こんにちは実力主義の学園 作:恋キング
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この学校は髪を染めている生徒が本当に多い。
言わずもがなマイハニーは茶髪であるし、いかにも私はおどおどしてます。と言ったクラスメイトがピンクに染めている時点で、この学校では染めていないほうが珍しいとまで言えるだろう。
だから彼女、堀北鈴音の黒髪は逆に目立ってしまうのだ。
「あいつとあんまり関わりたくないからダーリンお願いね」
そんな堀北鈴音のことをマイハニーことキーちゃんこと櫛田はえらく嫌っているようで、平田との打ち合わせに代わりに行ってくるから、ウチに面倒ごとを押し付けてくる始末である。
「お断りします。私は誰とも仲良くするつもりはないの」
泣きっ面に蜂である。
ただでさえダメージを受けているのに女の子からのストレートな拒絶は少し応えるものだ。
そこでだ。
隣の席のよしみか、かの令嬢と会話を成立させることに成功させている忠犬綾小路くんに目をつけた。
「タカくん」
廊下から出るところに声をかけると少し嬉しそうな目をこちらに向けてくれる。かわいい。
人気のない踊り場までノシノシとついてきてくれる。
かわいい
「えっと夢宮だったな、なんの用だ?」
「そんなヒナタでいいよ、タカくん」
「そうか、それでどうした?ヒナタ」
適応が早い。かわいい
「実はキーちゃん、いや櫛田さんと一緒に学校のみんなと連絡先を交換してるのは知ってるよね?」
「ああ、おかげで俺とも交換してくれてありがとう」
「えへへ、素直に喜んでもらえるとうれしいよ」
「それで、タカくんって堀北さんと仲いいよね?」
「いや、よくはないと思うが」
「でも、堀北さんと話すのタカくんだけだよ?」
「だから、タカくんにも協力してほしいんだ」
こうして、おまけがついてしまったが、体よく放課後ショッピングモールでの喫茶店デートを取り付けたのである。
1
「言ったでしょ?クラスに迷惑はかけない、私は一人を寂しいとは思わないの」
クラスメイトの仲間たちにも協力してもらい堀北鈴音を呼び出すまではうまく行ったものの、彼女はウチ達と友達になることを拒否し、去っていってしまった。
「すまない、タカくん。彼女に嫌われるようなことを」
「いや、気にするな」
そう言ってタカくんは慰めてくれる。かわいい。
「それにしても、ヒナタはどうしてそんなに友達を作りたがるんだ?」
「そりゃ、友達がいると楽しいでしょ?」
「俺には友人というものがいたことがない。だから数を揃えればいいというのも、必要以上に作るのも何故だかわからない」
「そういうところがタカくんのいいところだよ」
かわいい。本当にかわいい。
究極的に言うと、人間は一人では生きていくことができない。
依存、共存、同調、それらはすべて弱く儚い人間が、強者に潰されないための生存本能である。
たとえ、仮に一人で数多くのことをこなす事のできる存在がいたとて、達人であっても戦力差を覆すことは容易ではない。
だからこそ、この"犬"は強く振る舞ってはいるものの、自分のことを受け止めてくれるものに対して強く出ることなどできない。
だからこうして、ウチなんかとデートに付き合わされるのだ。
「あ、綾小路くん!それにヒナタくんも」
無粋な邪魔が入る。
「櫛田だったか?」
「うん、覚えてくれていたんだね」
「やあ、キーちゃん、今タカくんとデートの真最中だよ」
「ヒナタ、デートではない」
「もう、ヒナタくんったら付き合ってる彼女の前で浮気?」
「櫛田、デートではない」
櫛田、平田との打ち合わせはどうしたんだ?なんて聞く前に、櫛田の後ろから平田と軽井沢も現れる。
「なになに?ヒナタくん、浮気ー?」
「軽井沢、デートではない」
綾小路くんとのデートが終わるのは残念だが、流石に彼女を置いて男二人で帰るというのは色んな意味で疑惑が出てしまう。
そこで、ダブルデートの予定には早いが綾小路を寮まで送り、平田たちとカラオケに向かうという事になった。
「そっか、堀北さん駄目だったんだ」
「ごめんね、キーちゃんや軽井沢さんの友達にも手伝ってもらったのに」
「ふーん、私あの子あんまり好きじゃないから別にいいよ」
「軽井沢さん、そんな言い方よくないよ」
「なに?平田くん、あの子と私どっちがいいの?」
「クラスメイトなんだから仲良くしなきゃ」
堀北とのやり取りを3人に話すと、三者三様の反応を返してくれる。あ、櫛田は目が怖くなった。
「にしても、この学校ってすごいよね、お店もいっぱいあって、毎月も10万円分も貰えるなんて」
「額の大きさとかちょっと異常だと思うけどな」
「え、綾小路くんもそう思うんだ」
櫛田からの探りへの綾小路の返答に軽井沢が驚愕する。
「綾小路くんも?」
「え、だってヒナタくんも同じこと言ってたよ」
これは随分、口が軽井沢さんだ
「やっぱりさ、光熱費も家賃も無料なのに毎月10万円も貰えるのはちょっとおかしいと思うんだ」
「そうだな、少し節約とかも大事だろう」
そんな風に他愛のない会話をしていると、時間も過ぎ、ここでと綾小路と別れる。ここからは、平田カップルと我らがカポーのダブルデートの時間だ。
2
「それでそれで、二人はそれぞれのどこを好きになったの?」
既に軽井沢からの尋問は佳境に入っており、櫛田はウチから告白したことを白状してしまったらしい。
「
「私はね
「えーもうラブラブじゃん!」
どこをどう見たらそうなるのだろう。
櫛田はウチの持っているポッキーにかじりつくと、平田たちに反撃する。
「そんなこといって、二人はどうなの?」
「えー?平田くんを好きにならない女子なんていないよー」
「軽井沢さんは素敵な人だよ」
「えー平田くんありがと!」
そう言って、軽井沢は平田の腕を掴む。
「そんなことより、ヒナタくん、打ち合わせだよね」
平田はウチに向き合うと、真剣そうな目をこちらに向ける。
「うん、各クラスの様子なんだけどね」
こうして4人は、確証が得られるまでは、せめて少しでも多く節約して、貯金をすることになった。
考え過ぎじゃない?などと言う軽井沢の反応も虚しく、季節は流れ、ウチらは5月1日を迎えることになる。そして、どよめくクラスの仲間たちに、無情にも茶柱先生は告げるのであった。
「本当に愚かだな、お前たちは」
説明的なセリフ等のメタ的な表現が読んでいてあまり好ましいと思えないのであえて描写はしておりませんが、作中で日数が経過している場合や、場面と場面との間でも登場人物は会話や行動をしています。
そのため、作中登場人物の呼び方が変わっていたり、今回カラオケで櫛田が夢宮の手にあるポッキーを咥えるなど、関係の変化を描写で表現するようにしています。
何が言いたいかというと、語り手は多くを語らないだけで、描写の影では櫛田と仲良くやっていたりもします。