オーバーロード17 支配の共鳴[上]異種族の恒久的平和の為の世界平定と忘れ去られた38人目の忘れ形見(最新16巻直後からルート分岐)   作:ぽきぷし

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第一章:第008話 不死者の人格保障と条約協議

 王城勤めの政務に携わってきたエルフの青年が代表する形で魔道王の真意を探る。

「20年程エルフ王の暴政を破綻させないように務めてきました。バンプーと申します。この度は、デケム王の圧政とスレイン法国の侵略からエルフ・ダークエルフをお救い下さりありがとうございます。先程から始祖の血脈と市井の者達から崇められているレスタト様は暴王デケムの祖先なのでしょうか?」

 その場のエルフ達は、レスタトの責を問いかねない不遜な質問を投げかけるバンプーの言い様に場に動揺が広まる。

 

「また、どのような政治体制になろうともこれまでデケムの暴政に抗えなかった王城に勤めていた我々の処罰はどうなさるおつもりですか?無力な我々の罪は否定しません、祖霊に断罪されるのであれば私は甘んじて受け入れましょう。しかしできれば直接政治に関わっていない我々の家族、そして王に妾腹として不当に苗床にされた女性達、濃い血を求めて生み出されては戦場に投入される事を求められた不幸な王女、王子達は助命していただけませんでしょうか?」

 

 アインズの返答の前に先ほどの王女が躍り出て平伏す。

「お待ちくださいませ!第62王女のヴィオラです!暴王デケムの圧政は施政者の私腹を肥す為のものではありませんでした!エルフ国は真にデケムの独裁でした。デケムの為だけに維持させられた国を破綻させぬよう奔走していた彼らに罪はありません。彼らこそがエルフの民を救っていた真の功労者です。」

 

 主人の言葉を遮った無礼者に対して少女の擬態を忘れて一歩目に出て物申そうとするシャルティアを手で制し鷹揚にレスタトとの打ち合わせに沿ってアインズは言葉を返す。

 

「やれやれ、無駄に力を持った不死者の王と言うのはやはり信用されないものだな。嘆かわしいが仕方ない、正気なアンデッドなど酒場のジョークらしいから仕方ないか。もう一度簡潔に言おう、我々はスレイン法国にとって敵対したい。その為に滅びゆくエルフ国を建て直し連携して事にあたる方が都合が良い。現在、魔導国には軍事力、資源、土地は余るほどある。魔導国が必要としているのは今後魔導国と共に歩む異種族の共存という理想を共に目指せる同盟国だ。スレイン法国に敵対している者同士他の種族に声をかける前に、亡びぬうちに声をかけているだけで、貴国の政策の批判や断罪は私の仕事ではない。それは戦勝国となったスレイン法国か存続し樹立した新政府の国民の考えることだ。一方的な従属を求めていない。特に今はエルフ国が健在と思ってくれた方が対外的にいくつかの利点がある為ごめん被りたい。」

 

 「ああ、それからレスタト翁は我々では辿り着けない程遠い地のエルダーエルフの英霊である。デケム何某とは何の縁も無いから安心?して良い。」

 

 

「し、失礼しました!では、デケム王の死は秘匿してエルフ国が健在と思わせた上でスレイン法国と貴国が決着が着くまで支援を無償でして頂けると?貴国の都合の様に仰るがレスタト様の流れをくむ同族でありスレイン法国とタイミング良く敵対していたから一方的に支援してくださるのでしょうか?」

 

「いや、無論それだけではない。お、ちょうど使いに出していた魔導国の臣民が用事を果たして追いついた様だ。アウラ、マーレお帰り。」

 

「はい!叔父さ、アインズ陛下!ご命令通り、ベアネさんを説得してお連れしましたー!」

「べ、ベアネさん。こっちです。」

 

「ベアネ殿、先日村にお邪魔した『スズキ』です。その節は外遊中につき身分を偽ってしまい申し訳ありませんでした。」

 

「王都に残ってエルフの将来を憂いつつ残ることを選んだ護るべきもののある王都の諸君。先だって外遊中お世話になっていたクレバイン村も徴兵を受けた為に、ダークエルフの皆の代わりに王都に様子を見に来た。アンデッドのそれも他国の王として入都し騒ぎを起こすのは本意でなかったため、変装して王城に向かう際に知り合った王都民のベネア殿だ。主人を戦争により亡くして女手一つでお腹の子を育ててゆかねばならなかった、この戦争の被害者の一人である。多少なりとも私の正体に勘づきながらも人と人として受け入れ交流をしてくださった公平で冷静な判断のできる都民であると思う。」

軽くベアネに会釈してそのままバンプー達に向き直る。

 

「我々は戦争の事など露知らず、魔導国建国前からの友人の子供アウラ、マーレの友達作りが出来ればとダークエルフの集落を訪れました。僅かな時間ですが狩りを、調薬を、寝食を共にしたクレバイン村の種族がダークエルフであるから隔意ありとおっしゃるなら、こちらの王都民のエルフのベネア殿も交えて今後の両国のお付き合いを話し合え無いだろうか?協議の間もレスタト翁の魔法と魔導国の軍事力で一兵たりとも打って出でもしない限り、エルフの血を流させない事を保証しましよう。我々にとって一方的に支配下に置く意図も旨味もない事を理解していただきたい。」

(寝食はしてないけどな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

設定記録

• バンプー(オリキャラ): エルフの王城職員。デケムの血を引かない森人。実務能力に長け、民の安寧を第一に考え逃亡せずに王城に留まり事態の収拾を計れないか模索していた。

 

• ヴィオラ(第62王女:オリキャラ): デケムの「スペア」として虐げられてきた少女の一人。職員たちの功績を認め、彼らを庇う。デケムからの血の濃さという意味での期待が薄かった分、実子の生存者の中では年長の部類に入る。

 

• ベアネ(原作キャラ): 王都民の森人。夫を戦争で亡くし、身重の身。アインズの正体を察しつつも「人」として接した経験を持つ、アインズやレスタト翁に人格証人となる事を見込まれ王都民代表として協議に参加する。

 

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