今回も衣装のAI生成があります。
メイド服です。
七罪
https://www.pixiv.net/artworks/135525854
折紙
https://www.pixiv.net/artworks/135525897
夜、急に女の子にされた俺。新たな精霊の少女、誘宵美九と愛に招待されて豪邸でティータイムを迎えていた。
愛と同じ服を着たメイドさん二人がケーキと紅茶を運んで来る。その少女たちもかなり見覚えがある。
片方は腰まで届く翡翠色の癖っ毛。四糸乃や琴里と同じくらいの小さな体躯。
そして、不機嫌そうな顔。
もう片方は白いショートのボブカット。スレンダーで鍛えられた肉体の持ち主。
全く変わらない表情の読めない顔。
「七罪、折紙?」
どう見ても七罪と折紙だった。愛と一緒にこの家でメイドをやっているようだ。
「なによ、士織ちゃん?何か文句でもあるの?」
七罪はぎろりと俺をにらむ。野生の獣みたいに気が立っている。
「いや、別にそんなことは……」
「うっさいわね。わかってるわよ、私がこんなの着ても似合わないことくらい。
でも仕方ないでしょ。美九がこの家に泊まる代わりに着ろってうるさいんだから」
否定する前にまくしたてられた。相当不満が溜まっているようだ。
「ほ~ら、七罪。一応お客さんの前なんだから抑えて。後で不満は聞いてあげるから」
「…………」
とさかに来ている七罪を愛が後ろから優しく抱きしめる。頭をポンポンとなでていると七罪は少しずつ大人しくなる。
やっぱり仲いいな。こんなときでも二人で支え合ってる。
「ああ、たまりませんね。かわいい女の子が陸み合っている姿は最高です~」
美九が危ない笑顔で二人を見ている。なんだろう、本能が警鐘を鳴らしている。
『たった今、誘宵美九の情報が手に入ったわ。今流行りのアイドルと同じ名前よ。聞く感じ同一人物ね』
「へ~、そうなのか」
確かにその見た目と声で食っていけそうなクオリティだ。アイドルって言われても素直に受け入れられる。
「アイドルなのに極度の男性嫌い。顔出しNGで表には姿を一切現さない。ただ、稀に女の子のファン限定のライブを開いて、お持ち帰りすることまであるって話よ」
「おい、それって……」
「女の子大好きな百合っ子ってことね。士道、あなた目をつけられてるわよ」
ぶるりと身体を震わせる。さっきまでの悪寒はそういうことだったのか。
この姿も美九好みの見た目ってことか。愛のやつ、なんてことを考えやがる。
怯えていると後ろからパシャパシャという聞こえてきた。振り向くと奴がいる。
「いい、すごくいい。士織の生きる全てが奇跡のワンシーン」
カメラを構えて目にも留まらぬ早さでシャッターを切るメイド。言うまでもなく折紙だ。
「何やってんだ、折紙?」
「士織の姿を記録している。こんな姿は二度とお目にかかれないかもしれないから」
「止めて!」
とても女の子らしい悲鳴が出る。こんな姿、一生残されてたまるか!
「恥じらっている姿も素晴らしい。襟元をちょっとはだけさせて」
「やるわけないだろ!」
折紙に向けてカバンを投げる。それを左手でキャッチしながら右手で写真を撮り続ける。
その執念はどこから来るんだ?
「あっ折紙さん、私も欲しいですぅ。後でデータを見せてください」
美九が手を上げて参加する。どうして俺の女装なんか欲しがるんだ。
「それもメイドの業務?」
「はい、そうですよ~。お客様の記録をご主人様に報告することも、メイドさんの大事な業務の一つです~」
「そんなわけあるか!どこの世界のメイドだ!」
美九があまりにサラッと嘘を吐くからツッコミしてしまった。この空間とてつもなく疲れる。
♦♦♦
「さて、今度こそティータイムを始めましょうか。私たちも参加していいですか?」
手をパンパンと叩いて愛が進行する。こいつ、話の進行上手いよな~。
「勿論ですよ。かわいい女の子の参加は大歓迎です~」
愛の言葉に美九は強くうなずく。
ハーレムを楽しみたいのか。半分は偽物だけど。
「聞きましたよ~。士織さんは精霊さんとキスすることで封印できるエッチな女の子だって」
「エッチって、そんな……好きでそうなったわけじゃ」
好感度を上げてキスをすれば精霊を封印できる。なぜか俺に備わってる変な能力だ。
「とっても素敵じゃないですか~。キスをすることで困ってる精霊さんを助けることができるなんて。
それに~、士織さんみたいなかわいい女の子とのキスなら大歓迎ですよ~」
「えっと、それって封印させてくれるってことか」
それなら話が早くて助かる。今までにないくらい簡単に攻略が終わる。
「あ、それは遠慮させてください。私別に困ってないんですよね~。この声がある生活で十分満ち足りているんです~」
それは優しいけど、遠慮のない拒絶だった。俺の過去も気持ちも肯定した上で自分は要らないと言われた。
「い、いやでも大変だろ。空間震とか天使の制御とか。封印したらそんなこと気にせず生きていけるんだぞ」
「別にいいじゃないですか~。ちょっとの失敗で人間の百人や二百人死んだって」
「ごめん、今何て言った?」
あまりの言葉に耳を疑う。人が死んでもいいって言わなかったか?
「人間なんてちょっと死んでもいいって言ったんですよ」
小首をかしげてかわいく言う美九。でも、聞いてて気持ち悪さがこみ上げてくる。
「何だってそんなこと言うんだよ?友達や大事な人だっているだろ?」
「まあ、そうですね~。お気に入りの子が死んじゃうのは困ります~。新しい子を探す手間が増えますから」
聞いていて違和感がある。根元の価値観がずれ過ぎてる。
「人間を、何だと思ってるんだ?」
「かわいい女の子は私のお人形さんですね~。手元に置いて飽きるまでは遊んであげます~」
「男は?」
戦々恐々としつつ、続きを促す。その答えはやはり予想通りだ。
「害虫未満のゴミクズですね~。なんであの汚物は絶滅してくれないんでしょうか?」
かわいらしい笑顔で悪びれもせず言ってのけた。価値観が異常なほど歪んでる。
人間を人間として扱っていない。モノとして、あるいはそれ以上に酷い扱い方をしている。
『こんなイカレ女封印しないととんでもないことになるわよ』
琴里が毒づく。俺も同じ気持ちだ。
放っておいたらどれだけ被害が出るかわからない。精霊はみんな人間を簡単に殺せる力を持ってしまっているんだから。
「ふざけるなよ、人間はお前のおもちゃじゃない」
「そうですか?でも、人間なんて吐いて捨てるほどたくさんいるじゃないですか。ちょこっと死んだくらいで、そんな大げさですよ~」
自分の考えを悪いとすら思っていない。一番性質の悪いタイプだ。
「お前のこと何が何でも封印したくなったよ」
「あら、キスの宣言ですか~?嬉しいですけど、遠慮させていただきます~」
冗談めかした口調ではっきり拒絶する美九。
相手は取り付く島もないぞ。どうしたらいい?
「私は封印される気はありませ~ん。士織さんの気持ちは尊いけど有難迷惑です~――と、話をここで終わらせてもいいんですけど~、それじゃあ士織さんは困るですよね?」
美九が手を合わせて論調を変える。セールストークに乗せられてるみたいで不気味だ。
「それで、私が提案しました。士織さんと美九さん。二人が互いの大事なものを賭けて勝負するのはどうかと」
愛がケーキを頬張りながら話す。ケーキの皿を積み重ねて呑気なもんだ。
「美九さんのチップはキスです。士織さんがキスを求めたら美九さんは一切断れなくなる。これで、封印できるでしょう」
「やあ~ん、本当は士織さんみたいなかわいい子とは毎日したいんですけど~。今回ばかりは仕方ないです~」
美九は頬に手を当てながら身体をくねくねさせる。
既に美九の好感度はかなり高い。封印できるレベルにするのは難しい話じゃないだろう。
悪くない条件だ。……俺の姿を見ないことにすれば。
「士道さんのチップは今までに封印した精霊全員と士織さん自身の身柄です。
負けたら全員美九さんのメイドになる。美九さんはお手付きありで」
「な、何言ってるんだ⁉」
俺たちに出された条件は全然釣り合ってない。下手すると奴隷契約じゃないか。
「別に悪いようにする気はありませんよ~。かわいい精霊さんを酷い目に遭わせる気はありませんから~」
「そこは私が保証しましょう。美九さんが精霊に非人道的な行為をしたら、私が制裁を下します」
美九の言葉を愛が強く肯定する。愛の今までを考えると、その言葉は絶対だろう。
『とりあえず聞くだけ聞いてみなさい。別に聞いたから勝負を受けないといけないってわけでもないでしょう』
「勝負の内容は?」
琴里の指示通りに聞いてみる。
「天央祭の一日目の最優秀賞――なんてのはどうでしょう?来禅が取ったら士織さんの勝ち、竜胆寺が取ったら美九さんの勝ち」
美九は勝負の内容を明かした。不平等なんてもんじゃない内容を。
「くっ」
明らかにこっちが不利な勝負だ。
ただでさえ竜胆寺女学院は昨年の優勝校。味、内容、接客と全てにおいてレベルの高い模擬店を毎回出してくる。
「でも、どうして一日目なんだ?」
天央祭は連日行われる盛大なイベントだ。盛り上がりの最高潮になる最終日じゃなくてわざわざ一日目だなんて。
「……一日目のステージは音楽系がメインよ」
七罪がぼそりと呟く。それを聞いて胃に冷たいものが広がる。
アイドルと音楽系。つながりがないと思う方が不自然だ。
「まさか、美九お前?」
「うふふ、ええそうですよ。士織さんが勝負をしてくれるのなら~、私がステージに出てあげます。
本当はあまり人前に出たくないんですけど、精霊さんのためなら仕方ありませんよね~」
あまりの条件に息が詰まる。現役アイドルが学生のステージで発表?
草野球にメジャーリーガー呼んでくるようなものだぞ。勝負にすらならない。
「しっかし、七罪さんもいけずですね~。サプライズにしようと思ってたんですけど」
「流石にこれ言っておかないとフェアじゃないでしょ。」
にこにことしている美九と対照的に七罪は不機嫌そうだ。美九に一切目を向けず、口にケーキを放り込む。
俺たちをフォローしてくれたのか?焼け石に水だけど、知らなかったらとんでもない詐欺に遭っていた。
「あっ、そうだ。士織さんも何かステージでやってくださいよぉ。士織さんの晴れ姿、是非見てみたいですぅ」
美九はいいことを思いついたと言わんばかりに手を叩く。
「そんなの、そっちが有利過ぎるじゃないか!」
「士織さん、これで対等ですよ。士織さんは勝負を
愛は冷静に説明する。調停者みたいな顔してるけど、美九側に寄ってるとしか思えない。
「でも――」
「嫌なら勝負しなければいいだけです。美九さんが交渉のテーブルに乗るのはこれが最後でしょうけど」
愛は目を閉じて紅茶を啜る。どちらでもいいと言わんばかりに。
傲慢だけど筋は通っている。
「さて、士織さんどうします~?勝負を受ける以外に封印する方法はありませんけど~」
美九はおしとやかな笑みを浮かべている。ただ、その瞳はひどく歪んでいるように見えた。
明らかに不利だと分かってる勝負。でも、これを逃すとチャンスは二度とないかもしれない。
俺は首を縦に振るしかなかった。
♦♦♦
夕日が差す豪邸の庭。愛と俺は歩いていた。
一応、お客様を送り出してるみたいだ。
「愛、一体何を考えてるんだ?俺やみんなが美九のものになればいいって思ってるのか?」
あんな奴に協力して勝負のお膳立てなんかして。何がしたいのかわからない。
「別にそれでもいいと思ってます」
愛は冷たい声で言い放った。その目は以前、DEM相手に見せたものだ。
「な⁉」
「士織さんが、いえ士道さんが不甲斐ないのならそれも仕方ありません」
愛は淡々と言い放つ。俺たちの人生を賭けた勝負をこんなにも軽々しく。
「本気で言ってるのか?四糸乃も琴里も、あんな奴の玩具でいいってのか?」
「そこまではさせませんよ。そのために事前交渉してるんじゃないですか」
前にもこんな感じで無茶ぶりをして来ることはあった。でも、前よりずっと態度が冷たい。
「美九さんを攻略してください。できないならば、士織さんは今後ずっと美九さんのメイドです」
愛は掌を突き出し目を閉じる。そして目を開き呟く。
「
愛の手の中に白と黒の光が収束する。そこには白と黒の螺旋を描く杖が握られていた。
杖のてっぺんには水晶みたいな透明な球体が浮かんでいる。
十香や四糸乃の力とは違う。見てるだけで身体の震えが止まらない。
何だあれは?みんなと同じ天使なのか?
「今、士道さんの姿を変えているのは七罪の
愛は説明を始める。琴里の予想通り、俺の身体の変化は七罪の仕業だったみたいだ。
「ただ、美九さんとの勝負に負けたらそれでは済ませません。
愛は冷酷な宣言をした。まるで、以前のあいつとは違うみたいに。
「僕の天使の能力は生物の情報の改変。五河士道という男が生きてきた情報を、五河士織という女の子が生きてきた情報に塗り替えます」
「なんでそんなことをするんだよ?」
甘く見てた。なんだかんだ、愛は甘いやつだって。
「なんで、ですか。まあ美九さんを攻略できなかったときの保険ですね。最悪、美九さんの手元なら計画に支障はありません」
俺に理解させる気がない話をする愛。完全に一人の世界に閉じこもっちまってる。
「何言ってるかわかんないぞ。どうかしちまったんじゃねーか、愛?」
「そんなことはありませんよ。今まで加減していただけです。
これからは本気で行きます。覚悟してくださいね、士織さん」
こいつはある意味誰よりも恐ろしい敵だ。美九よりも狂三よりも、こいつをどうにかしないといけない。
「させてたまるか。十香も四糸乃も琴里も耶倶矢も夕弦も、みんな俺が守る」
「ええ是非やってみてください。期待していますよ、士道さん」
愛は抑揚の一切ない声で吐き捨てた。お前の思い通りになってたまるかよ。
さあさあ、美九編は士道vs愛くんです。愛くんは何を企んでいるのでしょうか?
今回の裏話は愛くんの状態について。断罪覇王には恒久的な改変と一時的な改変があります。
恒久的な改変は八舞編で見せたやつですね。世界を改変する効果があります。やり過ぎると世界に負担がかかります。
一時的な改変は世界を改変しない代わりに霊力が尽きたら効果が切れます。世界への負担も小さいです。今愛くんが性転換してるのは一時的な改変によるもの。だから愛くんが男だったことを皆覚えています。
投稿日はいつがいい?
-
月曜夜
-
火曜夜
-
水曜夜
-
木曜夜
-
金曜夜
-
土曜昼
-
土曜夜
-
日曜昼
-
日曜夜