ちなみに今回の四糸乃のデートコーデはこんな感じです。気になる方は見てみてください。今回から適当なオリジナルキャラに服を着て貰うことにしました。誰かに似ているように見えるかもしれませんが、オリジナルキャラです。
https://www.pixiv.net/artworks/129278450
「すぅー、はー。」
士道さんの部屋のドアの前で私は深呼吸をします。胸がドキドキしてるのが自分でもよく分かります。
「四糸乃、大丈夫?やっぱり、よしのんが士道くんを誘ったほうがいい?」
よしのんは私を心配してくれます。とても優しい、私のお友達。
「大丈夫、だよ、よしのん。私が……士道さんを、誘いたいの。」
よしのんに頼ってばかりの弱虫な私じゃ、士道さんに振り向いてもらえないから。
「……そうだね。愛くんがせっかく状況を整えてくれたからね。」
「うん。」
愛さんのメモを見ます。中にはデートのアイディアがたくさん書かれています。
楽しそうなものから、少し恥ずかしいものまで。どんな風にしたらいいか、とっても細かく。
愛さんは優しい人です。とても優しくて、同時に
『四糸乃、これはあくまで僕とマリアからのアドバイスだ。これをどう活用するかは四糸乃に任せる。
採用したいものだけ、採用すればいい。案をそのまま使ってもいいし、好きなように改造して構わない。
そして、
全部四糸乃が選ぶんだ。僕は四糸乃に
愛さんはチャンスをくれました。でも、私が勇気を出さないとデートはできません。
よしのんではなく、私に言っていました。よしのんが隣にいるのに、愛さんは私しか見ていませんでした。
ここでよしのんに頼る私じゃダメです。愛さんや七罪さんみたいに、私も勇気を出します。
「入っていいぞ。」
ノックをすると、士道さんの声が返ってきました。汗ばむ手を服で拭ってからドアを開けます。
「士道、さん。」
「四糸乃だったのか。」
ドアを開けると、士道さんが椅子をターンさせてこっちを見ています。
士道さんと丁度目が合ってドキっとします。言葉が出てきません。
「あらあら、士道くん。四糸乃が部屋に入るのは嫌なの?」
よしのんがいつもの調子でカバーしてくれました。ありがとう、よしのん。
「そういうことじゃないさ。最近、俺の部屋をノックしてくれる人はいないからな。琴里も十香も遠慮なく入ってくるんだ。」
士道さんは困ったように頬をかいています。
「あれま、思春期の男の子がそれは大変じゃない?」
「もう慣れっこさ……。俺にプライベートは、ない……みたいだ。」
士道さんは明後日の方を見ながら、遠い目をしています。よく分からないけど、大変みたいです。
「それで、どうしたんだ?」
士道さんは椅子に座って目線を合わせてくれます。その優しい瞳を見ていると、落ち着いていた心がまた激しく揺れます。
「あ、あの……。」
何を言えばわからなくなってしまいました。練習した言葉が出てきません。
「四糸乃、落ち着いて。」
よしのんが顔の前に体を出して止めてくれました。士道さんの前で大失敗しないように。
「よしのん……。」
そうです。焦っちゃダメです。
もう一度大きく息を吐いて士道さんに向き直ります。
「士道さん。」
「ゆっくりでいいぞ、四糸乃。」
士道さんは待っていてくれました。私が落ち着くまで急かさず優しい目で見守りながら。
やっぱり、士道さんは素敵な人です。そんな士道さんと、デートがしたいです。
「こ、今週の土曜日、一緒に、デート、しませんか?」
私は十香さんみたいに明るくないし、琴里さんみたいに士道さんと長く過ごした時間もありません。
折紙さんみたいに積極的なこともできない。自分に自信が持てないそんな私ですけど、少しでも、意識して欲しいです。
「……四糸乃、誘ってくれてありがとう。俺も四糸乃とのデートがしたい。」
士道さんは微笑んでくれました。士道さんとデート。嬉しくて仕方ありません。
「それじゃあ、どこに行くか考えないとな。どこがいい?」
「士道さん、おうちでデート……しませんか?」
「それはいいけど、何か理由でもあるのか?」
士道さんはお出かけしない理由が気になっているみたいです。ここで本当の理由を言っちゃダメです。
『封印のことを話したら、確実にキスできるけど霊力の封印に意識が行ってしまう。士道さんと純粋にデートを楽しみたいなら、封印のことは意識させない方がいい。話さないなら、自力でムードを作らないといけないけどね。
琴里たちには話を通しておいた。最悪、封印できるように後から手配する。
四糸乃の気持ちで選んだらいい。キスを実力で勝ち取るか、確実なキスを望むか。』
愛さんは険しい道と安全な道を両方用意してくれました。ここで安全な道を選んだら、今までの私と変わりません。
「愛さんに、士道さんと一緒にしたら楽しいことを、教えてもらい、ました。士道さんと一緒に、やりたい……です。」
私は変わりたいです。皆さんに負けないよう。
「そうか、分かった。土曜日は二人でおうちデートしようか?」
「はい!」
士道さんの撫でてくれる手が、とても気持ちいいです。頑張ってみて、良かったです。
♦♦♦
士道さんの家のチャイムを鳴らします。いつも来ているけど、今日は特別ドキドキします。
今日はおうちデート、だから。お洋服も七罪さんと一緒に選びました。
「よしのん、大丈夫かな?」
「だいじょーぶ。これなら士道くんもイチコロだよ。」
「そう、かな?」
七罪さんも愛さんも『かわいい』っていってくれました。士道さんもそうだったらいいな。
玄関の扉を開けて、士道さんが顔を出しました。
「待ってたぞ、四糸乃、よしのん。入ってくれ。」
「お邪魔します。」
士道さんに言われるまま、家の中に入って靴を脱ぎます。その間、士道さんの視線を感じました。
「士道くん、もしかして見惚れちゃった?四糸乃の可愛さにノックアウト?」
同じことを思ったよしのんが、代わりに聞いてくれます。士道さんは、どう思ったでしょうか?
「え、えーっと……大人っぽくて、きれいだよ。」
士道さんは顔を背けてながらも、褒めてくれました。少し赤くなってます。
「っ~~~!。」
「あら~、士道くんも言うじゃな~い。」
士道さんが、きれいって言ってくれました。大人っぽいって。
どうかなってしまいそうです。こんな調子で今日いっぱい持つでしょうか?
「琴里は友達の家に泊りみたいだ。十香も七罪と一緒に勉強中らしい。
今日は家には誰も来ないから、ゆっくりできそうだ。」
「ひゅ~、絶好のデート日和じゃな~い。四糸乃は幸運の星の元に生まれてるのかもね~。」
「ははは、そうだな。」
よしのんはあんな風に言ったけど、本当はそうじゃないことを知っています。みんな、邪魔しないように気を回してくれました。
私はお友達に恵まれています。感謝してもしきれません。
今日のデート、ぜったいに成功させます。私のために協力してくれた皆さんのためにも。
♦♦♦
「それで、最初は料理だっけ?」
「はい、いつも士道さんに、作ってもらってばかり、なので。」
士道さんの料理は美味しいですが、任せっぱなしだと、士道さんも大変です。私もお手伝いできるようになりたいです。
「ありがとうな、四糸乃。」
「えへへ。」
そんなこと言われるなんて。口が緩んでしまいます。
「作るのは親子丼だよな。四糸乃、親子丼好きだよな?」
「……はい、好きです。」
士道さんが初めて会ったときに、作ってくれた料理、ですから。あのときの味は忘れられません。
材料は用意してもらいました。鶏肉、卵、玉ねぎ、お米、調味料。全部ばっちりです。
「エプロン貸そうか?」
「大丈夫です。今日のために、買って来ました。」
よしのんに似ているウサギがプリントされた、かわいいエプロンです。一目ぼれしちゃいました。
エプロンをつけようとしますが、上手く紐が結べません。そう言えば、買ったときは七罪さんが結んでくれました。
気持ちばかり焦って、結局エプロンはつけられません。どうしたら良いんでしょうか?
「そっか、後ろで結ぶの難しいよな。俺も最初はできなかったよ。」
士道さんは私の後ろに回って、慣れた手つきで紐を結んでくれます。
「士道くんったら、テクニシャンなんだから。」
よしのんはおどけながら言っています。私もとても上手だと思いました。
「ただの慣れだよ。慣れるまでは大変だと思うから、誰かに手伝ってもらうといいさ。俺がいるときはいつでも手伝ってやるし。」
「……はい。」
料理を手伝ったら毎日これをしてもらえる。これからは積極的にお手伝いします。
「まずは米を研ぐぞ。最近は無洗米もあるけど、ちゃんと研いで炊いた方が美味しいからな。」
「よしのんのスーパーテクニックを見せちゃうよ~。」
よしのんはビニール袋を被って準備万端です。これなら濡れたり汚れたりする心配もありません。
士道さんはお米を量って、ボールに重ねたざるに入れます。そして、水を加えてから私に渡してくれました。
「だいたい三十回かき混ぜて洗うんだ。」
「こうですか。」
よしのんに支えて貰いながらかき混ぜます。水がどんどん白っぽくなっています。
「そうそう、上手いぞ。」
「士道くん、なんで泣いてるの?」
よしのんの言う通り、士道さんの目の端から涙がこぼれていました。何か悲しいことでもあったのでしょうか?
「いや、米を洗うって言って、洗剤を出さない子が初めてで。」
よく分かりませんが、士道さんの涙は嬉し涙だったみたいです。痛いことや悲しいことがなくて良かったです。
♦♦♦
士道さんに教わりながら、鶏肉や玉ねぎを切って炒めました。
士道さんは私に教えながら卵を割っていました。片手でやっていて、かっこよかったです。
「さあ、完成だ。」
「お~。」
「おいしそう、です。」
赤と黒のお椀に入った親子丼からは熱々の湯気が出ています。吸い込むと出汁の香りがしてよだれが出てきます。
「「「いただきます。」」」
スプーンですくって口に入れると、半熟の玉子が口の中でとろけます。幸せな気持ちになります。
「その反応を見ると、また作りたいなって思うよ。」
士道さんは嬉しそうに見ています。そんな子供っぽい反応をしていたでしょうか?少し恥ずかしいです。
「四糸乃は本当にいい子だな。将来、きっといいお嫁さんになれるぞ。」
士道さんの言葉を聞いて、嬉しくなりました。でも、少しもやっとしてしまいました。
まるで、他人事のように聞こえたので。
「士道くんはどんなお嫁さんがいいの?」
「俺か?」
よしのんが士道さんの好みを聞いています。聞いてみたいような、聞きたくないような不思議な気分です。
「あんまり考えたことないな。まだ高校生だし、かなり先の話だと思うから。」
士道さんの答えは曖昧なものです。どこかほっとしている自分がいます。
士道さんの周りには魅力的な方がたくさんいますから。誰かに心を奪われていたら、どうしようかと思いました。
「これってイメージはないな。
元気な人かもしれないし、優しい人かもしれない。芯の強い人かもしれないし、誰にも負けない個性を持っている人も悪くないと思う。
どんな人か分からないけど、自分で選んだ人を大事にしたいな。」
士道さんの言葉を聞いて、頭に二人の顔が浮かびました。楽しそうに暮らしているお二人が羨ましいのでしょうか?
「悪い、答えになってないな。」
「いいえ、素敵な考えだと思います。」
お二人を見ていると私も少し憧れます。あんな風にはなれませんが、近づけたらいいなと。
♦♦♦
「二人とも、心と体が温まって来たころでしょ。ここでよしのんプレゼンツだよ~。」
よしのんは鞄からあるものを取り出します。それは二人で選んだ一枚のディスクです。
「一体、どんな内容なんだ?」
「それは見てからのお楽しみ~。うふふ、今のお二人にはぴったりだと思うよ~。」
よしのんと一緒にテレビへセットします。士道さん、楽しんでくれるかな。
士道さんとソファに並んで、再生ボタンを押しました。私もあらすじを見ただけなので、どんな内容か楽しみです。
「ねえねえ~、そんな離れてないでくっつきなよ~。もっと、ぎゅっとね。」
よしのんは面白くなさそうにしています。士道さんと私の間の一人分の間が不満なようです。
今日はいつもよりいっぱい後押ししようとします。よしのんも今日が大事だと思ってるんだね。
「いや、それはえっと……。」
士道さんは困っています。だから、私から動きます。
少しお尻を浮かせて、士道さんとの隙間をなくします。手と手が当たって、士道さんの息遣いがよく聞こえます。
「士道さんが、嫌じゃなければ。」
「いや、そんなことは、ないぞ。」
士道さんも恥ずかしいみたいです。でも、嫌がっていないと思います。
「ひゅ~。」
ありがとう、よしのん。でも、エッチな子だと思われていないでしょうか?
映画も半分が過ぎて、大事なシーンが始まりました。男の人と女の人が、電車が止まってしまって、帰れなくなっているみたいです。
タクシーも断られてしまって、ホテルに泊まるしかありません。でも、ホテルもお部屋が空いていないみたいです。
必死に探してなんとかお部屋を見つけました。そのお部屋が。
『ツインが一部屋か。』
『ここしか空きはないみたいね。』
広いお部屋に大きいベッドが一つしかないお部屋のことです。恋人さんが一緒に寝るベッドだと思います。
『俺はネカフェでも探すよ。間違いが起こったら大変だ。』
男の人が荷物を持って出ていこうとします。どしゃぶりの嵐の中を。
女の人がその手を引いて止めました。
『ここはホテルの少ない田舎よ。急に新幹線が止まったから、ホテルはいっぱいいっぱい。ネカフェだって、空いてるかどうか分からないわ。』
『だからって……。』
『あなたがこの嵐の中、倒れてしまう方が問題よ。』
女の人は真剣な顔をしています。男の人は結局、同じ部屋に泊まることを決めたみたいです。
最初は床の上にタオルを敷いて寝ていましたが、凄く寝づらそうにしています。何度も寝返りをして、変な格好になっています。
『辛そうよ。ベッドで眠らない?』
女の人が掛布団を上げて男の人を誘います。パジャマがはだけて、太ももや胸が見えてしまいそうです。
『で、でも。』
『明日も移動しないといけないのに、疲れが取れないままだと大変よ。』
女の人を見ているのが恥ずかしくなってきます。耳の奥まで熱くなって、身体に火が点いてるみたいです。胸がドキドキ鳴っています。
思わず、目を逸らしてしまいました。すると、今度は士道さんと目が合います。
士道さんの顔も赤くなっています。まるで、映画の二人のように見つめ続けます。
女の人を見るよりも、もっとドキドキしました。私が映画の中に入り込んでしまったみたいで。
『茜が悪いんだぞ。』
『涼……。』
二人がベッドの上でキスをしました。そこで画面が窓の外へ移動して、次に部屋が映ったときは朝になっていました。
「ドキドキしちゃったね~。と~っても優しい、恋のお話だよ~。」
よしのんは楽しそうに笑っています。その言葉を聞いて、私と士道さんは何も言えなくなってしまいました。
こんなにエッチな内容だとは思ってなかったよ、よしのん。キスの先までされたら、どうしよう……。
四糸乃ってだいぶ攻めたことしてるんですよね。十二巻の水着とかアンコールのお仕置き要求とか。だったらこれくらいやるかって気持ちでやりました。世界改変前の折紙と違って恥じらいがあるから火力上がるんですよね。
今回の裏話。愛くん&七罪の学力について。
二人は高校生基準で高い学力の持ち主です。仮に、士道のクラスに転入したら、折紙以外を圧倒して学年二位になります。だから、暇つぶしに十香や四糸乃の家庭教師役をしています。こいつらが中学校に入るのか……。