狂三の口調で地の文書くのは大変ですね。もう狂三視点は書きたくないな~。でも、確定であるんだよな~。
広大な影の中に、本体と呼ばれる『わたくし』は沈んでいますわ。そこにいるのは大勢のわたくしたち。
「どうでしたか、わたくし?」
「おかしな点は見つかりませんでしたわよ、『わたくし』。」
いつものように、わたくしたちからの情報を確認しておりますの。情報は力。それを長い経験から学びましたわ。
だから、今は情報の精査に努めておりますの。愛さんから貰った情報について。
「崇宮澪は士道さんに霊力を集めようとしている。そこに不自然さはございません。」
「それは重畳ですわね。」
情報に
愛さんはあの状況でそのようなことをしないと思いますが。折紙さんの命がかかっていたのですから。
愛さんは七罪さんの次に折紙さんを大事にしておられる。その命を救う代価に嘘を仕込むとは考えにくいですわ。
まあ、念には念を入れてですわね。しっかりと確認しましょう。
「しかし、愛さんは本当に面白い方ですわね。」
「……ええ、本当に。初めてお会いした時から、ずっと驚かされてばかりですわ。」
精霊と
本当に一緒に戦うお二方を見てまず驚きましたわ。でも、その後はそれ以上のものをお見せいただきました。
「どうして『わたくし』の目的を知っていたのでしょう?不思議ですわ、不思議ですわ。愛さん、あなたは何者なのでしょう?」
わたくしはくるくると回りながら、愛さんへの疑問を振りまいていますわ。同感ですわね。
『わたくし』の目的は三十年前の過去に戻り、始原の精霊、崇宮澪を殺すこと。そして、精霊によっておこる悲劇を全てなかったことにする。
それが『わたくし』の悲願。誰にも話したことのない、『わたくし』の生きる理由。
それを愛さんは『わたくし』に全て話して見せましたわ。『わたくし』の人生を知っているかのように。
「それに、霊力を感じたときは目を疑いましたわね、『わたくし』?」
「ええ、勿論ですわ、わたくし。」
愛さんと戦闘をしていたとき、急に霊力を感じましたの。勘違いかと思いましたが、何度も感じて間違いないと確信しましたわ。
しかも、その源は戦闘相手の愛さん。先ほどまで何も感じなかったのに、確かに愛さんは霊力を発しておられた。
意味が分からなくて茫然としましたわね。ただの人間が急に霊力を発するようになったんですもの。
情報と霊力。愛さんの見せた有用性は、七罪さんへの興味が薄れるくらいに凄まじいものでしたわ。
「それからも、面白いものをたくさん見せてくれましたわね。」
「本当に、面白いものばかりでしたわ。」
愛さんを監視するためのわたくしをいくらか用意して、ずっと見ておりましたわ。一か月に一回は面白い報告が来ましたわね。
「《ベルセルク》と一緒に空間震を起こしていると聞いたときは、何事かと思いましたわね?」
あれはクリスマスも近くなった時期のこと。太平洋の上で何度も空間震を起こしていると報告が入りましたわ。
「耳を疑いましたわね。本当に何をしておられたのでしょう?」
愛さんのすることはよく分かりませんわ。あの人何を召し上がったら、あのようなことができるのでしょうか?
「日本に戻ってきたと知って、飛んで参りましたわね。今度こそ愛さんを食べるために。」
「ええ、情報収集は十分と判断しましたから。」
愛さんは謎の多い存在。だから、長い時間をかけて情報を集めましたわ。
その結果、分かったことは二つ。
一つは愛さんは霊力を持つ自覚がないこと。愛さんはその行動の全てに霊力が関与しておりません。
恐らく無自覚で使っておられるのでしょう。しかし、傾向として戦闘中に霊力を放つことが多いですわ。
時折、思い出したように霊力を発して、痕跡を残さず消してしまわれる。本当に少しの間しか霊力を出さないので、わたくしのように常に霊力を確認していないと気付けないのでしょう。
何をしてるのかは分かりませんが、わたくしが確認できる範囲で変化はありませんわ。攻撃的な能力を使用していないのは確かでしょう。
二つ目は霊力の量。ほんのわずかな間なのでちゃんと比べることは難しいですが、わたくしが見てきた精霊の中でもかなり多い方ですわね。十分、手間をかけて食べるに値する対象となりますわ。
不確定要素が多い上、霊力がなくても愛さんは厄介。それでも、士道さんを食べた後なら見込みがあると判断しましたわ。
愛さんについて調べていたら、士道さんについても知れたのは僥倖でした。
戦力を持たないであろう士道さんを食べ、その力を使って愛さんも頂く。それがわたくしの計画でしたの。でも……
「残念ですが、やられてしまいましたわね。愛さんが霊力を出すまでもなく。」
「そうですわね。わたくしを増やして、情報を集めてしっかりと準備しましたのに。」
愛さんを戦場に呼び寄せないことは成功しましたわ。もし、愛さんがわたくしとの戦闘中に霊力を自覚されたわ困りますもの。
しかし、『わたくし』は戦いに敗れてしまいましたわ。敗因は
七罪さん、真那さん、琴里さん。今思えば、あの方たちへの警戒もしなければならなかったのですわね。
判断を誤った結果、大量のわたくしたちと
「だから、時間を集めて再び挑むことを考えていたのですが……」
「まさか、あんなものを見せられてしまうとは、思いもしませんでしたわね。」
禍々しい白と黒の霊装に圧倒的な霊力、そして七罪さんと同じ天使。愛さんはわたくしの見立て通り、いいえ、それ以上のものを見せてくださいましたわ。
あれを手に入れたら、始原の精霊を殺すことも夢ではない。そう思えるだけのものでしたわ。
「絶対に手に入れますわよ。愛さんの力。」
なんとしてでも。そのために手間も時間も惜しみませんわ。
「しかし、勿体ないではありませんこと、『わたくし』?愛さんの情報も捨てがたいですわ。
わたくしたちですら集められなかった情報を、いくつも持っておられますもの。きっとまだまだ、『わたくし』の知らない情報を持っておられますわ。」
わたくしの言うことはもっともですわね。愛さんはどこから得てきたのか分からない情報を出すのがお得意。
『わたくし』の欲しい情報をまだ隠し持っている可能性は高いでしょう。
愛さんを食べるだけでは勿体ない。それは『わたくし』も同じことを思っていましたわ。
「問題ありませんわよ、わたくし。だって、いいことを思いついたんですもの。」
「それは一体?」
わたくしに考えたことを告げる。話を聞くたびに、わたくしはどんどんと楽しそうな表情になっていきましたわ。
若くても、『わたくし』ですわね。この案の良さが理解できるのですから。
「それは素晴らしいですわ。」
「そうでしょう、そうでしょう。これなら、崇宮澪を殺す大きな一手となりますわ。」
「消去法での考えですが、愛さんの口ぶりからして、ほぼ間違いないでしょう。」
「ええ、ええ、楽しみで仕方ありませんわね。」
同じ顔を向け合いながら、二つの三日月は笑っておりますわ。
これで今公開できる情報は全部公開したんじゃないでしょうか。考察勢の方は夏休み編の間ゆっくり考えてみてください。いつでも面白い回答をお待ちしております。
ガッツリ展開予想をする方はXのDMかハーメルンのメッセージにお願いします。なるべくすぐにフォローします。
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狂三さんが何を考えていたかの情報公開です。狂三編で狂三が考えていたことはただ一つ。愛君と絶対戦いたくない。それだけです。
このまま裏話に行きましょう。狂三編の裏側について。
狂三はアホみたいな難易度の勝負に頭を抱えました。愛君とまともに戦うと覚醒するかもしれない。七罪を人質に取ろうとしても、普通に強くて機転が利くから無理。
だから、士道を食べて覚醒する間もなく食べる。これしかないと思いました。
装備壊して、フラクシナスを攻めて愛君を戦場に来させない作戦成功。そして、琴里と真那にボコられる。狂三はメンタルボロボロにされました。頑張れ狂三。