オーバーロード17 支配の共鳴[上]異種族の恒久的平和の為の世界平定と忘れ去られた38人目の忘れ形見(最新16巻直後からルート分岐) 作:ぽきぷし
エルフの王都、エルフヘルム。その空気は、つい先刻まで死の匂いに満ちていた。
エルフの頂点に君臨していた独裁の王デケム・ホウガンの失踪。王城から漏れ出る絶対者不在の知らせが広まり、見捨てられ、スレイン法国軍の猛攻に晒された民たちは、ただ終わりが来るのを待つだけの「生ける屍」と化していた。
だが、その絶望を切り裂いたのは、妖精の小道を渡り出現したダークエルフと他国の王一行のもたらした一陣の蒼と翠(みどり)の風だった。
「【魔法三重最適化展開:オーラエンチェント】」
「かたじけない。【緑静のオーラⅢ:拘束・弱体・鈍化】【緑陽のオーラⅡ:活性・全能力上昇微小】境界には永久(とわ)の静寂を。路地には日だまりの安らぎを。」
王都の広場に出現した一行で一際精霊に愛されオーラを纏う老エルフ、レスタト翁が静かに、しかし力強く宣言する。彼の手から解き放たれた膨大な魔力は、アインズ・ウール・ゴウンという至高の存在による「最適化」を経て、王都全土へと波及した。
まず、王都外周部を『緑静のオーラ』が覆った。
それは進軍せんとするスレイン法国軍の戦意を、底なしの泥沼のように吸い取っていく。剣を構える兵士たちは、突如として襲いかかる異常な脱力感と、「これ以上進んではならない」という本能的な恐怖に足を止めた。外敵を物理的に排除するのではなく、彼らの存在そのものを「停滞」の檻に閉じ込めたのだ。
そして同時に、王都の内部へと『緑陽のオーラ』が降り注いだ。
家々に隠れ、震えていた市民たちは、肌を撫でる柔らかな陽光のような温かさに顔を上げた。
「これは……傷が、癒えていく……?」
「身体が軽い。ああ、なんて心地よい光なんだ」
飢えすら忘れる恐怖でと絶望で濁っていたエルフたちの瞳に、みるみるうちに生命の輝きが戻っていく。彼らにとって、この奇跡を現出させたレスタト翁の姿は、失われた神話の時代の守護神そのものであった。
活気を取り戻し始めた王都を眼下に、アインズ一行は王城の謁見の間へと足を踏み入れた。
そこには、王族専用通路で逃亡したデケムに取り残された役職者のエルフたち、そして「スペア」として虐げられてきた妾腹の王子や王女たちが、当惑と畏怖の表情で彼らを迎えた。
「――面を上げよ。我が名はアインズ・ウール・ゴウン」
漆黒のローブを纏う不死者の王が、厳かに告げる。その傍らには、エルフの始祖に近い血脈を持つレスタト翁、そして魔導国に帰順したダークエルフたちが並んでいる。
「エルフの王は死した。だが、あの様な愚物に汝らが殉じる必要はない。我ら魔導国は、汝らに『庇護と救済の同盟』を提案する」
「……ど、同盟、ですか? 我らのような、滅びゆく国と……?」
震える声で問いかけたのは、若き王女の一人だった。アインズは静かに頷く。
「そうだ。我が国の支配下に入り、魔導国の法に従うならば、スレイン法国軍の脅威からは我らが守護しよう。希望する者には魔導国への移住も認め、新たな生活を保証する。これは慈悲ではない。利害の一致に基づく対等な契約だ。」
その言葉に、ダークエルフたちが証言を重ねる。自分たちがついて行くと決めた魔導王の寛容さと始祖の血脈、エルフ翁の奇跡について。レスタト翁がいかに高潔な始祖であるか。
「始祖の血脈……レスタト様のお言葉なら……」
「我らに、まだ道は残されているのか……!」
王城を包む翠嵐の風。それは、虐げられてきた者たちにとっての福音となった。
デケムという重圧から解放され、アインズという「新たな太陽」を見出したエルフたちは、震える手でその救済の糸を掴み取ろうとしていた
「【緑静のオーラⅣ】。因果や、あるべき形に収束せよ。さてこれでよからぬ横槍はありますまい。小生の主、アインズ様のお話を聞いてもらえませぬか?」
王城内に対認識阻害、対魔法、対物理のあらゆる防衛が施された第三のオーラが満ちる。混乱を避ける為使っていたスズキのダークエルフの仮面が剥がれオーバーロードである魔導王アインズ・ウール・ゴウンが姿を現す。
「アンデッド⁈我々は血を流しすぎたのか!」
「馬鹿な!」
第007話に続く。
以下 独自解釈設定
三重最適化による王都展開プロファイル
【第一層:王都外周部】
• 範囲定義:大
• オーラ:緑静のオーラⅢ
• 最適化構成: [範囲:大 / 持続:長 / 威力:中]
• 運用: 王都を囲む森林や平原に溶け込む。外敵への監視と、自然治癒力の向上。
【第二層:王都内居住区】
• 範囲定義:中
• オーラ:緑陽のオーラⅡ
• 最適化構成: [範囲:中 / 持続:常時 / 威力:弱]
• 運用: 街全体を柔らかな光で満たし、住人の活力維持と浄化を担う。
【第三層:王城】
• 範囲定義:小
• オーラ:緑静のオーラⅣ
• 最適化構成: [範囲:小 / 持続:中 / 威力:強]
• 運用: 王城全体を物理・魔術の両面で完全封鎖。外部からの干渉を一切許さぬ絶対領域。
拡張規格:限界突破(オーバー・オプティマイズ)現象
特定の魔導具や聖遺物(アイテム)を触媒として併用することで、術者の限界を超えた広域展開を実現する。
• 強大 (Mighty): 半径 50km〜。隣接する街や領地全域を包含する規模。
• 極大 (Grand): 半径 200km〜。国境線を超える、あるいは国家全土を覆う規模。
• 最大 (Ultimate): 半径 1,000km〜。大陸全土、あるいは世界の理そのものに干渉する神話規模。
術師レスタト翁の覚書
「王城を包むのは、箱庭を愛でるような狭さでは足りぬ。
『小』という範囲があってこそ、城に住まう者全ての命に『翠嵐』の加護が届くのだ。
そして、もしこの手に古の触媒が重なれば……小生の息吹は大陸の果てまで届くことだろう。」
※エリア区分 狭<小<中<大<強大<極大<最大
アインズの魔法(今作オリジナル)
魔法三重最適化(トリプル・オプティマイズ・エンチェント)展開 対象の用いる種族スキルによる魔法、職業スキルによる魔法を含めて、効果範囲、持続時間、威力の調整を任意に調整できる。
今話ではレスタト翁のオーラ開放に合わせて効果範囲等の調整の役割を果たした。
魔法最大化と違う分、効果上限は狭まるがバフを受けた対象の放つ3回分の魔法に効果が及ぶ。
なお進化後のレスタト翁の魔力量は異常(アインズより多い)であるが分霊やらに割く分ユグドラシル基準で常識の範囲内である。
なお、ワールドアイテム以外の貴重なアイテムを有象武将より自分のイベントリに溜め込んでいるレスタト翁はどうせ自分に使わせてくれるだろうと未だに申告し忘れてるが、豊富なアイテム所持者でもある。よって実は超位魔法級のエンチェントなどの魔法行使が可能である。