こんにちは実力主義の学園   作:恋キング

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渡る世間は鬼ばかり

入学式もおわり、早速ウチは櫛田ことキーちゃんと合流して、カラオケで今後の打ち合わせと報告会を行っていた。

 

「それでダーリンくんはワンちゃんにご執心みたいだね」

 

「何を言ってるのさハニー、ウチには君だけだよ」

 

 

宣言どおり、自己紹介に残っていたDクラス生徒の連絡先は確保してきたキーちゃんは、男子の仕切り役を平田に取られたことも含めて立腹気味なのか、机の上のポッキーを乱暴に頬張る。

 

 

「それにしてもまさかすぐに見抜かれるとは思わなかったよ」

 

「類は友を呼ぶと言うし同類はすぐにわかるだけだよ」

 

「アンタに同類扱いされるのは癪に障るね」

 

 

既に腹の探り合いも終え、似たもの同士同盟を組むことになった、キーちゃんとウチ。しかしキーちゃんはウチが犬を愛でていることが気に食わない様子である。

 

 

「言わなくてもわかってるとは思うけど犬に夢中になって裏切ったら許さないからね?」

 

「いくら犬が好きだからって、嫁と別れて飼い犬と結婚するようなやつがいるとでも思ってるのかな?」

 

「アンタと結婚した覚えはないけどね」

 

「少なくとも変なやつに勘違いされるよりはマシじゃない?」

 

「アンタがその変なやつだってツッコミは必要ないかな?」

 

 

ポッキーを食べおえ、ひと呼吸したキーちゃんは、こちらに向き直すと、また可愛さの仮面をつけ直す。

それを見たウチは、とっておきのプロポーズをする。

 

好きです。付き合ってください(しばらくは同盟を組みましょう)

 

私で良ければよろこんで(気に食わなければすぐに乗り換えるよ)

 

 

こうして、自他ともに認める高度育成教育学校暫定ナンバーワンカップルが誕生したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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ウチたちカポーがカラオケを出ると、都合よくもう一組のカップルと遭遇したのだが、その片割れはなんと平田だった。

平田はこちらに笑顔をむけると口を開く前に、隣の彼女が割り込んできた。

 

 

「なになに?夢宮くんと櫛田さん、そういう感じ?」

 

 

軽井沢恵である。

 

平田は見た感じどちらかというと、特に何も考えていない天然くんであるため、うちのカポーのように計算で成り立ってる関係とも思えないが、特定の一人を初日から交際相手に選ぶようなやつにも見えないので、軽井沢が押しかけ女房したといったところだろう。

 

こういう優男はグイグイ迫られたらころっと落ちるのである。可愛いところあるな君。洋介って呼んでやろうかな。

 

「うん、軽井沢さんと平田くんもお付き合いをはじめたの?」

 

「うそ!適当に言ったのにマジなんだ?」

 

 

ピシリと、キーちゃんの仮面がキシんだのを感じる。

 

 

「あらためて、ヒナタくん、櫛田さんよろしく」

 

「洋介くんも隅に置けないね。なんだか親しみを感じるよ」

 

「ありがとう。うれしいよ」

 

 

社交辞令といったようにも見えず、本心から喜んでいるのだろう。洋介と呼ばれただけでこんなに嬉しそうにされると、なんだか自分が汚れてしまったのではないかと思える。

 

ボロ負けである。ナンバーワンカップルの座剥奪といったところだろう。別にいらないけど。

 

その後、ダブルデートの予定をギャル井沢さんに(勝手に)立てられて、トボトボとウチたちカポーは寮までの道を歩いたのである。

 

 

 

 

「平田くん達、お似合いのカップルだったね」

 

「本当に、あれくらい何も考えずにいたいよね」

 

「ヒナタくんも犬の前ではあんなんだよ?」

 

「すみません」

 

寮の自室にはこれと言って備え付けられたものも少なく、必要最低限生活ができるようにベッドなんかはあるものの、家具等は追加で購入する必要があるだろう。

 

ウチは耳と口はキーちゃんとの電話に預け、左目と指はクラスのグループチャットに向けながら、配布された資料を手にしていた。

 

「光熱費等も学校持ちみたいだね」

 

「なんの話?」

 

 

どうやらキーちゃんはバスのときも感じたが常識や金銭感覚が薄いらしい。月の生活費が毎月10万円も貰えることに疑問すら抱いていなかった。

 

クラスのグループチャットでみんなに聞いても、既にゲームを買ったコスメもデパートくらい揃ってたなど、大金をもらって心を踊らせている生徒ばかりだ。

 

そこで、ウチはここまでの疑問をキーちゃんにぶつける。

 

「なるほど、クラス対抗戦に謎の生活費だね」

 

「実力主義っていうんだからこれくらいはあるんじゃない?」

 

「真面目に言ってるならヒナタくんは小説家になれるよ」

 

 

恋人からの一撃に面を食らう

 

 

「一応念頭には置いておくし、貯金はしておくね」

 

「水を差したところで考え過ぎならリスクが高いからね」

 

「でもダーリンくんからの愛だけは受け取っておくね」

 

 

その後グループチャットでは、コンビニに無料の商品があった。櫛田と夢宮、平田と軽井沢が付き合ったなど、いくつかの話題が流れていき、ウチもキーちゃんとの電話を終え、眠りについた。

 

 

 

 

2

 

 

 

 

数日後、自己紹介で拾えなかった生徒たちの連絡先も集めていき、綾小路くんの隣の席にいる黒髪女子こと堀北鈴音以外はなんとか確保できた。

 

他のクラスにもキーちゃんと共に挨拶に行き、各クラスの内情も更新された。

 

Aクラス 葛城くんと坂柳さんという2つの勢力に別れた

 

Bクラス 一之瀬さんを中心とした横並びグループになった

 

Cクラス 龍園くんが暴力で支配したらしい

 

学校は社会の縮図とはよく言ったもので、それぞれどこかの国の政治情勢のようにクラスの雰囲気も特徴に合わせて綺麗に別れていた。

 

ウチのDクラスは、洋介を中心としたグループとキーちゃんを中心としたグループに別れてはいるものの、それぞれのトップが相反しているということもなく、集団に属さないものも多く在籍しているため、まとまりのない様子が見られる。

 

このことから、当初の想定どおり、成績や集団の特徴に合わせてクラスを分けて、競わせるという仮説が更に深まったのである。

 

 

ウチやキーちゃん、平田などは最低限の団結のため補充された尻拭い要員と言った所だろう。そう考えると戦力になるとして逆に学校から評価されているのだとポジティブに考えられる。

 

そうと決まれば、今のうちにキーちゃんや洋介と打ち合わせをする必要があると考えたが、キーちゃんには考え過ぎと言われたばかりなので、とりあえずのクラスの団結のため堀北のことはキーちゃんに任せようとする。

 

 

 

「あんなやつと仲良くしたくないんだけど」

 

 

するとそこには、堀北の名前を出しただけで機嫌が悪くなったマイハニーの姿があったのだった。




本当はコンビニ帰りの綾小路くんに合流したり、コンビニでオロオロする綾小路くんの観察をしたかったのです。

ですが、それをすると本格的に綾小路くんのストーカーになってしまったり、堀北を口実に綾小路くんとのデートができなくなるので今回は描写を入れることを断念しました。
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