でも現在新しい話を投稿する度に100人以上の人が読みに来てくれるようになりました。こうなると欲が出てきますね。もっと沢山の人にデート・ア・ライブの良さを知って貰いたいです。
皆さんを落胆させることの無いよう書いていきたいです。それではどうぞ。
琴里からの緊急出勤命令で僕と七罪はフラクシナスに呼び出された。新しい精霊が士道のクラスに編入してきたとのこと。
緊急出勤なんて嫌なものだが、僕らは準備できている。というより、ここ最近は士道のクラスをちょこちょこ
「待っていたわよ、愛、七罪。」
琴里が真面目な顔で出迎える。現役中学生の司令官様は既に出勤しておられるようだ。
現在は、来禅高校が放課後を迎えている時間。中学校の方が早く終わるにしても、来るのが早すぎるのではないだろうか。
さては精霊攻略のために早退したな。この司令官様はどれほど学生の本分を放棄しているのだろうか?一年以上、不登校の僕が言えた義理ではないが。
「一体何があったんだ?」
ここは何も知らない体で話そう。下手にラスボス《令音さん》に推測の種を与えたくない。
「士道のクラスの転校生が精霊だったのよ。自ら精霊だって名乗ったらしいわよ。」
「それはとんでもない事ね。映像か何か無いの?」
七罪も僕に合わせて知らない振りをしている。演技が得意な七罪にとってこの程度造作もない。頼れる相棒で本当に助かる。
「この生徒よ。貴方達は見覚えが有るでしょう。」
「《ナイトメア》、時崎狂三だな。半年前に戦ったことがある。」
「そうね。あの忌々しい女、こんな所までやって来るなんて。」
狂三と交戦した事は琴里も知っている。ラタトスクと出会って以降、僕たちの戦闘記録は映像と報告書で残っているから。
だから、狂三と出会った事は隠してはいけない。隠す情報は選ばないと自分の立場を悪くする。
「過去の戦闘記録は確認したわ。でも、銃を武器に使うことしか分からなかったのよね。あんたからの情報で狂三の天使が時間に関係していることは知っているわ。でも、
琴里の目は鋭い。僕が情報を隠していることを疑っているのだろう。
実際に隠しているから琴里の推察は的中している。だからと言って答えてやらないが。
「さあね。僕から
知っているかいないかすらも教えてやらない。情報はそうやすやすと渡すことができない。情報は力のない僕の切り札だ。
暫く、琴里と僕の間で無言の時間が流れる。すぐ傍にいる七罪や令音さんも喋らない。少し離れている他の機関員の作業音だけが響く。
「……はぁ、どっちにしろ何も喋らないようね。まぁ良いわ。今は狂三の攻略に力を注ぎましょう。」
琴里は溜息を吐いて気分を切り替える。流石、優秀な司令官様だ。冷静に判断して時間を浪費しないように気を付けている。
僕もギャルゲーのシーンの様な狂三の攻略映像を見る。今日は僕の仕事もお休みになって、珍しくフラクシナスに待機している。『こんな衆人環視状態で狂三やASTは派手に動かない』と琴里の判断だ。
士道は狂三に校内の案内を頼まれている。こちらから動いていないのに、精霊自ら接触してくれて好都合と思うだろう。普通なら。
しかし、狂三は違う。これから
『そうだな、じゃあ食堂と購買でも見ておくか。何かと必要になるだろうし。』
『ええ、構いませんわ。』
通信機越しに士道と狂三の会話が聞こえてくる。ラタトスクに監視されていることを狂三も知っている。
こんなの茶番でしかない。まぁ、必要な過程だからさっさとこなしてもらいましょう。
しかし、あれだな。精霊攻略をフラクシナスから見たのは初めてだけど、恥ずかしいな。
大の大人が『あーでもない』『こーでもない』と本気でデートシチュエーションを考えるなんて。聞いているこっちが消えてしまいたい。
しかも、ここに居るメンバーって恋愛経験が歪な人ばかりだ。正気かと思うような発言が溢れかえっている。その代表格がこの人だ。
「黒タイツ越しのパンツは人類の至宝。些かの疑問を抱く余地もありません。」
『狂三は今どんなパンツを穿いてるんだ?』という選択肢を選んでこの発言だ。どのようなタイミングで選んでも駄目な選択肢なのにどうして誇れるんだ。
誰が言っているのかって言うと、どこぞのオクトーバーさんです。察してください。
あり得ない回答をした人は、ムキムキの外人二人がホールドしてどこかに連れて行った。暫く反省しておいてください。
あなたに一度も勝てたことのない自分が情けないです。
「……『狂三は今どんなパンツを穿いてるんだ?』……ねえ。何なのこの選択肢?」
琴里は部下に愚痴を吐いている。他のメンバーも同意するように苦笑いで受け答えしている。
ああ、そう言えばこんなことあったな。そんなことを思いながら、琴里のミスを見ていた。琴里がマイクをオンにした状態で、愚痴を言ってしまったのを。
「あ。」
琴里は漸く気付いたようだが、時すでに遅し。
『な、なあ……狂三は今、どんなパンツを履いているんだ?』
士道は度重なる調教によって、琴里の言葉を即座に実行するよう成長した。その結果、琴里の言葉通りに変態発言をしていた。
「うわー、やっちゃったわねー。」
七罪は完全に他人事気分で声を上げる。本気で攻略しようとしているフラクシナスクルーと違って、七罪はコレで狂三を攻略できるなんて一ミリも思っていない。
にしても、もうちょっと取り繕う意思はないのだろうか?空気が読める癖に一切配慮がない。
『ぱんつ……ですの?』
狂三はきょとんとした顔で士道に聞き返している。冷静に見ると分かるけど、狂三の表情に嫌悪の要素はない。疑問に思っているだけだ。
『あ、いや、今のは……』
「馬鹿、今のは指示じゃないわ。」
『は……はぁっ?』
琴里のミスなのに士道は理不尽に怒られている。九:一くらいで琴里が悪いと思うけど。
「とにかく誤魔化しなさい。今のは冗談ってことにして本当の質問に繋げるの!」
『お、おう。』
士道は肯いて会話を続けようとする。とんでもないミスをしたから不味いと本人は思っている筈だ。
『あ、あのだな、狂三。』
『……気に、なりますの?』
狂三は上目遣いで士道を見ながら、プリーツスカートの裾を摘まんでいた。たくし上げる直前に見える。
『え?あ、そ、そりゃあ……じゃなくて、ええと……』
『いい……ですわよ、士道さんなら。』
狂三は恥ずかしそうに頬を染めながらも、スカートをゆっくりと捲り上げる。その姿を見て士道はあたふたしている。完全に狂三にやり込められているな。
「完――全に痴女じゃない。」
七罪は言葉を溜めて、不快感を露わにする。同じ女だから感じるものだろうか?
「でも、お前も変身していたら、似たようなことするだろう。」
僕は冷静に七罪の普段の行動を指摘する。お前が言えた話ではないと。
大人モードの七罪に迫られた回数は、三十を越えた辺りでカウントを止めた。今は百を超えているのではないだろうか。
大人モードでしかしてくれないのが不満ではある。しかし、本来の姿で躊躇なくやったら七罪らしくないな。本来の姿で恥ずかしがりながらやろうとして、結局できないのが一番いいかな。
「うっさいわね。あいつと私は違うのよ。それくらい理解しなさい。」
七罪はむっとして蹴りを繰り出す。避けるかどうか迷うほどの余裕が有ったが、結局手で受けることにした。
全く痛くなかった。まぁ膂力が最下位に近い精霊だから仕方ない。
余裕で受けた僕の態度が気に入らなかったのか、七罪は気を悪くしてしまった。そっぽを向いて僕の事を無視している。
何故だろう?椎崎さんと箕輪さんがこっちを見ながらひそひそと話している。僕はやらかしたようだ。
その後、狂三に弄ばれた士道はパンツを見ることは無かった。士道にとって良いのか悪いのかは知らない。
デートは続けられる。七罪が機嫌を悪くしてしまったことを除けば、一見順調だ。
『朝「私は精霊だ」って言ってたじゃないか。精霊って一体、何のことなんだ?』
士道が知らん振りをする。普通ならそれが正解だ。下手に精霊の事を知っていると思われると精霊に警戒されてしまう。一般人の振りをした方が話をしやすい。
『――うふふ、とぼけなくてもいいんですのよ、士道さん。あなたはちゃんと知っているのでしょう?精霊の、ことを。』
しかし、相手が悪かった。狂三は士道の特異性を理解した上で利用するために近づいている。下手な誤魔化しはむしろ悪手だ。
今は狂三がご機嫌だから多少の事は見逃されている。
長年の願いに大きく近づける踏み台を見つけたのだ。狂三ほどの人間でも心が浮ついているのだろう。
「……何なの、この女は。士道が精霊の事を確信している……?一体どういうことよ。」
琴里は困惑している。それも、仕方がない。
狂三は準ラスボスクラスの存在だ。序盤に出てきても、敗北確定イベントにしかならない。
『な、なんで俺のこと、知ってるんだ?』
『ふふっ、それは――秘密ですわ。でも、わたくしは士道さんに会うために、この学校に来ましたの。士道さんのことを知ってからずっと焦がれていましたわ。士道さんのことを考えない日はないくらいに。だから――今は、すごく幸せですわ。』
そういう狂三はまるで恋焦がれる少女のようだ。復讐が果たせそうで喜んでいる顔だと知れば、士道や琴里は何を思うだろうか。
「狂三の好きにはさせない。」
画面越しに狂三を見つめる。こちらの視線は届かないが、これは自分自身の覚悟のためのものだ。
「だったら、しっかりしなさいよ。」
七罪がこちらを見ずに手を握る。その手を握り返した。
狂三の学校案内は原作通りに、十香と姉さんの乱入が有りながらも無事終了した。
♦♦♦
最近士道の家にあまり行かないように気を付けていた。崇宮真那とばったり出会うことの無いように。
あいつは実に面倒な存在だ。士道の味方であり、狂三の敵であることは間違いない。
しかし、僕たちとは仲良くできないだろう。あれだけ派手にやり合ってしまった。士道の味方同士だから仲良くしましょう、となりそうにない。
だから、会わないように気を付けている。そして、今日は原作で崇宮真那が五河家に訪れた日だ。
狂三の校内案内の直後に士道と出会う流れだった。この世界でも同じことが起こるかもしれないと警戒していた。
僕の予感は的中してしまった。学校帰りの士道と十香の前に崇宮真那は現れた。準備していた僕らは素早く自室に引き籠った。
ここまでは別に良い。普段から五河家に入り浸っていないから、出入りできなくても僕と七罪は困らない。でも、崇宮真那と面倒な関係を築いているのは僕と七罪だけではない。
四糸乃も顔をしっかりと見られている。霊装姿で。
霊波は観測されないから、襲われることはないと思う。だけど、会わないに越したことはない。だから、四糸乃も崇宮真那がどうにかなるまで五河家にあまり出入りして欲しくない。
そこで問題になるのが食事だ。四糸乃は食事を自分で用意できない。五河家に出入りできないと、総菜を温めることになる。
それでは味気ない。だから、僕たちの部屋に招待して、夕食を一緒に食べることにした。
僕たちとしては四糸乃やよしのんと仲良くできるから大歓迎だ。というわけで本日は四糸乃を招待する日だ。
「お邪魔……します。」
「ご招待に預かったよしのんで~す。」
同じ身体で全く逆の態度を取りながら四糸乃とよしのんが部屋に入る。このギャップがとても面白い。
「待ってたぞ、四糸乃、よしのん。」
「大したおもてなしなんてできないけど、良かったらどうぞ。」
七罪は謙遜しているが、むしろ過剰なくらいだと思う。
テーブルの上には満漢全席のような料理が並んでいる。僕も手伝ったけど、七割は七罪が作った。四糸乃のことが好きすぎるだろ。
「うわぁ……おいしそうなお料理です。」
「こんな沢山の料理でおもてなししてくれるなんて、よしのん感激。」
幸いなことにお客様は喜んでくれたようだ。
余ったら明日の食事が豪華になるだけだ。好きなだけ食べてくれ。
万が一食べきれなくても、十香なら一瞬で食べきってしまう。何も心配はいらない。
四糸乃と僕らは談笑しながら食事を続けた。
「そう言えば新しい精霊さんが来たらしいけど何か知ってる~?」
「狂三のことだな。」
よしのんがさらりと話題を振る。誰から聞いたのか分からないけど、狂三が来たことは知っているようだ。
「その子ってどんな子だった?可愛かった?」
「……見た目はお嬢様って感じかな。黒髪のおさげで赤い目をしていて綺麗だと思う。」
見た目以外の印象が濃いから一瞬言葉に窮した。
見た目は美少女なんだよな。行動と中身を知っていたら、安易にそんなことは思えないけど。
「あひゃー、それは大変だ。士道君が取られないように、四糸乃も頑張らないとね。」
「っ!」
四糸乃は恥ずかしそうにもじもじしている。この子意外とおませだから、何を想像したのだろうか?まあ、面白そうだから僕は止めないけど。
「士道が四糸乃を放っておくようなボンクラになったら言って頂戴。私が士道の尊厳を踏み潰すから。」
七罪はそう言ってお茶を飲んでいる。現在進行形で士道の尊厳を弄んでいる人が何をおっしゃっているのだろうか?君の漫画は未だに大人気ですよ。
和やかな食卓は普段の二人きりとは違う温かみがある。こんな平和が続きますように。
ここまでが狂三編の準備運動です。次回から本格的に動き出すのでご期待ください。
本編が薄味なのであとがきでは少し面白い話をしましょう。裏話では設定について色々話をしています。前の章までは今後の展開に関わる設定と関わらない設定を半々くらいの割合で話していました。
しかし、この章では今後の展開に関わる話ばかりします。理由は単純に重要な設定が渋滞しているからです。次の章で拾う設定も結構あります。前の話も含めてこの章で話した裏話はどこかで使います。
それでは今回の裏話。何故前の章で真那が来ていたか。
狂三が十香編の終わりくらいから天宮市に向けて動き始めていたためです。真那は狂三を追いかけて天宮市近辺に来ました。しかし、狂三が潜伏したため、先に登場しました。
まあ、はっきり言ってそんな経緯はどうでもいいのです。重要なのは一歩早く来ている事実そのものです。彼女は誰かさんへの報告が忙しくて五河家に行けなかったんですよ。
オリジナルの天使を登場させても良い?
-
良い
-
駄目
-
作者の好きなように
-
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