存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界94

 

 Welcome to ようこそアイルランド だけどどったんばったん大騒ぎ。なお原因はアタシが殿下に教えたあれなので申し訳ないけどちょっと部屋で大人しくしていてもらっていいですか申し訳ありませんとか言われてしまったのは全く以て自業自得。だけど大人しくしていてもアタシの得にはならないので王宮にある芝コースを借りて洋芝に走りを合わせることにする。許可は取ったから大丈夫。

 ちなみにアイルランドの王族には結構な確率でウマ娘が産まれるので王宮には立派なコースがある。芝もダートもね。

 まあ実際アタシがここに居る理由の一つに洋芝に慣れるためって言うのがあるから間違いではないはず。

 

 しっかし本当に洋芝かどうか疑わしくなってくるような芝の質だ。かなり硬いし深くもない。これなら普段の感覚で走ってもそこまで変わらないような気がするけれど、今回は一応ちゃんとやっておくことにする。今回の海外遠征で伝説を作る予定だしね。

 運動前にしっかり柔軟と準備運動。これ大事。いきなり激しく運動しても大丈夫なように鍛えてはいるけれど、だからといってやった方が良いことに変わりはない。それから何も考えずに走り出す。

 

 軽く1km。身体を温めるためのジョギングくらいの感覚で。

 もう1km。温めた身体のギアを一つ上げて本格的に走る準備を。

 更に1km。暖機運転としてはこれで十分。

 

 加速する。身体能力に任せて軽く一周。

 加速する。魂に染みついた技術を身体にも染み付かせていく。

 加速する。身体に染みつかせた技術を昇華させていく。

 加速する。これまでの世界で受け継いだ数々の領域を展開し、今の状態を確認していく。

 加速する。この世界で受け取った新たな領域を更に組み合わせていく。

 加速が止まる。現在の最高速度を維持したまま、周回を繰り返す。脳裏に映る数人の姿と共に。

 

 今現在、トレーナーさんの力を借りずにできる範囲ではこんなもの。領域の発動条件に関しては、脳裡で描いた幻のレースの状況を変えることで現実でどんな状態であっても扱えるようにした。位置条件に関しては流石に自由自在とはいかないけれど、その地点に入れば即座に発動できる。

 大きく呼吸を繰り返し、体力を回復させる。オヨソシンザンさんから飲み物を受け取って、一杯飲み干す。いつもの世界ならお気に入りのスポドリなんかがあったんだけど、この世界ではそんなものは存在しないから仕方なく自作した。梅も無ければレモンも無いからトレーナーさんの置き土産に頼ってるけどね。

 

 一休みしたらまた走り出す。今度は初めから領域もスキルも全開で。

 

 何度も過ごした様々な世界では、アタシのよく知る領域とは違う領域を扱うウマ娘がいることもあった。例えばターボはよくある世界では『レース全体の三分の一走ったところで先頭だと暫く加速を続けて最後に垂れる』って感じの領域を使うけど、時々『ゲート内で発動しスタミナ若干使って出遅れ無効』とかいう逃げウマ娘必須みたいな領域を使うこともあるし、テイオーも『最終直線で前のウマ娘から一バ身以内にいると発動する速度上昇』っていういつもの領域じゃなくて『レースの後半で追いすがられると発動する速度アップ』っていう領域を使うこともある。そういった数々の領域は、実は何度も何度もしっかり確認して本人とそれなりに交友があると受け取ることができたりするのでそれなり以上の数を持っている。

 そういった領域を普段使いしているスキルと合わせて幾つも発動する。加速、速度上昇、スタミナ回復、単走だから効果は見えないけどスピード吸収とスタミナ吸収。領域は数多く存在するけど、基本的には回復するか速度を上げるか妨害するかの三択。たまーに相手からの妨害を無視するとかちょっと方向の違った領域もあるけど、基本はその三つだ。

 

 そして、領域に近いけど領域ではない特殊スキルと言うものがある。一般的に誰でも覚えられるようなスキルをしっかりと鍛え上げることでひとつの武器として進化させ、その上で更にそれを自分に最も合うように最適化する。そうすることでより効果を高くすることができる技術だという認識をしている。

 そしてこれは、アタシが一番苦手な相手から教えてもらった特殊スキル。使えるのはアタシの知る限りアタシともう一人……いや、もう一頭、ハヤイだけ。

 

 特殊スキル名は『天覧競馬』。その効果は、天候を晴れにして調子を絶好調にし、さらにバ場状態を良にする。前日まで台風が接近していても当日は晴れるし、寝不足とか胃痛とかがあっても消えるし、出走直前にコースに水を撒かれてもなぜか良バ場になる。何がどうなって発動しているのかはわからないけれど、あれ以来アタシのレースはいつでも快晴だ。

 そして『適応ストライド』。その場その場に合わせて歩幅やピッチを変え、最適な状態で走る技術。ハヤイと違うのは、アタシはその場にアタシが合わせるけどハヤイはその場を自分に合わせさせるということ。だからハヤイから習いはしたけどハヤイの場合は適応ではなく蹂躙ストライド。得られる効果自体はそんなに変わらないんだけどね。

 

 様々なウマ娘から継いできた技術を取り込み、咀嚼して自分なりに再現し、そして自分にとってより良い形にアレンジする。トレーナーさんから貰ったものではなく、ナイスネイチャと言うイチウマ娘の集大成。見せてやろうと思う。

 




Q.ジャパリp───
A.シャラップ!ここはアイルランドだ!

Q.物凄い方法で順位条件無視してない?
A.してます。これを平たく言うと思い込みですからね。

Q.……おっそろしいスキル持ってない?
A.ゲロヤバいスキル持ってますね。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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