オーバーロード17 支配の共鳴[上]異種族の恒久的平和の為の世界平定と忘れ去られた38人目の忘れ形見(最新16巻直後からルート分岐)   作:ぽきぷし

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第一章:003話 偽りの関係の終焉・・・〜謝罪と救済〜③

集落の広場では、王都から帰還したばかりのアウラとマーレを、不安げな村人たちが取り囲んでいた。

「アウラちゃん、マーレちゃん! 王都で一体何があったんだい?」

「スズキさんは……スズキさんは無事なんだよな!?」

 

「あー、叔父さんは先に薬師長に声かけに行っただけなんだけど。」

「お、王都の方は大丈夫だと思います。た、たぶん。」

 

矢継ぎ早に投げかけられる問いに、二人が答えを窮していたその時――。

 

背後から、すべてを圧するような重厚な声が響いた。

「心配は無用だ、皆の者」

 

その声は、聞き慣れた「スズキ」の穏やかなものではなかった。低く、地響きのように腹に響く、王者の声音。

村人たちが振り返ると、そこには幻術を解いたまま真の姿を露わにしたアインズ・ウール・ゴウンが厳かに近づいてくる。

 

死のオーラこそ封じているものの、全身から溢れ出る魔力と威厳に、村人たちは蛇に睨まれた蛙のように硬直する。その隣には、彼らが初めて見る「ヴァンパイア」の少女、シャルティア・ブラッドフォールン。そして、アインズの正体を知らされたばかりでなんとも言えない様子の薬師長の姿があった。

 

 アインズはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを一度地面に突き立て、静かに語り始めた。

「私は魔導国を統べる王、アインズ・ウール・ゴウンである。スズキという名は、アウラとマーレと外遊中にこの村で過ごすための仮の姿に過ぎなかった。」

 アインズは、隣に立つシャルティアの肩に手を置く。

「王都での顛末を伝えよう。エルフ王はアウラを自分の子孫と勘違いしてアウラと遭遇後交戦する事に、圧倒され逃亡したエルフ王をスレイン法国の最高戦力『番外席次』が襲撃し殺害、その後エルフ国民と勘違いされたアウラ、マーレをも襲撃して来た為交戦し捕縛した。捕虜となった『番外席次』の証言によりわが魔導国の国民であり、魔導国建国以前に、友人の娘であるこのシャルティアを洗脳し、操るという暴挙に出た連中がスレイン法国であることが判明。……アウラやマーレと同じく、私にとって大切な者を傷つけたのだ。」

 その言葉に、村人たちは息を呑む。アインズの怒りは静かだが、それゆえに深い決意を感じさせた。

「私は魔導国の王として、これよりスレイン法国を断罪する。そして、法国の脅威に晒されているこのエルフ国を、丸ごと救済することを決めた」

 

 アインズは、震える薬師長に歩み寄った。

「師匠、私はこれより魔導王として、エルフ国民の前に姿を現す。だが、力を持つ不死者の言葉だけでは、彼らは怯え、耳を貸さぬだろう。」

 

 アインズは、スズキとして薬を学んでいた時と同じ、真摯な仕草で頭を下げた。

「ゆえに、私の『人柄』を知る貴殿に同行を願いたい。私という者がエルフ王の様な単なる虐殺者ではないことを保証し、魔導国とエルフ国の行く末を、その目で見守ってほしいのだ」

 

 

沈黙が流れる。薬師長は、目の前の強大な存在が、数日前まで熱心に薬草を煎じていた「弟子」であることを、必死に理解しようとしていた。

やがて、彼は深く溜息をつき、苦笑いを浮かべた。

「……王様が弟子だったなんて、とんだお笑いぐさだ。だがよ、あんたがシャルティア嬢ちゃんやアウラたちのために本気で怒ってるのは、嘘じゃねえってのはわかる」

薬師長は力強く頷いた。

 

「いいだろう。あんたが本当にエルフの救い主になるのか、この俺が特等席で監視してやるよ。おい、お前ら! 準備しろ! 魔導王陛下のお供だ!エルフの連中にだけ有利な取り決めされちゃたまらんぞ!」

 

その言葉に、村人たちの緊張がわずかに解ける。魔導王アインズと、その意志を継ぐ者たちによる、エルフ国救済の進軍がいま始まった。

 

(これでいいんだろ?本当に口の回る弟子だぜ。)

アインズは微かにニヤつく薬師長の目配せに静かにうなづいた。

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