ちなみに今回の衣装もAI生成しています。よかったらどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/132460597
目が覚めたとき、愛がいた。同じベッドで同じ布団をかぶって寝てた。
男女が二人。並んで眠ってる。
そして、私は半裸の状態。下着も微妙にはだけてる。
私が見たら誤解する自信がある。『昨晩はお楽しみだったのですね、早くシャワー浴びた方がいいですよ』って扉閉めるわ。
というか、ちょっと待って。まさかとは思うけど本当に事後?
確証は持てないけど、状況を見る限りそうとしか思えない。
私、初体験の記憶飛ばした?昨日の夜、愛に手を出された?
いや、それ自体はずっと望んでたんだけど。思い出がないのはちょっと……。
とりあえず、シーツや自分の身体を確認して証拠を探す。キスマークとか変な汚れとかないかしら?
……ダメね。もしかしたら、霊力で簡単に処理したのかもしれないし、何もわからないわ。
愛はすやすや眠ったまま。今も気持ちよさそうに寝返りを打ってる。
見ててイラっとする。私がこんなに困ってるのに。
とりあえず、何があったか確認しないと。
「愛、起きて!」
肩を揺さぶって起こす。結構強くするけど、なかなか起きない。
こいつ寝起きはいいんだけど、自分のペースでしか起きないのよね。普段はそれで困ったことなんてあんまりないんだけど。
「ん~、どうしたの、七罪?」
目をこすりながらやっと起きた愛。目をぱちぱちさせている。
「ちょっと、なんで私こんな姿で愛と同じベッドに寝てるのよ⁉ヤルことやったの⁉」
愛の胸ぐらをつかんで揺さぶる。こんな気分じゃ今日のデートを楽しむなんて無理。
「えっと、落ち着い、て七罪。ちゃん、と説明す、るから」
愛は頭をがくがくされながらも器用にしゃべる。その言葉を聞いてとりあえず、手を引く。
「まず、同じベッドで寝てる理由は七罪自身がそうしたからだよ。自分で覚えてない?」
「え?」
愛の指摘を聞いて、昨日のことを思い出す。私昨日どうしてたっけ?
確か、変身した姿で愛とデートしてたわよね。それで、昨日はその姿のまま寝るまでずっといて。
寝るときは……。
『たまにはおねーさんと一緒に寝ましょう』
「何言ってんのよ、昨日のわたし~!!!」
愛に好きって言われて調子に乗りすぎよ。なんでそんな痴女みたいな、恥ずかしい真似してんのよ。
愛が相手だから男女のあれこれって意味では問題ないけど。それ以外の部分で問題があるのよ。
「どうどう、落ち着いて七罪」
特に慌てた様子も見せずに私をなだめにかかる愛。どうしてこいつはこんなに落ち着いてるのよ。
「じゃあ、この格好は?私、流石に下着姿でベッドに潜った覚えはないんだけど!」
あっちの姿だったらやるかもしれないけど、こっちの姿でやるような度胸なんてないわよ。
「大人の姿だったら、着てた服は霊力で出してたんじゃない?」
「……そうね」
昨日は確か大人の姿でずっといたわ。そんな服、買うのもあれだから霊力で出してた。
「寝たから服を維持できなくて消えたと思うんだけど。変身する前どんな格好だった?」
「あ!」
そう言われて一気に思い出す。昨日出かける前に、下着姿のまま変身したわね。
それで、一日中過ごして一緒に寝ちゃった。だから、こんな姿になってるのね。
よかった、私は記憶を飛ばしてないし、まだ手を出されてない。
「ってよくない!何よ、その酔っぱらった親父みたいな所業は!愛しかいないからって、節操なさすぎでしょ!」
枕をベッドにたたきつけて、この抑えがたい衝動を発散させる。あっちの姿になると、無駄に気が大きくなって変な行動ばっかりするのよ。
やっぱり、あの姿なんてならない方がいいじゃない。私のバカバカバカ。
「とりあえず、ちゃんとした服、着た方がいいんじゃない?」
「は⁉」
自分の姿を見下ろす。誘惑とか以前に、ただただだらしない。
肩紐が半分以上外れているブラ(こんな薄い胸に必要かって?そんなこと私自身が一番わかってるわよ)。履きっぱなしで匂っていそうなショーツ。
髪もぼさぼさで梳いてないし、顔も洗ってない。どう考えても男の前に出ていい恰好じゃない。
愛でもこの格好には幻滅……しないような気もするけど、流石にこの格好でいるのはダメ。
「愛、ちょっと部屋の外に出てなさい!」
「……はい」
愛は不服そうな顔をしながらも、大人しく外に出ていく。それを見て最低限の身だしなみを整え始める。
服は、とりあえず霊力で出したのでいいわ。デート用は後で着なおす。
とりあえず鏡を……。そこまでいってようやく気付いた。
「そういえばここ、愛の部屋ね」
一応、このヴィラでも部屋は分けてる。ここは愛が荷物を置いた愛の部屋。
私が愛のベッドにもぐりこんだんだから、当たり前っちゃ当たり前よね。
……というか、冤罪吹っ掛けた上、しれっと部屋まで奪ってるじゃない。もしかしなくても、私の行動って人として最悪?
落ち着いた顔で朝食の準備してた愛に謝った。どう考えても私が十割悪いわね。
♦♦♦
「さあ、気分を変えていこう。今日も旅行を楽しむぞー!」
愛はわざとらしく声を上げる。気まずい空気を払拭しようとしてくれているのね。
「そうね、楽しみましょう」
帰ったらファッションショーとその撮影を約束させられたけど、安いものよ。どうせ毎日撮られてるんだから。
しかし改めてこいつ、あの騒動の中ずっと落ち着いてたわね。今回に限らず、前からずっとそういう欲がない風を
よく考えたらあいつの写真の中に際どいものはないわ。むしろ、かわいい服を着たときのものばかり。
折紙みたいに性欲全開だったらそれはそれで引くけど、愛の場合は娘か孫でも撮ってるのかってレベル。
でも、本人の様子見てる感じ、枯れてるわけでもないと思うのよね。ちょくちょく愛の視線は確かに感じるし。
これ以上進むには愛の欲望を無理やり引きずり出さないといけないわね。
やっぱり”アレ”試してみるべきかしらね?
♦♦♦
七月の終わり。私たちの誕生日の直後。
『はい、カレン・メイザー……』
「何渡してくれてんのよ、カレン!」
電話に出た相手を確認してすぐに怒鳴りつけたわ。誕生日プレゼントにとんでもないことしてくれた馬鹿に対して。
『ああ、七罪ですか。久しぶりですね。私からの誕生日プレゼント、有効活用していただけたでしょうか?』
私の怒声をサラッとスルーしてマイペースに話すカレン。相変わらず、やりにくいわね。
「有効活用していただけたでしょうか?じゃないのよ!あんた何渡してくれてんのよ!」
琴里を経由して渡されたウッドマン議長のプレゼントには、おまけがついてた。誰が用意したかよく考えなくてもわかるような代物が。
「喜ばれることはあっても、怒られるようなことはないと思いますが……。何かあの衣装に問題でもありましたか?もしや、サイズに問題でも?」
「……衣装に問題はなかったわ。不気味なくらいサイズぴったりだったわよ」
中を見てみてびっくりしたわ。明らかに
一応、着てみたけど全く違和感がなかった。多分、どっかのタイミングで私のサイズの測ってたのね。
「そうでしょうね。私も懇意にしている店ですから」
「あんた、あれ作ってる店の常連⁉」
マジで頭ぶっ飛んでるわね。ウッドマン議長の苦労が偲ばれるわ。
「あんなもの渡して、私に何を期待してるのよ⁉」
「無論、夜の生活に刺激を加えることですが。そろそろマンネリ化が始めるころではないのですか?」
「初めてすらまだなんだけど⁉」
なんでこいつ相手にとんでもないことぶっちゃけてるのかしら?いや、悪いのは羞恥心が存在しないカレンね。
「おや、そうでしたか?あなたたちの関係を考えると、くっついたらすぐだと思っていたのですが」
「それは……」
カレンの言ってることは的外れでもない。いろいろあって、私たちは順番がおかしくなってる。
キスよりも先に同棲始めてるし、付き合ったのなんて本当に最近。普通ならとっくにそんな段階越えてる関係だと思う。
「前から思っていたんですよ。さっさとくっついてしまえばいいのに、と。
互いに好きあっているのに、ずっと微妙な関係のままうじうじ。クスリを飲ませて二人きりで監禁することを考えたくらいです」
「あんた、そんなこと考えてたの⁉」
とんでもないことをぶっちゃけてくる。こいつ、優秀だけどかなり変なのよ。
「冗談ですよ。そんなことしません」
「……本当に冗談よね?」
やるかやらないかで言ったら、ギリギリやりそう。それくらい、こいつのブレーキは性の緩いから。
本当にラタトスクにまともな人間はいないの?
「あなたたちを放置していたら、永久にあのままな気がしましたから。愛はとんでもない奥手だったでしょう?」
「……まあね。日本に戻ってからは、かなりわかりやすいように迫ったわよ。逃げ場をなくす感じで」
愛はそもそも人の好意に鈍感。わかりやすくしてやらないと気づきもしない。
その上、気づいた上でスルーするときもある。恥も外聞もかなぐり捨てないと、あの朴念仁は捕まえられなかった。
言い逃れなんてできないよう、徹底的に逃げ道塞いで。気持ちはちゃんと誤解の余地がないようストレートに伝えて。
それでやっと首を縦に振らせた。本当に長かったし大変だったわ。
「お疲れ様です。心から賞賛しましょう」
「ありがと」
カレンに礼を言う。いや、本当に疲れた。
「でも、ラタトスクは私を封印したいんじゃないの?愛と深い関係になったら、封印なんてできないじゃない」
ラタトスクの最終目的は全ての精霊の霊力を士道に封印すること。そのためには士道に惚れさせないといけない。
いや、そんなこと今更御免だけど。ラタトスクなら、私と愛がくっつくのは妨害したいんじゃないのかしら?
少しでも封印の目を残すため。わずかでも士道に惚れる可能性を上げるため。
「確かにそうですね。あなたたちの恋路はラタトスクにとって、最大の障害となるでしょう」
「はっきり言うわね。そこまでわかってて、どうして応援してくれるの?」
応援してくれるのは助かる。でも、動機がわからないと不気味。
私たちとラタトスクはあくまで利害関係。のんきな愛の代わりに気をつけておかないと。
「私も恋する人間ということですよ」
「どういうこと?」
話がつながってるように思えない。カレンの恋と私たちの恋を応援することがどうつながるの?
「あなたたちの恋が報われてほしいのです。そうでないと、世界があまりに理不尽ではないですか。
想い合う男女が順当に結ばれる世界。それが私の願望ですよ」
「カレン……」
正直、そんな答えが返ってくるとは思わなかった。そういえば、ウッドマン議長への恋心だけで人生全部かけたやつだったわね。
「別に警戒するなとは言いません。ただ、私も人間です。損得だけで動けるほど賢くないのですよ。その服は私の本心と思っていただきたいですね」
ずいぶん遠回しな応援ね。ラタトスクに背くようなことだし、仕方ないのかも。
「ふん、ありがたく有効活用させてもらうわ。初めての思い出には悪くない衣装だし」
「そうですか。朗報を期待しています」
カレンは少し嬉しそうにしてた。ラタトスクってなんだかんだ、DEMよりは真人間が多いのよね。
♦♦♦
”アレ”はカバンの底に入れて持ってきてる。旅行で雰囲気は作れると思うし、明日は帰っちゃう。
やるなら今日よね。大丈夫、きっと問題ない。
深呼吸をして前のめりになりすぎてる気持ちを抑える。今は朝、勝負は夜。
まだデートを普通に楽しむだけでいいわ。
「どうしたの、七罪?なんか神妙な顔してるけど」
いつも通り、ぽやっとした顔してる愛。そんな顔してられるのも今だけよ。
「なんでもないわ」
覚悟は決めた。今日、愛を堕とす。
♦♦♦
今日、一番最初の行先はビーチ。昨日水着着たばっかりだけど、明日に回すこともできないし、なによりこの水着を見せておきたい。
愛が選んで買ってくれた三着の水着。その中でまだ着てない最後の一着。
全部着る機会を作るなんて冗談かと思ってたけど、なんだかんだ本当に実現させちゃったわね。執念深いというか、義理堅いというか。
改めて、これから自分の着る水着を見つめる。これでもかってくらいフリルのついたピンクのかわいい水着。
「……ないわね」
愛は散々褒めてたけど、やっぱり私なんかが着ても似合わないと思うわ。多分、あいつの目には私がかわいく見えちゃうフィルターがついてるのよ。
まあ、あいつが望むなら着てやりましょう。わがままな彼氏の願いを聞いてあげるのも彼女の役目よ。
さっき見た感じ、私たちぐらいしかいなかったし。恥をさらすこともないでしょ。
……じっと見ていても仕方ないわね。さっさと着ましょう。
どうせ今晩はもっと恥ずかしいの着るんだから。この程度で悩んでられないわ。
♦♦♦
「あ、こっちこっち」
先に水着へ着替えた愛はビーチパラソルを立てながら待ってたわ。
「待たせたわね。あ~、落ち着く~」
早速、ビーチパラソル陰に入って日の光から身を守る。紫外線で肌にダメージとか精霊の私は無縁だけど、なんとなく嫌なのよね。
なんというか、私がいるべき場所じゃないっていうか。私は光と相いれないっていうか。
安心感に浸っていると、遠慮のない視線を感じたわ。見るまでもないわね。
振り向いてみると、予想通り愛がニコニコしながら見つめていた。目の奥から獣のような気配を感じる。
愛は付き合うちょっと前くらいから遠慮するのを止めた。いや、遠慮してるのかもしれないけど、明らかに前と比べて露骨になってる。
普段の生活でも視線を感じるけど、珍しい服を着てるときはより一層。水着なんてひと際ね。
男が胸とか太ももとか見る視線って結構わかりやすいのよ。愛も例外じゃない。
思わず手で身体を隠したくなるけど、我慢して手を止める。
この視線を望んでたんでしょ。怖気づいてどうするのよ。
「見とれちゃったかしら?」
ない胸張って、大人のときと同じ要領で身体をくねらせたポーズをとる。後で見返したら、一時間はベッドの上で転がる羽目になると思う。
この寸胴みたいな身体でやってもお笑い種にしかならない。けど、愛だけには効くって知ってる。
「あー、いいね。本当にいいよ、七罪。
選んだときも似合ってるって思ってたけど、水着はちゃんとこういう場で着てこそだよね。
太陽の下でこそ、女の子の水着姿は輝く。お姫様みたいでかわいいよ、七罪。
微妙に無理してるところも最高だよ。恥じらう姿が素晴らしい」
「そ、そう」
愛と顔を合わせ続けるのが恥ずかしくて顔を伏せる。興奮しすぎてちょっとトリップしてるわね。
昨日、ほめてくれた時とは違う。あのときはまだ理性が支配してた。
でも今は本性が仮面の奥から漏れ出してる。息が荒いし、抑えた口元は吊り上がってる。
ラタトスクを手玉に取る策士の顔でもない。DEMを殺し続けてきた
中学生の男の子の顔。年相応の欲に従う顔。
正直、怖い。いつもの優しい愛じゃなくて、拒否したくなる。
でも、安いものよ。こんな身体一つで愛を繋ぎ止めておけるなら。
愛の性格を考えたら、手を出した相手を捨てられない。生真面目で融通が利かないから、きっと一生責任を持ってくれる。
同情でも哀れみでも構わない。ずっと一緒にいられるなら。
まっとうなやり方じゃない。もっと正しい手順を踏んで、きれいな感情で寄り添うべきだとわかってる。
でも、いつか離れていくんじゃないかって、ときどき不安になる。私が愛されてるのは、愛のことがちょっとわかってて、受け入れられてるから。
そんな奇特な奴、いないと思う。でもそんな女がどこかにいるかもしれない。
そのとき、私はきっと捨てられる。誰かが恋敵として現れたら、勝てる自信なんてどこにもない。
不安と嫉妬は私の心と身体を突き動かす。今、できることをしなきゃって思っちゃう。
十香や四糸乃には絶対見せられないどろりとした感情。でも、勇気を与えてくれる言葉がある。
――七罪を……僕に依存させたいと思っています。一生僕から離れられないように、七罪の心を縛りつたいと思っています。――
愛がそんな醜い愛情を肯定したんだから。愛してくれるなら、まともじゃなくていいって明かしてくれたから。
私わかってるのよ。あんたが答えを出した後も根っこが変わってないこと。
私も愛も愛情に飢えてて、それを手に入れるためなら何でもする人間。身体を差し出すくらい、なんでもないわ。
少しずつ、おかしくなってる自覚がある。いつか、心まで人間を止めちゃうような気もする。
でもいいのよ。そんなものより大切なものがあるから。
「ほら、行くわよ」
「おっとっと、珍しくやる気だね」
愛の腕をつかんで、海の方へ歩き出す。愛は意味ありげにニヤニヤしてる。
私が恥ずかしがってると思ってるんでしょうね。まあ、間違ってないわよ。
こんな水着、好き好んで着ないし。でも、愛を興奮させる小道具になるなら、喜んで受け入れるわ。
こんな薄い胸見て何が楽しいのか知らないけど、好きなだけ見たらいいわ。それで釣れるなら、どこ見ても構わないわよ。
愛の視線は怖いけど、嬉しいとも思ってしまう。それはこの貧相な身体が愛を繋ぎ止める鎖になるって証だから。
お願いだから一生愛して、愛。私に差し出せるもの、全部あげるから。
というわけで、七罪がかわいい(?)お話でした。七罪の愛君に影響されて進化しています。暗黒進化かもしれませんが。
さて今回の裏話は七罪の自分の見た目への認識について。
七罪は自分がかわいいだなんて思ってません。愛君が特殊性癖で、愛君だけに特化してると思っています。そんなことないんですが。大人七罪よりも素の七罪の方が好きって人、一定数いるんじゃないでしょうか?