存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界95

 

 神という存在には複数の顔がある。少なくとも日本の信仰においてはそういうものだ。

 荒々しい側面であり、神罰や祟りなどを起こす荒魂(あらみたま)

 優しい側面であり、加護やご利益を与える面である和魂(にぎみたま)

 そして和魂はさらに二つに分けることができて、幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)の二つがそれにあたる。

 ちなみに荒魂にもある種の別側面があって、新しい物を作るために古い物を壊していくとして新魂と書いて同じように『あらみたま』と読ませる場合もある。日本語って難しいね。同音異義語がものすごく多い。

 

 なお、これらの神の分け方は日本独特のものなので外国ではまず間違いなく通用しない。と言ってもそういう表現をされないだけでちゃんとそういう面を持ってるていう逸話は大体どの神にもあるけどね。北欧神話でもそうだし、基督教でも同じ。違うのは多分拝火教くらいじゃないかな? ゾロアスター神話は善と悪との戦いがあるってはっきり書かれてるから。

 

 そこでアタシのやってることを思い出してみよう。和魂の面は結構しっかりやってると思うんだよね。主に野菜とか料理とか骨折治す薬とか健康とか美容とかそういうのでさ。

 でも荒魂の方はあんまりやってないんだよね。精々レース新設したくらいでさ。あとお仕置きだけど、あれは荒魂のやる事じゃないからね……荒魂のお仕置きはあんなもんじゃないし、あれで済ませちゃいけない。よっぽどのことが無ければやるつもりはないけどさ。

 

 ドルイドと言えば、アイルランド周辺において文字を作り出して使っていた存在。その多くが今は失われてしまっているけれど、何故か今のアタシは失われてしまって読める人も使う人もいなくなったそれを扱うことができる。理由はわからないけど、わからないまま使えるものを使うのはそれなり以上に長い人生で慣れている。

 昔々はドルイドはオークの樹とそれに寄生したヤドリギを神聖なものとして扱っていたけど、今となってはそれは文献に残るばかりでありがたがる人なんてほぼいない。別にそれでもかまわないけど、どうせなら使えるものは使いたいじゃない?

 

 オークの樹に寄生したヤドリギを分解して再構築し、一枚の布を服の形で作り上げる。複数枚の布を切ったり縫ったりして形を整えるのではなく、初めからその服の形で作り上げる。こういうのができるのも便利だよね。

 そしてその服を飾り付けていく。ドルイドらしく基本は全て植物素材で、そこに汚損を防ぐ術を付加して馴染ませる。時間をかければこれくらいならアタシにもできるのだ。

 模様はドルイドが使っていたとされる拝む文字、じゃないオガム文字。違うって言ったけど古のドルイドたちは神聖視してたし拝む文字でもあんまり間違ってない気もするけどねwww実際拝んでたわけだしwww

 

 ……文法は現代とそう変わらない。単語に関しては、当時には認識されていなかったり存在していなかった物が多すぎるから現代で使うのは難しいけど、神事ならそんなに問題にはならない。一番問題になるのは多分こんなものを現代に蘇らせることだと思うしね。

 布にオガム文字で祝詞を書いていく。それができたらその文字以外の部分をちょいちょいして沁みないようにして、オガム文字の祝詞の形に染色していく。それぞれのオガム文字の表す植物の実や葉を使った草木染めだけれど、それで細かく染めるのはなかなか難しいし時間もかかる。なのでここで取り出したるは魔法の時計。はい、時間加速です。

 

 そういう訳で完成しました、こちら手製のドルイド風衣装になります。いや、確か女性名詞があるんだっけ。ドルイドじゃなくて……ドルイダス、だったような。

 まあ本当にそのままだと神事に使うにはちょっとみすぼらしい気もするから少し改造。白い地の布に複数種類の緑色でオガム文字が記されただけのローブみたいなものだったんだけど、それを飾るためにいくつかの小道具を用意した。

 一つ。王冠を被ったハートの石をあしらったリング。

 一つ。ケルト十字のネックレス。

 一つ。三つ葉の意匠のブレスレット。

 そしてそれらにはトリケトラの意匠を三つずつ刻んでおく。

 あとローブも袖口や裾に伝統的な衣装を染め抜いておいた。アイルランド王国で大切にされている三つ葉の葉を染料にしたけど、メシマズ物質の混入が起こらないように全部アタシが出したやつだから安心してほしい。

 

 ……このサイズだと子供の時にしか着れなさそうだからなんとかしたいと思わなくもない。しっかり成長した時にピッチピチになってちゃ何の意味も無いからね。サイズを合わせるようにする術でも使えばどうとでもなるんだけど、これって扱いを間違えると大変なことになるからあんまりやりたくないんだよね。既に汚損防止の術まで付加してるんだから余計に。

 でも、今はこのサイズでちょうどいいと思うんだよね。

 

 目の前で椅子に座ってアタシのやることを眺めていたピルサドスキー殿下に視線を向ければ、なんだかわくわくした顔でこちらを見つめている。サイズからして誰のかのあたりがついたのかもしれない。

 一応下着とかも作っといた方がいいかな? だってほら、メシマズ物質ってよくうつるからさ。着る前にメシマズ抜きも必須だし、思ったより服飾って大変だ。趣味としてたまに作るくらいなら全然かまわないけど、毎日これを続けるとなると頭がおかしくなってしまいそうな気がする。細かい作業には向いてませんなぁ。

 




Q.何らかの特殊効果とか付きそうな服ですね。
A.ちょっと汚れず破けず摩耗せず色落ちしないくらいです。あとリジェネ。

Q.アクセサリーとかって意味あるの?
A.なくはないですが重要ではないです。(ネイチャ視点)

Q.……なんかあるの?
A.幸運とかそういうのが舞い込みやすくなるくらいです。あと盗難するとそれを行った者指示した者にそれまで払い続けてきた不運が一気に襲い掛かって大抵死ぬより酷い目に遭うくらい。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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