんな、ただ飲んで食べてにも飽きてきたんじゃない?ここであたしから一つ提案があるのよ」

「なんだよ、二亜?」

 ちょーっと訝しげな顔をする少年こと士織ちゃん。既に危機感がビンビンに反応してるみたい。

 

「まあそんな心配なさんなって。少年にとっても楽しいイベントになるからさ。むしろ役得かもよ?」

「まあ、ひとまず聞かせてもらいましょうか」

 

 同じような反応を見せる琴里ちゃん。司令官も大変だね~。あたしみたいなのの行動を管理しないといけないんだから。

 胃に穴空きそー。

 

「題して、ミスバニーガールコンテスト!」

「いえーい!」

 

 反応してくれみっきーだけ。それ以外のみんなは?マーク浮かべてたり真剣な顔で考え込んだり。

 そんな固くならないで、みんな人生もっと楽しく行こうよ。

 

「やることはシンプルだよ。みんなの前に出て何かパフォーマンスをするだけ。まあ一発芸の発表会みたいなものよ」

「本当にシンプルね。それだけかしら?」

 

 あたしの言葉に疑問を持つ琴里ちゃん。流石にそこまで単純じゃないよ。

 

「パフォーマンスは誰か二人まで指名して協力して貰うことができるよ。バックダンサーとか、手品の助手とかしてもらったらいいんじゃないかな?」

『!』

 

 何人かがあたしの考えたルールに強く反応する。

 一部の子は気づいたみたいだね。あたしもみっきーも別にサポートが必要なパフォーマンスやって欲しいわけじゃないのよ。

 

「質問。指名された協力者は断ることができるのでしょうか?」

 ゆづるんがいい所に気づいた。そうそう、それを期待してたの。

 

「よっぽどなことでもない限りは協力して貰うよ。あっ、パフォーマンスになってないのは無しね」

「拒否権はありませんよぉ。みなさん今日は私のウサギさんなのでぇ」

 

 みんな黙り込んで一斉に考え始める。

 

「そんなこと言ったら俺は……」

 顔をこわばらせてこれからのパフォーマンスに戦々恐々とする子。

 

「どのようなパフォーマンスにすれば、士織と……」

 しっかり理解してパフォーマンスの中身を考える子。

 

「四糸乃、どうする?」

「士織さんと……パフォーマンス」

 欲望と羞恥心の間で揺れる子。

 

「なかなか楽しそうなイベントじゃないか」

 我関せずで周囲の様子を伺う人。

 

「どうせなら優勝賞品も作ってはいかがでしょう?」

 

 全員の目が私たちとは別のところに奪われる。言ったのは愛くんだ。

 

 なっつんと『あ~ん』してたときの甘い顔じゃない。

 状況を楽しみながらスパイスを効かせる。あたしたちと同じ愉快犯の顔だ。

 

「その程度、ラタトスクなら簡単に用意できるでしょう。ねえ、令音さん?」

「……そうだね、構わないとも」

 

 れーにゃんと一緒に話を一段と大きくする。

 その顔は正に悪い女。今の愛くんは美少女なだけあってそれがより際立つ。

 

「年末デートの全面サポート、というのはどうだろう?」

「いいじゃないですか。それなら()()()パフォーマンスの質は高まる」

 

 あたしの企みなんてわかった上で大きく一手打ってきた。

 パフォーマンスで高得点を狙うか。それともパフォーマンスの中でいちゃつくだけで終わりにするか。

 みんなに悩ませるため。

 

「二亜さん、美九さん。その方が楽しいでしょう?」

 怪しい魅力を放ちながら、強かに状況を転がしていく。女のあたしもちょっとぞくっとしちゃった。

 

「そ、そうだね。あたしは反対しないよ」

「はい、私もそれで大丈夫ですよ」

 

「どうせなら楽しいイベントにしましょう」

 

 愛くんは目を細めてにやりと笑った。

 愛くんは高みの見物を決め込んでる。だから、あそこまでかき乱そうとする。

 

「君も部外者じゃないんだよ」

 ぼそりと小さく呟いた。

 

 別に年末のデートなんてどうでもいい。愛くんとなっつんを引き裂きたいだなんてもう考えてない。

 でも、爪痕ぐらいは残させてよね。




本格的に内心明かし始めた二亜。はてさてどうなるのでしょうか?

さて、今回の裏話は二亜について。

散々匂わせしてきましたが、要は誰かさんに惚れてたってことですね。どうしてそうなったのか?それは二亜編をお待ちください

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