オーバーロード17 支配の共鳴[上]異種族の恒久的平和の為の世界平定と忘れ去られた38人目の忘れ形見(最新16巻直後からルート分岐) 作:ぽきぷし
挿絵はエルフ国との同盟な成立した場合の魔導国と法国の簡易勢力図です
エルフ王城、玉座の間。当然の警戒と救済に縋りたい追い込まれた森人達を前に最後の後押しをする為、慈悲深い庇護者の仮面を被るアインズは魔導国としての真実を一点の偽りも無く語り今後の計画への協力を仰ぐ。
「貴殿らにすれば結ぶ他ない同盟だが、繰り返しになるが森人の破滅を望んでいない事を理解してもらいたい。スレイン法国を魔導国が直接糾弾する際にどうしても貴殿ら全員の賛同と協力が必要なことがある。独裁の王であったデケムの悪行とスレイン法国の悪行を証明する被害者の証言だ。これまで虐げられていた被害者であるエルフ国民、スペアとして強者の水準に押し上げようと過酷な教育を受け、戦場に投入されてきた王子、王女たち、優秀な後継者を孕む事のみの為に犯され、あるいは望まぬ妊娠を強要され続けたであろう森人を中心にした女性たち、そして戦争捕虜あるいは狩猟中にスレイン法国に拉致され拷問を受けた者、奴隷として法国に飼われている森人。全てがデケム王独裁とスレイン法国の侵略における被害者である。一人でも多く救済するために王城内で証言可能な者達と会わせてほしい。直接我々から説明し聴取し本人の協力が得られる者においてはエルフ国内外で正式に声を上げる場を設ける。」
「そして戦争被害者のベアネ殿においては休戦中にエルフ国の立て直しをする臨時政府に市民代表として信頼できる方々と共に意見のとりまとめを行なっていただこたい。この仮称民会の発言力、政治への干渉力の度合いはこちらから口出ししない。エルフ王が不在と悟られぬようにしながら、レスタト翁の能力で一時的に進行不可能となっている王都の舵を切る新政府の業務と上手く足並みを揃えてほしい。ベアネ殿達に求められるのは民の不満を聞く受け皿になり民を対スレイン法国の脅威から魔導国と新政府が守ると周知し結束させる事。レスタト翁という謎のエルダーエルフの存在以外の魔導国の介入とエルフ王の死をスレイン法国に知られぬように民にも当面悟らせぬ事だ。」
「魔導国の介入は秘匿するのですか?」
「ああ、現段階では謎の現象で進軍できないスレイン法国軍の混乱を強めてできれば1ヶ月は戦線の硬直を狙う。万一維持させているレスタト翁の『緑静の波動』を突破する者達が現れた場合王都内に待機させてある私の創造したアンデッドが足止めし、魔導国の者が捕縛する。」
「ティラ、エルフ王都内の隠密防衛の指揮を命ずる。自身より優れた能力を有するエイトエッジアサシン及び子飼いの部隊を指揮し無事エルフ王都の国民を守り抜け。侵攻軍、敵諜報については原則捕縛しろ。人間種相手だが長年影で暗躍していきた巨悪だ。問題ないな。」
「無論。相手が誰であれ主君の命に従うのがシノビでございます。」
「案ずるな。姉妹に関しては別に再会の場を設けよう。我が名に誓って結んだ契約は全力で果たす。演習の実地試験と思うと良い。行け。」
「御意」
いつの間にか静かに出現しており、片膝をついていた人間種の少女とそれに従う黒装束の一行が影に溶けるかのように消え失せた事にその場にいたデケムの血を引く者たちは魔導国の人材の豊富さ従う種族の多様性の一端を目にしてスレイン法国の敗北を確信する。
(これでティラとイジャニーヤの人員の大半が後々旧王国、スレイン法国で暗躍する際にエルフ王国で防衛任務していた傭兵ギルドってアリバイも立つかもな。)
「魔導王陛下、我々デケムの血の混じった者、我々を生まされた者へのご配慮感謝いたします。陛下の神謀通りに事が運べば協力的でない者はどうなってしまうのでしょうか?恐れながら申し上げます。未だにデケムによって法国との戦争によって傷を負わされ日常生活もままならない者も多くご希望に添える働きを全員が行うのは難しいのが現実でございます。どうか無力な彼らにもご慈悲を。」
「ん?ああ、言った通り内心を吐露し糾弾したい希望者、勇気を出して証言できる者数名で問題ない。その者らの証言に偽りがない事を被害者一同同意の署名でもしてもらえればなお良い。記名も困難な者であれば世話役や保護者の代筆の署名でも良い。これは法的な効力、魔法的な効力のない唯の署名だ事実をそのまま積み上げる事が後のスレイン法国への打倒の一矢とおなると心得よ。」
レスタト翁に視線を向けながら慈悲の王は次なる配慮を告げる。
「そして亡きデケムに変わり其方たちの信頼を得やすいであろう適役、現在もスレイン法国を無力化し続けている種族スキルの使い手であり森人にとって特別な意味のあるエルダーエルフ(古老森人)のレスタト翁の分霊をエルフ国と魔導国の架け橋として置いていこう。レスタト翁エルフ国の特別外交大使の任を命じる。引き受けてくれるな。」
「主上のご配慮感謝いたしまする。闇森人、森人を我が子らと思い神命をかけて守護する事を誓いまする。」
「「おおっ!古の伝承に謳われるエルダーエルフ様の守護を得られるのか!」」
王城に勤める森人たちの感嘆の声が湧き上がる。
「では、ヴィオラ殿。大変心苦しいが、同じ境遇の子らとそのお母上たちの元へ案内してもらおう。」
設定資料
ティラ:(人間種の少女) 蒼の薔薇の盗賊三姉妹の一人(三つ子の長女) 暗殺ギルド「イジャー二」の頭領 ギルドごと魔導国へ恭順済み (原作14巻ころ)