オーバーロード17 支配の共鳴[上]異種族の恒久的平和の為の世界平定と忘れ去られた38人目の忘れ形見(最新16巻直後からルート分岐)   作:ぽきぷし

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第一章:024話 三王の告白

 

「陛下。それでは八つ当たりですよ?」

 

ロクシーは魔導王が反応する前にすかさず嗜め酒の席での冗談として済まそうと取り繕おう。

 

ジルクニフは僅かに理性を取り戻すも、一度堰を切った言葉は続く。

 

「貴方方はっ」

 

「うむ」

 

アインズは否定せずに続きを待つ。

 

「普通、“国家”は理解できる。軍事、経済、政治……だが魔導国は違う。強すぎる。異質すぎる。なのに妙に理性的だ」

 

「感情で国家運営しても碌な事にならんからな」

 

 アインズは淡々と答えた。

 

「理不尽を減らしたいだけだ」

 

「……理不尽を減らす、ですか」

 

 静まりかえった場に、ロクシーが小さな呟きが響く。

 

 

「人は、自分が自分の意思で従っていると思いたい生き物だ。たとえ実際には誘導されていたとしてもな」

 

 アインズはそこで少し黙った。

 

 精神無効を切っているせいか。

 

 普段より妙に口が軽い。

 

「会社でもそうだったしな」

 

「……会社?」

 

 しまった、と思った時には遅かった。

 

「あー……いや、その……生前に属していた組織だ」

 

 即座に誤魔化す。

 

 だがレスタト翁が吹き出した。

 

「くくっ……アインズ殿は、“働く者”の心理に妙に詳しいようですな」

 

「やめてくださいレスタト翁!?」

 

 珍しく慌てる魔導王。

 

 ジルクニフ達は呆気に取られた。

 

「……案外、普通の感性をお持ちなのですね」

 

 ロクシーがぽつりと漏らす。

 

「普通だぞ? むしろ日々胃が痛い。」

 

「胃は見あたりませぬぞ?」

 

 一拍。

 

 そして――。

 

「ぶっ……!」

 

 ジルクニフが吹き出した。

 

 ペイリユーロ王も肩を震わせる。

 

 ロクシーですら口元を押さえていた。

 

 世界を震撼させる魔導王の実態が、“胃痛持ちの中間管理職気質”だとは。

 

 誰が想像できるだろうか。

 だが。  笑いが収まった後。  アインズは、不意に静かな声音で言った。 

「……いや、しかし其方は凄いぞ。ジルクニフ」 

 

 皇帝が僅かに目を細める。 

「私が、ですか?」

 

「うむ」 

 アインズは静かに頷いた。 

 

「我には、其方のような資質は無い」 

 酒席が静まる。 

 

「其方は、生まれた時から皇帝となるべく育てられた者だ。帝王学を学び、貴族を抑え、人を使い、国家を纏め上げてきた」

 「だが我は違う」 

 アインズは自嘲気味に肩を竦めた。 

 

「元々は、一介の小集団のまとめ役に過ぎん」

「国家運営など、本来なら縁遠い存在だ」 

 ジルクニフは黙って聞いている。  

 

その声音には、妙な現実感があった。 

「我がいた世界ではな、力ある者が国家を治めるとは限らなかった」

「寧ろ逆だ。巨大な組織の歯車として、多くの者が擦り潰されながら生きていた。

 

 「……」

「我もその一人だ」 

レスタト翁が静かに杯を傾ける。  

誰も口を挟まない。

「だからこそ、其方のような者を見ると時折思うのだ」 

 アインズは静かに言った。 

 

「“本物の統治者”とは、こういう者を指すのだろうな、と」

ジルクニフは返答に詰まった。  

 

それはお世辞ではなかった。圧倒的な力を持つ怪物が、本気でそう言っているのだと理解できたからだ。 

「……買い被りです」 

ようやくジルクニフが絞り出す。 

するとアインズはゆっくり首を振った。 

「いや。我には分かる」 

「力だけでは国家は回らぬ」 

「だからこそ、“分不相応な力”ほど危ういものはない」 

 そこで。アインズの声音が少し低くなった。 

「……スレイン法国のように、な」  

空気が変わる。  

ジルクニフの目が細まった。 

「法国、ですか?」 

「うむ」  

アインズは静かに頷く。 

「奴らは近隣人類国家の中では練度が高い」 

「行動力もある。国家として見ても600年近く続いており非常に優秀な部類だろう」

「だが――」  

眼窩奥の紅光が揺れた。

「まさに、分不相応な力を抱えている」  

ペイリユーロ王が酔った顔のまま首を傾げる。 

「力……?」 

 

「そうだ。奴らは、この世界の理から外れた力を保有している。」

 

「この世界の魔法体系や技術では説明し切れぬ代物だ。」

 

 アインズは淡々と言った。

 

「そして問題なのは、それを“自分達だけが使うべき神聖な力”だと信じ込んでいる事だ」 

 ジルクニフの背筋に冷たいものが走る。

 「独善的で、選民思想が強い」 

「その上、自らを正義と疑わぬ」 

「最悪だ」  

珍しく。 アインズが明確な嫌悪を滲ませた。 

 

「陽光聖典という部隊があった」 

「……っ」  

ジルクニフが反応する。 

「奴らはかつて、戦士長ガゼフ・ストロノーフを殺害しようとした」

「更に帝国へ責任を押し付け、国家間戦争へ発展させようともしていた」

 ロクシーが息を呑む。 

「まさか……」 

「実際、かなり危うかったぞ?」 

 アインズは淡々と続ける。

「帝国に王国を喰らわせ、その裏で利益を得ようとしていた」 

「しかも厄介なのは、奴らにその自覚が薄い事だ」 

「“人類の為”という大義を本気で信じている」 

 そこでアインズは口をつけない形だけの酒杯をなでた。 

「だから危険なのだ」 

「強い意志と、一定以上の能力を持ちながら、自らを絶対に正しいと信じ込んでいる者達はな」 

しばしの沈黙。。

ジルクニフが眉を動かす。 

「アインズ陛下?」 

 

やがて。アインズは静かに続けた

 

「先日な。我はスレイン法国の特級戦力を一人捕らえた」  

酒席が静まる。 

「番外席次――そう呼ばれていた」 

ロクシーが僅かに息を呑む。 

 

ジルクニフも、その名には聞き覚えがあった。 

法国最強戦力。絶対的守護者。存在自体が半ば伝説化している怪物。 

「まあ、強かったぞ」 

アインズは静かに続けた。 

「少なくとも、近隣諸国の軍では話にならぬ程度にはな」

「……ですが、陛下が勝利された」 

「うむ」  

アインズは頷いた。

「だが問題はそこではない」  

眼窩奥の紅光が揺れる。

「我の配下には、あれに近い……あるいは超える力を持つ者が複数いる」

「しかも倫理観は、人間種寄りとは言い難い」

ペイリユーロ王の酔いが少し醒める。 

「仮に我が不在となった場合」  

アインズは静かに言った。 

「報復として世界へ何を撒き散らすか、我にも分からん」 

その声音は、冗談ではなかった。

 「先の番外席次ですら、休息を挟めば一人でクアゴア種も帝国民も殆ど殺し尽くせるだろう」 

「まして我の守護者達なら……」 

 

言葉は最後まで続かなかった。だが、十分だった。ジルクニフの背筋へ冷たい汗が流れる。  

 

今、自分達は。そんな存在と同じ卓について酒を飲んでいる。  

だが。次にアインズが漏らした言葉は、奇妙なものだった。 

「……だからこそ、管理せねばならん」 

「力を持つ者ほど、世界との繋がりを増やさねば暴走する」  

レスタト翁が静かに頷く。 

「故に主上は、異種族国家の在り方へ強い関心を抱いておられる」 

「うむ」  

アインズが頷いた。 

 

 

「都市国家連合の件も、その一つだ」  

そこでアインズの視線がペイリユーロ王へ向いた。 

「最初、私はクアゴアをそこまで高く評価していなかった」  

ペイリユーロ王の肩が僅かに揺れる。 

「正直に言えば、“多少残しておけば役に立つかもしれぬ”程度だ」 

「……ぐっ」  

苦い顔になるペイリユーロ王。 

「だが、其方らは予想以上だった」  

アインズは続ける。 

「氏族単位での統率。地下資源への理解。環境適応能力。そして多種族環境への順応性」 

 

「都市国家連合へ送った氏族達も、随分うまく地盤を築いているようだな」  

ペイリユーロ王が目を瞬かせる。 

「……ご、存知で?」 

「受けた報告には当然全て目を通している」  

アインズは静かに頷いた。 

 

「現地勢力との折衝も悪くない」 

「交易網への食い込み方も、想定以上だ」  

 

そこでアインズは僅かに笑った。 

「其方、“戦う事”以外の才能もあったのだな」  

 

ペイリユーロ王はしばらく呆然としていた。  

やがて。杯を見つめながら、低く掠れた声を漏らす。 

 

「……部下を、多く死なせた」  

酒席が静まる。 

 

「王として敗れたのだ。敗れれば氏族が死ぬ。それは分かっていた」  

巨大な爪が、杯を僅かに軋ませた。 

 

「だが……実際に数を見せつけられると、割り切れるものではない」  

ペイリユーロ王は、自嘲気味に牙を覗かせた。 

 

「余は、ずっと腹の底で怒っていたのだと思う」 

「恐ろしくて逆らえぬ癖にな」  

その声音は酒で緩んでいた。  

 

だが同時に。押し殺していた本音でもあった。

 

ペイリユーロ王は俯いたまま続けた。

 

「余も分かっている」

 

掠れた声だった。

 

「余が、もっと早く降伏していれば良かったのだ」

 

酒席が静まる。

 

「フロストドラゴンに従い、ドワーフを襲い、鉱山を奪おうとした」

 

「それが失敗した」

 

「王としての判断が誤っていた」

 

巨大な拳が震える。

 

「だが――」

 

そこで顔を上げた。

 

「納得出来ぬのだ」

 

誰も口を挟まない。

 

「余の氏族は」

 

「余の家族は」

 

「余を信じて戦った者達は」

 

「ただ、生きる為に戦っただけだった」

 

低い唸り声。

 

「鉱石が必要だった」

 

「他所の鉱山へ移住するなど賭けだった」

 

「だから戦った」

 

「それなのに――」

 

そこで言葉が詰まる。

 

脳裏に蘇る。

 

赤いドレス。

 

傘。

 

そして。

 

山を埋め尽くした死体。

 

 

「……消えた」

 

ペイリユーロ王は震える声で呟く。

 

「氏族の九割が」

 

「一日で消えた」

 

 

 

静寂。

 

誰も言葉を発しない。

 

やがて。

 

アインズが口を開いた。

 

「そうか」

 

静かな声だった。

 

「辛かっただろうな」

 

ペイリユーロ王が目を見開く。

 

責められると思っていた。

 

否定されると思っていた。

 

だが返ってきたのは理解だった。

 

 

 

「だが」

 

アインズは続ける。

 

「謝罪はしない」

 

空気が張り詰める。

 

「我らは当時、ドワーフ国との友好を目的としていた」

 

「其方らはその敵だった」

 

「そして其方らもまた、生き残る為に戦った」

 

「ならばそれは国家同士の衝突だ」

 

アインズは静かに言った。

 

「お互いが己の利益の為に相手を排除しようとした」

 

「そこに善悪は無い」

 

「あるのは勝敗だけだ」

 

 

 

 

ペイリユーロ王は黙って聞いている。

 

 

 

「運が悪かったのかもしれん」

 

アインズは続けた。

 

「あるいは判断を誤ったのかもしれん」

 

「フロストドラゴン以上の強者が現れた事を即座に察して降伏するべきだったのかもしれん」

 

「だが、それは結果論だ」

 

 

 

そして。

 

アインズは少しだけ視線を伏せた。

 

 

「だが其方が部下の死を悼む事は理解出来る。」

 

低い声。

 

重い声。

 

 

 

「配下を失って何も思わぬ王など、我は信用せぬ」

 

 

 

ジルクニフが静かに息を呑む。

 

その言葉には妙な重みがあった。

 

ギルドメンバー。

 

ナザリック。

 

失う事への恐怖。

 

それを知る者だけが出せる声だった。

 

 

 

ペイリユーロ王は震えながら頭を下げる。

 

「……ありがたい」

 

 

 

アインズは首を横に振る。

 

 

 

「礼を言われる事ではない」

 

「これは統治者として当然の感覚だ」

 

 

 

そして。

 

眼窩の紅光が静かに揺れた。

 

 

 

「だからこそ我は国を作った」

 

 

 

全員の視線が集まる。

 

 

 

「種族が違う」

 

「文化が違う」

 

「価値観が違う」

 

「それでも法の下で共存出来る環境を整える」

 

 

 

アインズは静かに言う。

 

 

 

「外敵から守る」

 

「内部の争いを抑える」

 

「安心して子を育てられる環境を作る」

 

 

 

「それが国の役割だ」

 

 

 

そしてペイリユーロ王を見る。

 

 

 

「現在、クアゴア族は魔導国の庇護下にある」

 

「其方らの子らが、かつてのように滅びを恐れずに済むよう努力しよう」

 

 

 

 

そこで少しだけ笑う。

 

 

 

「もっとも」

 

「その為に胃が痛くなるのは我なのだがな」

 

 

 

一瞬の沈黙。

 

そして。

 

再び酒席に笑いが戻る。

 

 

 

 

 

 

 

やがて。

 

 アインズは不意に呟くように言った。

 

「……私は、人間を生者を嫌っている訳ではない」

 

 ジルクニフが目を細める。

 

「王国の第二王子とも、戦場で少し分かり合えた気がした」

 

 ザナック。

 

 その名を、あえて口にはしない。

 

「現実を理解し、国を背負おうとしていた男だった」

 

 その声には、僅かな悔恨が混ざっていた。

 

「敵ではあった。だが、嫌いではなかった」

 

 そして。

 

 空気が変わる。

 

「だがスレイン法国は違う」

 

 アインズの声が低くなる。

 

「帝国を騙り、ガゼフ・ストロノーフ戦士長を殺害しようとした」

 

 ジルクニフの表情が険しくなる。

 

「失意の王に帝国への怒りを植え付け全面戦争を仕掛けさせた上で帝国に国土を占領させる。豊かな王国を手に入れた帝国は異種族からの侵略の盾として人間種の為に矢面に立たせる予定だったらしいな」

 

「そう考えると、ヤルダバオト騒動への関与も疑わしい」

 

 レスタト翁が静かに続けた。

 

「エルフ奴隷問題に関しても、彼らは長く関与していた形跡がありますな」

 

 アインズの声音がさらに低くなる。

 

「エルフの国と友好国となった以上、あれを看過するつもりはない」

 

「知性ある者を、種として家畜のように扱う思想は……魔導国とは相容れぬ」

 

「……異種族共存、ですか」

 

 ロクシーが問う。

 

「うむ」

 

 アインズは頷いた。

 

「知性ある者ならば、法と秩序へ組み込める」

 

「種族差はある。文化も違う。争いも起きるだろう。だが、それでも共存自体は不可能ではない」

 

 そしてペイリユーロ王を見る。

 

「現に帝国は、クアゴアと交易し共存している」

 

 ペイリユーロ王が目を丸くした。

 

「余らを……そのように見ておられたのですか?」

 

「当然だ」

 

 アインズは即答した。

 

「種族が違うだけで、利益も秩序も共有できぬ訳ではない」

 

「魔導国は、その共栄圏を大陸全体へ広げたい」

 

   

 

 しばしの沈黙。

 

 やがてアインズは、どこか迷うように口を開いた。

 

「……其方の事は、以前から参考にしていた」

 

「……は?」

 

 ジルクニフが固まる。

 

「帝国を短期間で立て直した手腕。貴族統制。中央集権化。人材登用」

 

 アインズは淡々と並べた。

 

「理想的な統治者像の一例として見ていた」

 

 ジルクニフの思考が止まる。

 

(ま、待て)

 

あの圧倒的な武力と、それ以上に底知れぬ知略で魔導国を築き上げた男が。

 

自分を参考に?

 

 

「いや、流石に買い被りでは……」

 

「そんな事はない」

 

 アインズは真面目に返した。

 

「私は元々、国家運営などした事が無い」

 

 

「この世界へ来るまでは、な」

 

 ロクシーの瞳が細まる。

 

「……その口振り。まるで」

 

 そこでアインズは、一瞬だけレスタト翁を見る。

 

 老人は静かに頷いた。

 

「……ここから先は、他言無用で頼みたい」

 

 室内の空気が変わる。

 

「何故話すのです?」

 

 ロクシーが静かに問う。

 

 アインズは少し考え、そして答えた。

 

「今後、魔導国は大陸規模で動く。其方らには協力を求める事になる」

 

「ならば最低限、“何者かも分からぬ怪物”としてではなく、一人の統治者として向き合って欲しかった」

 

 ジルクニフは黙って聞いている。

 

「それに」

 

 アインズは少しだけ苦笑した。

 

「……其方らなら、利用すべき情報と、漏らしてはならぬ情報の区別が出来ると思った」

 

 皇帝と才女。

 

 そして一国を背負う王。

 

 だからこその告白だった。

 

「我らは――この世界の者ではない」

 

 沈黙。

 

「六大神、八欲王、あるいは魔神……恐らくは彼らと同類だ」

 

 レスタト翁が静かに告げた。

 

「ある日突然、この世界へ招かれた」

 

 ロクシーが息を呑む。

 

「では、貴方方は……」

 

「ユグドラシル」

 

 アインズが静かに言った。

 

「我々が元居た世界の名だ」

 

 ジルクニフは言葉を失った。

 

 だが同時に、全てが繋がる。

 

 異質過ぎる知識。

 

 既存常識から逸脱した価値観。

 

 そして超越的な力。

 

「だからこそ慎重なのだ」

 

 アインズは続ける。

 

「力ある異邦人が、自らの価値観だけで世界を塗り潰せばどうなるか」

 

「その結果の一端が、今なお世界各地へ傷痕として残っている」

 

 八欲王。

 

 六大神。

 

 それを示唆しているのだと、ジルクニフにも理解できた。

 

「我らもまた、混乱している」

 

 レスタト翁が苦笑する。

 

「突然異世界へ放り込まれ、生き残る為に動くしか無かった」

 

「だが」

 

 アインズが静かに続けた。

 

「だからこそ、同じ過ちを繰り返したくない」

 

「世界を壊す為ではなく、安定させる為に力を使いたい」

 

 そして。

 

 魔導王は、真っ直ぐジルクニフを見る。

 

「故に帝国へ協力を求める」

 

「異種族共栄と、大陸秩序維持の為に」

 

「スレイン法国のような、“力を制御できぬ国家”を放置する訳にはいかぬ」

 

 静かな声だった。

 

 だが。

 

 そこに虚勢は無い。

 

 三人は理解する。

 

 この男は。

 

 本気で世界を変えようとしているのだと。

 

 怪物的な力で。

 

 だが同時に、奇妙なほど現実的な理性を持って。

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