ヒロインは七罪   作:羽国

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報告がいくつかあります。

一つ目は投稿を火曜・金曜に固定することにしました。余裕がったら日曜も投稿します。そして時刻は20時に変わります。

二つ目はあらすじやタグを整理しました。オリジナル天使のタグも入れました。一応火曜日までアンケートの様子を見ますが、ほとんど登場すると思ってください。オリジナル天使の登場は駄目っておっしゃった方はすみません。

三つめは八話:精霊対策会議(半分以上が精霊)の内容を追加しました。そう言えば何で愛君の士道への当たりが強いか書いてなかったなって思いまして。文字数が少なかった話に追加しました。

報告は以上です。本文以外が長くてすみません。

長かった狂三編もこれで終了です。それではどうぞ。


妹共同戦線

 フラクシナスから来禅高校まで全速力で飛んできた。その途中、何度も狂三の分身体に襲われた。

 どうやら狂三は学校に誰も行かないよう、念入りに準備していたみたいね。

 倒すことは何も問題ないわ。灼爛殲鬼(カマエル)を一回振るえば終わるし、時間も全くかからない。

 でも、攻撃をさせられること自体が問題だった。私は精霊の力を振るっていると破壊衝動に呑まれていく。

 何とか抑えているけど、そう長く持たないわね。破壊衝動に呑まれてしまったら、私自身が狂三以上の脅威になりかねない。

 破壊衝動を抑えながら、灼爛殲鬼(カマエル)を振るい続け、ようやく士道たちの元に辿り着いた。

 その時、目にしたのは校舎の屋上を埋め尽くす狂三たち。人質に取られている十香と鳶一折紙。そして、動けない士道と真那。

 状況はなんとなく察することができた。しかも、私の存在には気付かれていない。チャンスだと思って介入した。

 私の力じゃ、十香達傷つけずに助けることはできない。だから、荒っぽいけど、狂三の足場を破壊して十香たちを救うことにしたわ。

 幸いなことに十香たちの真下の教室に人はいない。建物を破壊しても、どうせすぐ直すことができる。

 灼爛殲鬼(カマエル)の一振りで屋上は容易く破壊されたわ。足場を失った狂三たちは十香たちを捕らえ続けることができなかった。

 崩落によって、狂三は下の教室に落ちていった。当然、十香たちも。

 隙をついて私は十香を救出したわ。ついでに鳶一折紙も。

「こと……り?」

 士道が屋上の地面に手をついて私の方を見ている。自分もボロボロなのに真っ先に他人の心配なんて。これだから私のおにーちゃんは。

「何とか間に合ったわね。」

 士道も十香も無事とは言い難い。でも、誰も失っていない。まだ、挽回できる。

「イフ……リー……ト?」

 腕の中の鳶一折紙が私の方を見ている。気絶していなかったのね。

「あなたが私を恨んでいることは、愛から聞いているわ。でも、後にして頂戴。」

 愛と鳶一折紙の父親は五年前の大火災で亡くなった。私が起こした火災で。

 私が恨まれるのは仕方がないことね。愛から話を聞いた時から、鳶一姉弟のどちらかに殺される日が来るかもって思っていた。

 でも、それが今では困る。今、狂三の対処をできるのは私しかいないから。

「……分かった。」

 鳶一折紙は数秒沈黙とした後、小さく肯いた。思ったより聞き分けが良くて助かったわ。

「士道、十香と鳶一折紙を連れて可能な限り離れなさい。」

 士道の隣に立って、十香と鳶一折紙を預ける。これで、士道も二人を守るために無茶はしないでしょう。放っておくとすぐに無茶するんだから。

「琴里、お前その姿……。」

「少しの間返して貰ったわ。それよりも、ぼやぼやしている暇は無いわよ。逃げなさい、士道。」

「……分かった。」

 納得行ってなさそうな顔で、士道は二人を連れて逃げ出した。

「士道、あなたの精霊を救う覚悟は見せてもらったわ。汚れ仕事は私に任せなさい。」

 士道の背中を見ながら呟く。聞こえていないと思う。その方がいいわね。

「あらあら、随分と手荒な手段を取りますわね。五河琴里さん。」

 瓦礫の中から現れた狂三は二、三回跳んで屋上に戻ってきた。やっぱり、あの程度じゃかすり傷一つ負っていないようね。

「それは失礼したわね。道中でマナーの悪い娘に邪魔されたから、少し機嫌が悪くなっていたのよ。」

 不良娘に苦言を返品する。先に喧嘩を売ったのはそっちの方よ。マナーの悪い相手には相応の躾をするから覚悟しなさい。

「琴里さん、助太刀させてください。」

 振り返ると崇宮真那が後ろに立っていた。見たところ負傷していないようね。

 良かったわ。ここにいる中じゃ一番戦力になる人間だもの。

「愛から話は聞いているわ。今日からあなたはラタトスクの人間ってことで良いのね?」

「ええ。時崎狂三の能力と目的を教える代わりにDEMを抜けてラタトスクに所属する。それが約束でいやがりますので。……あいつらと一緒という所だけは気に入りませんが。」

 真那はラタトスクに鞍替えしたことを認めた。彼女は今日から味方になる。

 全く愛の奴、本当に予想外なことしかしない。頭痛の種を無限に生み出すわね。

 でも、今回は良い仕事をしてくれた。まさか、優秀な魔術師(ウィザード)を引き抜いてくるなんて。

「じゃあ、早速二人で行くわよ。」

「任せてください。兄様は妹が守ります。」

 真那はレイザーエッジを構えてやる気を見せる。まだ戦えそうね。

「そうね。妹の力を見せてやりましょう。」

 士道の妹二人が並び立つ。一人で格好つけられないのはちょっと悔しいけど、頼もしいわね。

「きひひひ、二人とも食べて差し上げますわ。」

 狂三との戦いもこれで決着よ。

 

 狂三は小手調べに大量の分身体で攻撃を仕掛ける。しかし、そんなもの今更脅威にはなり得ない。

 私は灼爛殲鬼(カマエル)で焼き払い、真那も手に持ったレイザーエッジで瞬く間に切り払う。

 私たちに数を揃えても意味がないことは理解している筈。だったら狂三は何を仕掛けようとしているのかしら。

刻々帝(ザフキエル)――七の弾(ザイン)

 狂三の策を考えていた時に狂三が天使を顕現させた。あれが刻々帝(ザフキエル)。見た目通りに時間を操る天使ね。

 時計の七の刻印から影のようなものが狂三の短銃に収まった。何か仕掛けてくるわね。

「気を付けてください、琴里さん。<ナイトメア>の能力は弾丸を当てた対象に発動しやがります。当たったら一巻の終わりになっちまいます。」

「ということは灼爛殲鬼(カマエル)で防ぐのじゃ駄目ね。」

 危なかった。灼爛殲鬼(カマエル)を使って切り払うつもりでいたわ。

 弾丸が当たった対象に能力が発動するのなら灼爛殲鬼(カマエル)が影響を受けてしまう。もしかしたら天使を持っている私自身も。

 絶対に当たる訳にはいかないわね。

「きひひひ、わたくしの弾丸に注意していれば良い――そうお思いで?」

 狂三は後ろに向けてステップをした。狂三と向かい合っている私たちとは遠ざかる。

 何がしたいのか分からずに戸惑っていると、影から現れた大量の分身体の中に狂三は紛れてしまった。

 やられた。先ほどの一瞬で本体を見失ってしまった。

 これではどれが本体の狂三か分からない。私たちは二十を超える狂三たち全員の攻撃に気を配らないといけない。

「真那、どれが本物か分かる?」

「すみません。私もこいつらの相手にかまけて見失っちまいました。」

「私もよ。どれが本体か分からない。」

 狂三の本体を目で追うだけなら、不意打ちでも見逃さなかったでしょうね。

 でも、私たちは戦闘中だった。その隙を狙って狂三は仕掛けた。

 かなりの策士ね。本当に厄介な女。

「行きますわよ。」

 狂三たち全員が銃を構える。無数の銃口は私と真那の方を向いている。

 どれかは分からないけど、一つは当たったら能力が発揮される弾。一発でもあたってやるわけにはいかない。

 一斉に引き金が引かれ、弾丸が私たちを襲う。このままここに立っていたら避けきれない。

 私と真那は大きく飛んだ。弾丸を全部避けられるように空高く。

 弾丸を全て避けられたことに安心して狂三の方を見る。すると、一体の狂三がこちらの方に銃口を向けていた。

 ぞくりと嫌な予感がする。さっき撃った集団の中に一体でも撃ってない狂三がいたとしたら。それが本体だとしたら。

 そう気づいたときには既に遅かった。私は狂三の弾を受けてしまった。

 

 急に体中を激しい痛みが襲う。全身くまなく同時に攻撃されたような感覚。一体何が起きたの?

 身体が重くて飛んでいられない。私は空から地面に落ち叩きつけられた。

「琴里!」

「琴里さん。」

 お兄ちゃんと真那の声が聞こえる。心配かけちゃったみたいね。

「うふふ、ふふふふふふっ、ああ、ああ終わってしまいましたわ。せっかく見えた強敵でしたのに。無情ですわ。無常ですわ。」

 狂三の芝居がかった声が聞こえる。これで終わりと思ってもらっちゃ困るわ。

「これは……。」

 狂三が言葉を止めて私の方を見る。どうやら驚いているみたいね。私の能力に。

 体中が炎に包まれる。灼爛殲鬼(カマエル)の敵を焼き尽くす炎とは違う、傷を癒す炎が。

 炎が消えた時、私の身体に傷は一切残っていなかった。

「撃たれたのが私で良かったわ。今の私なら、一回くらいは余裕でコンティニューできるから。」

「な――。」

 私は何事も無かったように立ち上がった。狂三も流石に驚いている。

 あの感じだと私じゃなかったら致命傷だったでしょうし、当然よね。

「それで、まだ続けるのかしら?何度やっても同じことが繰り返されるだけよ。今逃げるなら追わないであげるわ。」

 こんなのはったり。分が悪いのは私の方。タイムアップが近づいている。

 痛みは我慢すれば良い。霊力もまだ十分に残っている。でも、破壊衝動がもう持たない。

 次、同じことをされたら私は私でなくなるかもしれない。お願いだから、逃げて頂戴。

「……ふん、戯れないでくださいまし。」

 むしろ狂三は戦意を滾らせて銃を構える。戦いを続けるしかないみたいね。

 狂三と私の応酬が続く。激しい金属音が鳴り響き、火花が散る。

 そして、力強い一撃をぶつけ合ったことで互いに体勢が崩れる。隙を晒しているけど、自分も攻撃できる姿勢じゃないから攻撃はできない。

 一対一の戦闘ならばね。

「真那のことを忘れないでください。」

 空中に居た真那が急襲をしかける。私と狂三の戦闘に介入する隙を伺っていたのね。

 真那は狂三を唐竹割りにしようとする。狂三は何とか避けたけど、左腕を斬り落とされた。

「くっ、刻々帝(ザフキエル)――四の弾(ダレット)。」

 狂三は距離を取って、再び天使の能力を使用する。 斬り落とされた腕が逆再生のように狂三に戻る。

 さっきまでの傷を受けていなかった状態に戻したという所かしら。あの能力がある以上、生かさず殺さずといった手段も厳しいみたいね。

 仕方ないわ。もう、無傷で狂三を止めることはできない。

「真那、狂三の両腕を斬り落として頂戴。そうしたら、天使の能力を使えなくなるかもしれないわ。」

 ラタトスクとしては精霊を傷つけたくはない。けれど、ここまで事態は大きくなってしまっている。

 狂三の様子から考えても平和的に終わらせることは難しい。腕くらいは勘弁して貰いたいものね。

 それで、怖気ついてくれたら直良し。最悪、医療用顕現装置(メディカル・リアライザ)で治療できる。

「真那としては《ナイトメア》の首を落としてまった方が良いと思いますが。」

 真那は不満そうにそう言う。狂三を殺してしまいたいようね。

 でもそれはラタトスクの理念から逸脱している。許容することはできない。

「駄目よ。ラタトスクは精霊の保護を目的とした組織。所属する以上はあなたもその方針に従って貰うわ。」

「……仕方ねーですね。」

 不承不承といった様子を隠しもしないけど、とりあえず言うことを聞いてくれそうね。

 今の私の状態を考えたら、真那の協力は必須。我儘を言わないでくれて良かったわ。

「目の前でそんなことをおっしゃられて、黙って見ているとでも?」

 狂三は周囲を分身体で固めて警戒している。その対応から見て、私の予想は強ち間違っていなさそうね。

「あなたがメインよ。私は援護するわ。」

「任せてください。」

 真那は端的な指示を受け入れた。今の私よりも真那を中心に立ち回ったほうが良い。

 真那が狂三に速攻で近づく。でもこのままじゃ分身体に阻まれている間に狂三が仕掛けてくるわね。

 だったら。

「真那、避けなさい。」

 言葉とほとんど同時に攻撃を仕掛ける。今までの戦闘で真那の速さは十分に理解したわ。

 分身体には避けられない攻撃も真那なら避けられる。だから、わざと真那を巻き込む範囲で灼爛殲鬼(カマエル)を振るう。

 かなり強引な戦法だけど、今は色々考えていられない。とにかく分身体の数を減らさないと。

 予想通りに真那は避けたけど、分身体たちは避けられない。

 無茶な攻撃の成果は十分ね。分身体のほとんどが消し炭になった。

 狂三の本体もこの程度じゃ死なないでしょう。でも戦力を大幅に失った。

 その隙を真那は逃さない。

「はあっ。」

 真那は狂三の方を狙って刃を振り下ろす。その攻撃は狂三に当たった――そう思った。

刻々帝(ザフキエル)――一の弾(アレフ)。」

 しかし、狂三は自分に能力を発揮して姿を消した。何かの能力を使って避けたのね。

 どこに行ったのか狂三を探していた。

 しかし、それよりも先に隣から銃声が聞こえた。さっきまで、そこには誰もいなかったのに。

 反射で避けて、音の方を見ると、消えた狂三が銃を向けていた。

 一体どうやってそんなところに。

 苦し紛れに灼爛殲鬼(カマエル)を振って狂三の追撃を防ぐ。何とか距離を取ることができた。

「あらあら、残念ですわね。もう一度そのお身体に穴をあけて差し上げるつもりでしたのに。」

「嫁入り前のレディを傷物にしてはいけないって、教わらなかったのかしら。」

 灼爛殲鬼(カマエル)を持ち直して構える。もう一度攻撃を仕掛けようとした――そのときに限界が訪れた。

 張り詰めた糸が切れたような感覚。時間切れの合図が鳴った。

「く、これは……。」

 頭痛が身体を支配する。我慢なんて考えられないような衝動に襲われる。

「あははははははは!悪運尽きましたわねぇ。」

 狂三が弾丸を撃つ。その攻撃を避ける余裕もない。

 当たりそうになった所で――真那に助けられた。そのまま、真那は私を掴んだまま狂三と距離を取った。

「大丈夫でいやがりますか、琴里さん?」

 大丈夫?そうね、頭痛も消えて良い気分になって来たわ。

灼爛殲鬼(カマエル)――(メギド)

 灼爛殲鬼(カマエル)の形態を変化して右腕に着装させる。灼爛殲鬼(カマエル)は戦斧から大砲になる。

 なんでもっと早くこうしなかったのかしら。狂三は敵。敵を殺すことをどうして躊躇っていたのかしら。

「……琴里さん?」

 あら、どうしてそんな顔をするのかしら。真那だって狂三のことを殺したがっていたじゃない。

 狂三は殺しても良い。むしろ殺すべきなのよ。

 灼爛殲鬼(カマエル)に私の炎がどんどん収束して赤熱する。これが当たれば精霊だって殺すことができる。

 狂三は戦慄した表情で私を見ている。そんな顔をしている暇は無いわよ。ここは戦場で私たちは敵同士なんだから。

「わたくしたち!」

 狂三は大量の分身体を肉壁にする。良いわね。それでこそ殺し甲斐があるわ。

「灰燼と化せ灼爛殲鬼(カマエル)

 さあ、私の(メギド)を防いでみなさい。私は欲望のままに熱を解き放った。

 とても気持ちがいい。命を焼き尽くす子の感触が心地いい。なんて素晴らしい手ごたえかしら。

 灼爛殲鬼(カマエル)の熱線は肉壁(分身体)を一体残らず灰燼にした。

 狂三本体も左腕が炭化している。壊れた人形みたいに無様に転がっているわね。

 ついでに、狂三の天使も何割か消し飛んでいるみたい。ちゃんと使えるのかしら?

 まあ生き残っただけでも上出来だわ。これで、まだ戦争が続けられるのだから。

「……銃を取りなさい。まだ闘争は終わっていないわ。まだ戦争は終わっていないわ。さあ、もっと殺し合いましょう、狂三。あなたの望んだ戦いよ。あなたの望んだ争いよ。」

 狂三は生きている。でも、目に光はない。戦う意志が残っていない。

 「――もう銃口を向けられないというのなら、死になさい。」

 狂三に灼爛殲鬼(カマエル)を向けながら戦意を煽ったわ。

 でも、もう駄目みたいね。心が折れているわ。

 じゃあ、戦争は終わらせてしまいましょう。

「琴里さん!」

 後ろから真那が寄ってくる。振り返るとどうしてか私を責めるような視線を向けている。

「あら、真那。あなたが殺したかったかしら?譲ってあげても良いわよ。」

 因縁の相手らしいし、譲るくらいの度量は持っているわ。戦った彼女にも首を取る権利は有るのだし。

「……いえ、琴里さんがどうぞ。琴里さんがそうしたいのであれば。」

「あらそう?」

 真那は首を振って断った。じゃあ、私がやってしまいましょうか。

 この戦争の終結させましょう。狂三の死を持って。

「止めろ、琴里。」

 狂三と私の間に士道が立ち塞がるように立った。

「士道、さん?」

 狂三がか細い声で士道に呼びかける。

「どいて、士道。」

「どかない。どいたらお前は狂三を殺すだろ。」

 士道は両手を広げて狂三を守るようにしている。なんでそんなことをするのかしらね?

「狂三は戦争に負けて戦意を失った。だから死ぬのよ。」

「何でそんな話になっているんだ。精霊を殺さずに問題を解決するのがラタトスクなんだろ。」

 イライラするわね。もうこのまま撃ってしまおうかしら。

 いや、そうしましょう。士道も本気で攻撃したら流石に避けるでしょう。

 再び灼爛殲鬼(カマエル)に炎を蓄える。集まった熱はあらゆる命を否定する。

 これを見ても士道はどかない。だったらもういっそ士道ごと撃ってしまいましょう。

 敗北者のついでに士道も。士道も……。士道も?どうして私は士道を殺そうとしているの?

 そこまで考えてようやく気付いた。私は一体何をしているの?

 いつでも砲撃ができるように準備ができている灼爛殲鬼(カマエル)。死にかけている狂三。私を止めるように立ち塞がるお兄ちゃん。

 私は精霊どころかお兄ちゃんを殺そうとしていた?背筋に氷を入れられたように、すっと体温が下がる。灼爛殲鬼(カマエル)。の熱でこんなにも熱いのに。

 正気に戻った時にはもう遅かった。灼爛殲鬼(カマエル)はもう止められない。

「おにーちゃん……避けて!」

 何とか軌道を上に逸らして直撃は避ける。でも、完全におにーちゃんから攻撃を逸らすことなんてできなかった。

 何とか士道には当たらなかった。でも、士道は倒れてしまった。大けがをしていないことを祈るばかりね。

「……琴里さん?琴里さん!琴里さん!」

 私ももう限界。新人にいきなりで悪いけど、後は任せたわよ、真那。

 

 後に報告を受けて結果を知ることになる。士道も十香も鳶一折紙も真那も数日入院する程度の怪我で済んだ。

 フラクシナスも無事狂三の分身体を撃退して、フラクシナスの構成員は全員無事。

 狂三はどさくさに紛れて逃げ出した。

 私たちは誰一人欠けることなく、狂三との戦争を乗り切った。




狂三編は準備のための章でした。種は無数に蒔かれています。琴里編で大輪の花となってくれることでしょう。

次回からこの作品の大きな山となる琴里編です。色々な人の想いが交錯し地獄が生まれます。愛君はどうなってこの地獄を乗り越えるのでしょうか?お楽しみに。

さて今回の裏話は愛君と狂三について。
愛君は半年よりもずっと前に狂三と接触しています。そのことに愛君も()()()狂三も気付いていませんが。愛君が初めて接触した精霊は狂三です。この接触は愛君にとって超重要な意味を持っています。

オリジナルの天使を登場させても良い?

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