転生先はエーテリアス~外伝~   作:YEX

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今回はイヴリンとの出会いの話です


犬とスパイ

「.....くっ、油断した」

 

とあるホロウで、金髪を後ろで纏めるアップスタイルで、開いた袖がないシャツにタイトなズボン。内側が赤いレザー風のジャケットを羽織っており、袖を通さず肩にかけている人物が冷たい雨にうたれながら意識が朦朧としていた....彼女の名は『スカーレット』後に『イヴリン・シェヴァリエ』という名に代わる女性だ。

 

彼女はとある任務でターゲットの始末を命じてやって来た。その途中、ターゲットはホロウへと逃げ込み、すかさず中へ入る。ターゲットの始末に終えたのはよかったが、一つ問題があった.....

 

「――――まさかあのターゲットが最後に爆薬を使うなんてな....おかげで、崖の下へ落ちてしまった....」

 

如何やらターゲットは、最後の抵抗でこの場で爆発させ、彼女もろとも巻き添えにする算段だったらしい....おかげで彼女はその爆風で崖の下へ落ちるのだった。

 

幸い、そんなに高い距離で落ちなかったの命に別状はないが、足に重症を負ってしまう。

 

 

「ぐっ....足が.....やばいな、ここから離れないと....」ズキッ

 

痛む足を食いしばる中、彼女は一刻も早くホロウから脱出するため、歩き出すが....体力が底をついていたのか、すぐに地面に身体を落とす。

 

「うぐっ....クソッ...もう、体力が残ってないのか.....」

 

冷たい雨が彼女の体力をじわじわと削る....そしてついには、意識が失おうとしていた。

 

(ここで....私は終わるのか...思い返すと、なんとまぁ....薄暗い人生だったな)

 

彼女が走馬灯のように過去を振り返っていた....それはある組織で数々のターゲットを始末し続けた人生だった。

 

(寒い...こんな寒い日はいつぶりだったか....いかん、意識が....もう....)

 

意思を失いかける彼女にふと、心の奥がポロッと零れる――――

 

「――――助...けて....」

 

『...グルル』

 

気を失う直前、彼女が見たのは鉱物を身にまとった()()()()獣だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....?」

 

次に彼女が目を覚ましたのは....焚火に冷える身体を温めながら雨風凌ぐようなボロボロの建物だった。

 

「これは....毛布?それに火も....誰かがやってくれたのか....?」

 

辺りを見渡す彼女にふと、自分の周りに違和感があった....何かに背もたれている感触が彼女の触覚を察知した。何かと思い振り返ると――――そこには青く光る怪物が彼女のクッションになっていた。

 

その怪物はワームホールのような顔を中心に鉱物が装着され、まるでライオンのような姿だった。

 

「っ!――――いつっ...!」ズキッ

 

『――――!』

 

怪物をみた彼女はとっさに距離を離れようとしたが、足を怪我したことを忘れていて、その怪我の痛みに悶、その声に感化された怪物が目を覚ます。

 

「っ....」フーフー...

 

『....』

 

警戒を強める彼女に怪物は立ち上がり、見つめる。その後、何事もなかったかのように犬のように『お座り』をしたのだった。

 

「....???」

 

その姿に彼女は困惑する。

何もしない怪物に、害はないと判断した彼女は、警戒を緩めながらも質問をした。

 

「....まず、聞かせてくれ....私をここまで運んでくれたのはお前か?」

 

―――おう。

 

怪物は彼女の言葉を理解しているのか、顔を頷く。

 

「そう...か。すまない、そうだと知らずについ好戦的になってしまった....謝罪する」

 

―――気にしてないからいいよ。

 

今度は首を横に振り、気にしていないような素振りを出す。

 

「さて...時間をだいぶ食われてしまったな....すまないがここに侵蝕緩和剤、それか応急箱はないか?流石にこの怪我じゃ帰るのに支障が出る....」

 

―――おう、待ってろ....えーと確かねーここにねー....

 

怪物は一つ吼えると、箱がある場所へ行き、器用に尻尾を使い探し出す。

 

(あの尻尾....凄く器用に使えるな....なるで第三の手のようだ....)

 

――おっあった....これでいいか?

 

怪物はそれらしいものを見つけると、口?に銜えながら持ってきて、彼女に見せる。

 

「っ!ああ、それだ....まさか両方あるとは、運がいい....すまない、助かる」

 

彼女は慣れた手つきで足の治療を完了させる。

 

「っ....さっきよりはマシになったな....世話になった、ありがとう。私は一刻も早くいかなければならない...またいつか、会おう」

 

『....』

 

「な、なんだ?そんに見つめて?」

 

すると、怪物は彼女の上に放り投げ、怪物の背中に強制的に乗せる。

 

「きゃっ!....ま、まさか、ホロウの出口まで送ると言うのか!?」

 

―――おう!流石に怪我したままじゃ辛いだろ?

 

一つ吼えると、怪物が持つ器官でエーテルの残留を辿り、彼女を送り届けるため、動き始める。

 

「...ふふ、可笑しなエーテリアスだ。さながらまるで――人を守る『番犬』だな

 

 

 

 

 

――あともう少しだな....ん?

 

荒れくれたホロウの中を駆けていると、突然目の前にミサイルが飛んでくるのを目にした。

 

「なっ...!」

 

――危ねぇっ!!

 

ドンッ!!

 

怪物はその場に飛び、ミサイルを回避し、一度止まる。

 

――野郎...どこからきた?

 

「....っ!いたぞ、あの上だ」

 

彼女が指した方向へ見ると、そこには男が立っていた。何やら興奮しているようだが....

 

「おのれぇ...!お前のせいで計画が全部パァーだ!!まだ生きていたのは予想外だが、そんなことは良い!!ここでお前の墓場としてやるぅ!!」

 

そう言い、男が何かを操作し、上から巨大な機械が現れた。

多くの武装を付けた完全武装メカ『ガーディアン』が怪物たちを見下ろしていた。

 

「あれは...防衛軍の!」

 

「見せてやる!この力でお前を跡形もなく消し炭にしてやる!」バッ

 

――来る....!

 

男は『ガーディアン』に乗り込み、装着された武装で彼女たちに襲いかかった。

 

ドドドドドドっ!!

 

――このくそ...!

 

怪物は彼女を乗せたまま、ガーディアンの銃撃を避ける。

 

「おのれちょこまかと....なぜエーテリアスがそいつの味方をしているか分からんが....邪魔するならお前も消し炭にしてやる!」

 

「かなり面倒な相手だ....早くケリをつけなければ....」

 

「くらえっ!!」ピッ

 

ドドドンッ!!

 

ガーディアンの武器からミサイルが発射され、彼女たちに襲い掛かってくるが―――

 

「っ!」シュルルルッ!!

 

ドドドドッ!!

 

彼女が持つ糸の武器で向かってくるミサイルを迎え撃つ。

 

「奴の攻撃は私が何とかしよう!お前はあの男が乗っている機械をどうにかしてくれ!」

 

――ああ、まかせろ!!

 

「ふっ、頼もしい番犬だ...!」スチャッ

 

「くぅぅ...おのれぇ!畜生が!!」ガチャッ!

 

男が攻撃が当たらないことにイラつき始め、再び武器を向ける―――その瞬間、彼女はその武器を縛り上げ、身動きをとれなくさせた。

 

「ぐっ...!?動けん!?」

 

「今だ、番犬!」

 

――おうよ!!

 

怪物が雄たけびを上げながら上空へ飛んだ、そして怪物の右前足にエーテルの力を纏わせる。

 

「く、来るなぁぁぁ!?」

 

――くたばれっ!!

 

 

ズガドォォォォンッ!!

 

 

「うわあぁぁぁぁぁ!?」

 

エーテルを纏った一撃は男が乗っていたガーディアンを原型をとどめていないぐらいにバキバキに破壊する。

 

――やったぜ。

 

「威力が...段違いすぎる....」

 

かくして、ターゲットを無事撃破した二人は、出口まで同行し、ついに別れる時が来る。

 

「今回は....色々助けてもらったな。この借りは必ず返そう」

 

――いいってことよ。

 

一つ吼える怪物に彼女はフフッと笑いをこぼす。

 

「...こんな名もない私を最後まで尽くしてくれたのは初めてだ....ありがとう」

 

――ん~...くすぐったいぞ。

 

彼女はそう言いながら、怪物の顔?を撫でる。

 

「では、一刻もここを去るとしよう....番犬、またいつか―――会えるのを楽しみにしているぞ?」

 

――おう、またな。

 

今まで見せたことの無い顔を浮かべた彼女はホロウの外へ出て行く。そんな彼女を怪物は姿が見えなくなるまで見守っていたのだった.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――イヴ....イヴ?.....起きてよイヴ!」

 

「ん?....どうしたお嬢様」

 

「イヴに頼もうとしてたら、なんか嬉しそうな表情していたわ....何かいいことあったのかしら?」

 

「むっ...別に、特にはないが....そうだな―――昔、世話になった犬を、思い出しただけだ

 

「犬?...イヴって前は犬を飼っていたの?」

 

「いや、飼ってはない。ただの野良犬だ」

 

「ただの野良犬で、そんな顔する?...ねえねぇ、その野良犬のこと聞かせて?」

 

「ふっ....そんなことより、私に何か頼みたかったものがあったのでは?」

 

「あー!話題逸らさないでよ!」

 

「....ハハッ♪」

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