存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界97

 

 アタシ知ってる。こういう飾りを作ったとして王冠だけは絶対に作っちゃいけないって。あと印璽もよくないってアタシ知ってる。国によってはそれで千年以上争えるからね。歴史が証明してるからね。仕方ないね。

 そういう訳で王冠は作らないでおく。実のところさっき作ったドルイダスのローブと三種のアクセサリに王冠を合わせるとちょっと面白いことができそうなんだけど絶対やめておく。多分これ面白いと思うのアタシだけだからね。

 

 そういうことで小休憩。と言ってももう夜だし、お風呂入って寝ることを考える。でもお風呂……アイルランドと言うかヨーロッパ圏のお風呂ってあんまりいいイメージないんだよね。例外はローマくらい。まあ水質が日本人の肌に合わないって言うのはあるけど。

 なので、これも自前で作ることにした。やり方は簡単。メシマズ物質を抜いた土地を用意して、そこに大きめに育つ木の種を一つ。今回は楠のどんぐりを植えます。

 そしてその周囲を普通に九足反閇で回って簡単にお祓いして、出来上がりの状態をイメージしながら力を込めて、踏み鳴らす。

 すると栄養ではなくアタシが踏み鳴らした際に込めた気を吸い取ってどんぐりが発芽し、イメージした形に近くなるように成長していく。

 今回想像したのはお風呂に使えるちょっとした小屋。湯船とかは完全に木製だけど水道は通ってないから自分でお湯を出して溜める必要がある。何日か放っておくと樹に吸収されるけど、あんまりよくないからちゃんとお湯とかは消しておく。掃除もね。

 

 ちなみにお風呂を作ったのは王宮の隅にあった扉の絵の先の妖精郷らしき場所。ケルト神話的にはティル・ナ・ノーグって言うんだっけ? そこに作らせてもらった。ちなみに、非常に残念なことに、ここもメシマズ汚染されてました。まあ、人間という種が生まれるよりだいぶ前からメシマズ物質は世界を汚染してたんだからそれはそうだよね。

 ……そう言えば、絵に入った時オヨソシンザンさんを置いてきちゃったね。ここだとどうも時間の流れが違うようだから暫く籠っても一瞬だと思うけど、そうなると次入った時どうなってるかわからないね。困るよね、それ。

 

「だから、なんとかならないかな?」

 

 近くに居た妖精たちに語りかけると、言葉は通じないけど意思疎通はできるらしく対価があればできると返された。妖精相手の対価って言えば、やっぱりこれだよね。

 アタシが差し出したのは、蜂蜜の入った牛乳とクッキー。全ての妖精がそうだったわけではないけど、結構な率で妖精は甘いもの好き。そしてこの世界において自然界にはほぼ存在しないメシマズ物質の全く入っていないそれは妖精たちの対価となるには十分だったようで、喜んで仕事を受けてくれた。何だったら一部の妖精たちから対価目的に仕事ないかと聞かれるくらいに人気が出てしまった。

 アタシにはあまり意味のないことではあるけれど、ここでお風呂に入ると妖精たちとの相性とかがよくなりそうな気はする。何しろここは妖精郷で、周囲には妖精たちが当たり前のように存在しているのだから。

 と言うか、ここへの入り口が常に王宮の一部にあったからここが王宮になり、王族である殿下たちは精霊や妖精たちと相性がよかったんじゃないだろうかとも思う。実際のところどうなのかは知らないけど、そんな感じはする。

 

 こういう場所を作らせてもらったことだし、土地代に何かやっておいた方が良いかもね。メシマズ抜きは……今生えてる植物があるから難しい。こういう世界って大抵何らかの核があるからそれを壊さないようにしないといけないんだけど、植物が核になってる場合が結構あるんだよね。妖精郷だとそういうの多いよ。

 まあ植物じゃなくて岩とか山とかが核の場合もあるんだけど、山の場合は大抵平地が無いし岩の場合は植物が苔くらいしか無いことが殆どだから多分違うと思う。予想だと森か、もしくは宿木の宿ったオークの樹、ちょっと確率下がってシロツメクサの花畑って所かな?

 そう言う所で炎なんて使えないし、核が駄目になると全部駄目になる。なんならここはアイルランド王国の自然の分霊みたいなところがあるからアイルランド全体に厄災が起こる可能性すらあるからね。やめとくのが無難。

 ……お風呂の樹生やしたの? ああ、それは大丈夫。ちゃんと場所考えたから絵の中に生えてるだけのはず。外界への影響は可能な限り抑えたよ。

 

 しかし、神域とも呼べる場所に来たのはいいけどなんと言うか今まで入ったことのあるどの神域よりも鍵が緩かった。まるで作ったけどすぐに捨てて出ていったみたいな……いや、もしかしたらそれが正しいのかもしれない。

 神になればある程度世界を俯瞰して眺めることができると聞いた。つまり、この世界の外の美味しい食べ物がたくさんある世界を見ることができるということ。この世界は多分神に成り上がるまで暮らしていた場所が神に成り上がる時に纏めて昇華した場所だと思う。だからここを捨てて外に行っても残ってるんだと思うんだよね。知らないけど。

 そう考えると三女神様がこの世界における最大神格なのもわからなくはない。つまり、この世界を出て行っても存在できるような強い力を持った神格はさっさとこの世界を捨てて出ていってしまったということで、そうして捨てられた世界を人間、と言うかウマ娘上がりの三女神様たちが回していると。だからこの世界は神と人間の距離が近い。そういうこと?

 

 ……神になれるような大きなことを成し遂げたウマ娘は多くない。世界の全てを三女神が押さえているとなると、それぞれの国家の中で神として崇められるくらいの存在はマイナー宗教の一柱くらいの扱いになるんだろうか。キンチェムくらいになるともっと色々できそうだけど、あの人仕事とかあんまり好きじゃなさそうだったからね……。

 

 本当に、この世界は狙い目ってことか。がんばろ。

 




Q.普通に……なにしたって?
A.多分ですが『九足反閇(きゅうそくへんばい)』ですね。陰陽道に伝わる緒とした浄化の方法です。

Q.なんで妖精郷に別荘みたいなの作ってるの?
A.できたから。

Q.日本でも似たようなことやってたりする?
A.日本だと八百万の神がいろいろな所に領域を持ってるからやってないです。ただ、この世界だと食事関係の所にぽっかり大きな空白地帯が存在するので……。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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