でも、どう考えても無理ですね。だって明らかに二十話超えますから。
今はどのタイミングで連続投稿するか悩み中です。前半のクソ重いところで入れるか後半のクライマックスで入れるか。
ちなみに士織ちゃんの衣装をまたAI生成してます。よかったらどうぞ。
https://www.pixiv.net/artworks/136779425
あの後、愛は俺以外を気絶させてどこかへ飛び去った。残された俺は、みんなの介抱をすることになった。
折紙、真那、岡峰さんの三人は勿論、会場中にいる百人以上の人が気絶してるんだ。ラタトスクの人を呼び寄せた上で重労働だった。
その後も治療して、周囲には誤魔化して、事件のことは忘れさせて。本当に大変だった。
そして何とか文化祭を終えた俺は、美九に呼び出されていた。またあの広い家に。
因みに俺はまだ女のままだ。天央祭で勝っただけじゃ男には戻してくれないらしい。
また琴里にかわいい私服を着せられて美九の家を訪れる俺。なんでわざわざ前と違う服を用意してるんだよ。
クリーム色のレースブラウスにラベンダーのボレロ。紺色のハイウエストスカートにニーソックス。
前のフリフリとは違った意味で女の子らしい。着飾ってるけど日常に溶け込んでるっていうか。
今度は愛たちじゃないメイドさんに案内されて家に入る俺。そして、美九の部屋に辿りついた。
「お待ちしていましたよ、士織さん」
「ああ、招待してくれてありがとな美九」
すごくいい笑顔で歓迎してくれる美九。握手から自然な流れで距離を縮めてくる。
『相変わらずすごいフレンドリーね。好感度上げだけならここまで楽な精霊なんて初めてよ』
琴里がつまらないテレビでも見るようにぼやいてる。
そりゃそうだろうな。初めから呼び捨てを求められたぐらいだ。
別の問題がヤバいんだけどな。
「寂しかったですよ、士織さん。あの後ずーっと忙しそうで誘いに行っても全然いなくて」
「あはは、ちょっと急用ができて」
折紙のこと慰めたり、精霊のみんなのアフターケアに追い回されたり。本当、寝る間も惜しんで働かされてた。
「今日はずっと一緒にいられるんですよね?」
「そ、そうだな。今日はゆっくり話し合おうか」
抱きつかれることで今度は胸と胸が押し合って変な気持ちになってくる。
耐えろ俺、これは女の子同士のスキンシップだ。多分。
『二人とも風船みたいにしぼんじゃえばいいのに』
インカム越しに琴里の怨嗟の声が聞こえる。俺まで巻き込むなよ。
「ちょーっと美九、ゆっくり話し合いたいから一旦座ろうか」
美九の肩に手を置いて少し間を開ける。このままじゃおかしくなっちまう。
「そうですね、いろいろお話したいことできたんですよ~。お茶を飲みながらい~っぱい、お話ししましょう」
美九の背後に飢えた肉食動物の気配がする。俺、無事に帰れるかな?
ソファに座って美九とお茶を楽しむ。ただ、手と手が触れてしまいそうなほど近い。
離れると途端に美九の機嫌が悪くなる。俺は至近距離で美九とお話しするしかなかった。
「士織さんとの時間は楽しくて仕方ありません。毎週こうして楽しみたいくらいです」
「毎週美九の家に来ても構わないぞ。封印させてくれるなら」
時間が凍り付いたように静かになる。さっきまでニコニコしていた美九も口を引き締めている。
「美九、俺たちは勝負に勝ったぞ。キス、してくれるのか?」
改めて問いかける。一番大事なところだ。
一時は会場丸ごと洗脳して勝負をひっくり返そうとした。DEMの襲撃とかいろいろあってうやむやになったけど、美九はあの後は何もしていない。
精霊のみんなの洗脳も解かれた。クラスの奴らにも洗脳は使われていない。
俺は期待してる。美九が改心してくれたことを。
「正直、この『声』を失うのは嫌です。でも、士織さんにキスできないのはもっと嫌なんです」
美九はティースプーンで紅茶をゆっくり混ぜる。そして朗らかに微笑む。
「あのとき助けてくれた士織さんはとてもかっこよかったです。王子様みたいで。私の全部をかけて士織さんを惚れさせてみたくなっちゃったんです」
「そんな、俺はただ必死なだけで」
「ええ、そうですね。だからこそ素敵だったんです。命がけで敵を守ろうとした士織さんが」
改めていろいろ言われると照れる。ただ、誰かに死んでほしくなかっただけだから。
「士織さんを好きな精霊さんはいっぱいいるじゃないですか。その中で私だけキスできないなんて、そんなこと我慢できません」
美九は俺の顔をあごをくいと上げ顔を近づける。そのままキスできそうな距離だ。
「士織さん、私を士織さんの女にしてください。
ハーレムの中の一人で構いません。私を愛してください。
そうしてくれるならこの唇、士織さんにあげちゃいます」
美九は妖艶に微笑んでいる。俺のことを挑発するみたいに。
「約束するよ。俺は美九のことを愛してる」
「ありがとうございます、士織さん」
そのまま美九の首元を後ろから軽く押さえる。そして唇を近づける。
触れるととても柔らかくて甘い感じがする。砂糖の甘さじゃなくて、女の子の温かくて優しい甘さ。
それがじんわりと広がって心地いい。
そして今度は力が流れ込んでくる。美九の中にあった霊力が俺の中に。
この身体でも封印できるんだな。よかったよ、ノーカンにされなくて。
唇を離して美九の顔をよく見る。うっとりとして少し紅潮している。
「士織さ~ん、キスだけでこんなに幸せな気持ちになったのは初めてですよぉ」
美九は俺の顔に手を当てている。またキスをしそうな顔だ。
もう一回くらいなら。そう思ったときだ。
『ひとまず士織さんは合格です。次は士道さんで頑張ってください』
耳元でふと聞こえた声。それは愛の意地悪な声だった。
振り返っても誰もいない。気のせいなのか?
それと身体が輝き始める。なんだ?俺は天使なんて使ってないぞ。
そう思っている間に輝きは増し、俺の姿を変えた。元の男の姿に。
サービスなのか服まで一緒に男物にされてる。早く戻りたかった男の姿だけど、今は不味い。
「士織……さん?」
美九が凍り付いたように動かない。触れていた手から振動だけが伝わってくる。
「え~と、美九?」
久しぶりに低い声が喉から出る。ただ、それは美九の精神に止めをさしたようだ。
「いっ、いやーーーーーー!」
アイドルの肺活量で悲鳴が響き渡る。鼓膜が破れそうな痛みを味わった。
♦♦♦
竜胆寺女学園の屋上。そこで私たちはひっそりと二人のやり取りを楽しんでいた。
耳につけたイヤホンからは音割れした美九の絶叫が響く。盗聴器が壊れてしまいそうな声量だ。
「もういいでしょ。こんなの聞いてたら耳が壊れるわ」
七罪がイヤホンを外してポケットにしまう。
そして、
「相変わらず士道を虐めるのが好きね」
「そんなことないよ。精霊攻略のために必要な課題を出してるだけ」
七罪の言葉に笑顔で返す。その顔は大変性格の悪いものに見えていることだろう。
「あんた、本音を建前で飾るの上手いわね。自分のしたいことに後からそれっぽい理屈をつけるから性質が悪い」
「ばれてたか」
士織ではなく士道が美九を攻略しないと最終的な解決とはならない。だから、多少強引にでも士道と美九に接点を持たせないといけない。
それも決して嘘じゃないし、思ってもないことを言ってるわけでもない。ただ、士道の絶叫を見て楽しんでる部分もある。
「あんなことしてよかったの?」
あんなことっていうのは士織と美九のキス直後に士道へ戻したことだろう。そのタイミングで七罪に変身を解除させたから。
「いいんだよ。誘宵美九の攻略はトラウマとコンプレックスを取り除いて初めて完了するんだから」
ここまでは前哨戦。ここからが本番だ。
♦♦♦
琴里がため息を吐く。俺の頬についた赤い手形を見ながら。
「相変わらず、愛の奴厄介なことするわね」
「美九を攻略できたから戻してくれたんだろうけど、ひねくれてるよな」
男嫌いの美九の前で男に戻すなんて。面倒なことになるってわかり切ってるだろうに。
「美九、どんな様子だ?」
「一応封印はできたわね。ただ、いつ霊力が戻ってもおかしくない精神状態よ」
琴里が美九の感情値のデータを映し出す。
グラフが上に下に乱高下している。心電図だったらとっくに死んでるレベルだ。
「今の美九は士織への好意と士道への嫌悪感が混ざってぐちゃぐちゃね。なんとかして安定させないとまたあの集団洗脳が起こるわよ」
琴里はグラフを見ながらイライラとしている。ただ事態はそう簡単じゃない。
「なんとかって、どうすりゃいいんだよ。美九は俺の姿を見るだけで悲鳴を上げるんだぞ」
「……士道、今度は私たちの手で士織ちゃんを作り出すわよ。エクステ、パッド、メイク、変声器、その他もろもろ準備しておいたわ」
「おまっ、女装の話本気だったのかよ⁉」
冗談だと思ってたのに。いまさらそんな話が蘇ってくるなんて。
「男ならビシッとやりなさいよ!」
「男だから嫌なんだよ!スカートなんてもう二度と御免だ!」
神無月さんがパッドをもってにじり寄ってくる。距離を取りつつ琴里への抗議を続ける。
「バレちまってるんだし、今更女装してもしかたないだろ」
「それでもその姿で行くよりマシよ。それとも何?その姿で攻略して見せるって言うの?」
琴里の言葉を聞いて考える。美九の前に出た姿を。
殴る、蹴る、天使で地獄の歌声を聞かされる。碌な目に遭わなさそうだ。
ただ女装とどっちがいいかと言われると。
「やってみるよ。何もしないうちから諦めちまうよりマシだろ」
「殊勝な心掛けね。その心意気に免じて一回チャンスを上げるわ。精々頑張ってみなさい」
琴里は応援する気のなさそうな声で送り出す。美九とのデートに。
♦♦♦
そして休日。俺は竜胆寺女学園の学校裏で待ち合わせをしていた。
今日は美九のデート、ということになっている。
「琴里、本当に来るのか?」
美九もあの様子だ。普通なら俺の誘いに乗るわけないと思うんだけど。
『私を誰だと思ってるの?士道と違って後先考えずに動いたりしないのよ』
「うっ」
痛いところを突かれた。結構その場の勢いで動いて琴里にフォローされてるから何も言えない。
『ほら、そろそろ来るわよ。しっかり準備しておきなさい』
「お、おう」
琴里の指示の直後、美九が見えた。白のブラウスにパステルピンクのふわっとしたスカート。
少し大人っぽい印象を受ける格好だ。少しドキッとした。
美九はこっちに向かって歩いてくる。そして、俺の顔を見て露骨に嫌そうな顔をした。
「なんですか、あなた。どうして私の行く先に現れるんですか?ストーカーですか?」
「え?」
思わず固まってしまった。俺と待ち合わせするためにここに来たんじゃないのか?
「男が私の前に姿を現さないでください、息しないでください、存在しないでください」
次々に言葉をまくし立てる美九。男嫌いなのは知ってたけど、ここまでとは。
このままじゃデートなんて到底できない。というか、琴里は何て言って美九を呼び出したんだ?
美九をどうしようか考えていると、俺と美九の間にホログラムが現れる。そこに映し出されているのは軍服姿の琴里だ。
『はぁい、美九。ご機嫌いかが?』
「琴里さん、どういうことですか。琴里さんみたいなかわいい女の子がデートに誘ってくれたから来たのに。どうして男がいるんですか」
道理で俺の姿を見たら機嫌が悪くなるわけだ。騙し討ちしてるんだから。
『悪いわね、美九。今日は私のおにーちゃんとデートしてもらうわ』
「絶対、イヤです。男とデートするなんてあり得ません」
美九はすごい勢いで拒否してる。そりゃそうだろう。
美九にとって男はゴキブリよりも嫌いなものだ。そんな相手とデートなんて。
『デートしてくれたら私含めて精霊みんなが一日バニーガール姿で奉仕するって言っても?』
「なっ」
美九は露骨に反応する。そして、真剣な顔で考え始める。
「はい、これがみんなの顔よ。あなたのお眼鏡に適う美少女ばかりだと思うけど」
琴里は自分のホログラムの隣に十香、四糸乃、琴里、耶倶矢、夕弦の顔が映っている。
「本当に琴里さんたちがバニーガール姿でご奉仕してくれるんですか?」
『公序良俗に反するようなものはダメよ。だけど、お茶汲みや簡単なマッサージくらいならやってあげるわ。
あなた、今人に言うこと聞かせられないでしょ。そういう機会が欲しくてたまらないんじゃない?』
琴里は口角を釣り上げて悪い顔をしている。美九は封印しちまったから『お願い』が使えないのか。
「かわいい子のバニーガール。男とデート。それくらいの価値は……」
美九は真剣に検討し始めたみたいだ。俺の顔と十香たちの顔を見てぶつぶつ呟いてる。
「おい琴里、そんなこと言っていいのか。十香たちを巻き込んでるじゃねーか」
『十香たちには了承を取ったわ。それが士道のためになるなら、って言ってたわよ』
インカム越しで美九に聞こえないように返事が返ってきた。俺が心配するようなことは既に解決済みだったみたいだ。
『身体張ってあげたんだから、絶対に美九を攻略しなさい』
「琴里……恩に着るよ」
琴里は照れたような声で背中を叩く。なんだかんだ優しい司令官様だ。
「わかりました。その男とデートしてあげてもいいです。約束、忘れないでくださいね」
『ええ、もちろんよ。そっちこそ、ちゃんとデートをしてよ。暴言吐きまくったり、ずっと距離開けてたり、会話しなかったりしたらデートとして認めてあげないから』
美九は嫌そうな顔で歯ぎしりをしている。形だけのデートをするつもりだったんだろうな。
「早く行きますよ」
「おいちょっと待ってくれよ」
一人で勝手に歩いて行ってしまう美九を追いかける。こうして美九とのデートが始まった。
というわけで美九編の波乱はまだ終わっていません。士道が美九を攻略してこそ美九編完了です。
今回の裏話は折紙について。
折紙は自分の家に戻って落ち込んでいます。そのままだと死にそうなので士道、美紀恵、夕弦、令音あたりが交代で訪れています。
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