オーバーロード17 支配の共鳴[上]異種族の恒久的平和の為の世界平定と忘れ去られた38人目の忘れ形見(最新16巻直後からルート分岐)   作:ぽきぷし

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第一章:第007話 死の支配者と亡国の森人

王城の謁見の間は、一瞬にして氷河のような静寂に包まれた。

 アインズ・ウール・ゴウンが被っていたダークエルフの仮面が剥がれ落ち、その下に隠されていた「死の王」としての素顔が露わになったからだ。肉の失せた白亜の頭蓋、眼窩に灯る赤き情念の炎、そして空間を歪めんばかりの圧倒的な死の魔力。

「ア、アンデッド……!? 伝説の、死の王だと……!」

「我らは……血を流しすぎたのか……。エルフの命運は、ここで尽きるというのか!」

 要職に就いていたエルフたちは、腰を抜かし、あるいは絶叫を上げて後退りした。彼らにとって、アンデッドとは生命の敵であり、忌むべき殲滅対象でしかない。始祖を伴い現れた救世主だと思った存在が、最悪の怪物であったという事実は、彼らを再び絶望の淵へと叩き落とした。

 

「騒々しい。静かにせよ。」

自身の臣下に命ずるが如く魔導王の威厳のある声が辺りを再び静寂へと引き戻す。

 

 

「控えよ、迷い子たち。この方は貴公らが想像するような、理性を欠いた亡者ではない」

 その混乱を切り裂いたのは、レスタト翁の静かな導きだった。

 

 彼は既に『緑静のオーラⅣ』を王城全体に充満させ、物理・魔術の干渉を一切遮断した「絶対領域」を作り出していた。その冷たくも清冽な蒼き秩序にエルフは改めて始祖の血脈、古老森人への敬意と畏れを抱く。

 

「このオーラを感じぬか? 小生の主、アインズ様は、この地のエルフとダークエルフの運命の因果を捻じ曲げるために降臨された。貴公らが崇めてきたあのデケム・ホウガンなる愚物が、この御方の足元にも及ばぬ存在であったことは、小生が証明しよう」

 「小生はレスタト=Tゲバー=フリーヴン。遠き地で数千年生きた古老森人の霊体で、偉大なるアインズ・ウール・ゴウン陛下に仕える誉れを得た導師である。」

 レスタトはゆっくりとアインズの傍らに膝をつき、最敬礼を示す。その姿は、始祖の血脈を持つ高潔なエルフが、心底からこの不死の王に忠誠を誓っていることを物語っていた。

「……レスタト様。あ、貴方様ほどのお方が、なぜ……」

 一人の老役職者が、震える声で問う。レスタトは静かに視線を向けた。

「強者が弱者を導くのは理だ。だが、暴君デケムは強さを履き違えていた。アインズ様は、秩序と法を以て、従う者に安寧を約束される。……アインズ様、お話の続きを」

 アインズは、骨ばった指で空を撫でるように動かし、重厚な声を響かせた。

「案ずるな。私は無益な殺生を好まぬ。生者を眩しく思う事はあってもそれが怒り憎しみに変わる事はない。先ほども言った通り、提案は『庇護と救済』だ。汝らが私の法に従い、魔導国の国民として尽くすならば、スレイン法国の脅威から守り抜き、この王都に再び、いやエルフ王の治世ではなしえなかった森人の楽園を築く様に援助する事を約束しよう」

 アインズは傍らに控えるダークエルフの一行に視線を送る。彼らはアインズへの畏怖を持ちつつも、その統治がいかに公平で、自分たちがどれほど満たされているかを、真摯な瞳で語り始めた。

「……我らは、デケム様に使い捨てられるだけでした。しかし、この御方は我らを見捨てず、手を差し伸べられた。姿形は異なれど、その慈悲は本物です。何よりデケム様やスレイン法国の連中に比べて圧倒的な軍事力を有する国ではないかと感じています。今、庇護を受けねば取れる選択肢は国家解体による全エルフの離散による逃亡しかないでしょう。」

 王子や王女たちの瞳に、迷いが生まれる。

 かつての王デケムは、同じエルフでありながら彼らを道具としてしか扱わなかった。対して、目の前の「死の王」は、恐ろしい姿をしていながら、確固たる平和と生存を提示してくる。

「……決めるのは汝らだ。我らと共に歩み、魔導国と共に新たな息吹を授かるか。あるいは、この城と共にスレイン法国の塵となるか」

 レスタトのオーラが、静かに、しかし有無を言わせぬ圧力で彼らの決断を促す。エルフの国を巡る外交交渉は、アインズの「真の姿」を曝け出したことで、より深く、逃げ場のない本質的な領域へと踏み込んでいった。

 

「恐れながら同盟に関しての疑問に応えていただいてよろしいでしょうか?」

 

王都中に満ちた緑陽のオーラⅡの効果で活力を取り戻した、エルフ王の下で政務を引き受けていたエルフが恐る恐る挙手する。

 

「発言を許す。」




来年には17巻発売するかもなので大急ぎ!
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