存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

11 / 115
絶対に存在してはならない世界10

 

 浄水は上手くいっていない。メシマズ物質を水から濾し取るフィルターか、もしくはメシマズ物質とだけ反応して一箇所に固められる薬剤のようなものが必要になるのはわかるけれど、肝心のその物質が見つからない。

 メシマズ物質はその多くが水に溶けてるから物理的に濾し取るのはほぼ不可能だし、ポリグルみたいなのを作っても形が無いと絡め取れないからメシマズ物質だけを析出させないといけない。なのにこの物質、本当に水によく溶ける。

 

 暫くは太陽光蒸留水路に頼ることになりそうだと思いつつ、それぞれ隔離した畑に成った野菜の収穫をしていく。秋は実りの季節、美味しい物がたくさんできる季節……だったはずなんだけどね。美味しくなくてもまあとりあえず色々な作物ができるから、収穫で忙しくなると言うのは間違いない。

 ちなみに隔離する理由は簡単で、水で外の土地と繋がるとせっかくメシマズ物質を除去したのにまた汚染されてしまうから。ちゃんとそのあたりは考えてありますとも。

 

 そう言えば、いつかの世界ではトレーナーさんと一緒にどんぐりでクッキーとか作ったりもしたっけ。懐かしいなぁ……。

 

 収穫した作物はそれぞれ適切な形で収納していく。追熟が必要なものもあるし、新鮮なうちに調理した方が良いものもある。けれどまずやるべきなのはやっぱりこれだと思う。

 

 人参の泥を落とし、皮を剥く。三分の一くらいの長さ……だと、この世界の人達には長すぎるので四分の一くらいの長さに切って千切りに。少しの塩で水分を抜きつつ下味をつけたら搾りたてのごま油をひいたフライパンで焦げない程度に火を通していく。全体に火が通ってしんなりしたらしいたけを漬けた出汁醤油で味付け。お皿に移して胡麻を一振りしたら出来上がり。簡単だけど人参のきんぴら。お酒もみりんも無いからちょっとコクが足りないんだけど、とりあえずはこれで納得しておくしかない。今の段階でこれ以上となると、トレーナーさんの置き土産を使わないといけないからね。

 

「あ、これはお供え物なので食べちゃ駄目です」

「なん……だと……?」グルルルルル……

「うぅ……だめ、かなぁ……? ライスが悪い子だから……?」

「……」ハイライトオフ

「ハイライト旅立たせるのやめてー? あとライス先輩は悪い子じゃないので関係ないですよー」

 

 いやほら一番最初に収穫したものって大抵豊穣の神様とかそういう存在にお供えするじゃん。アタシだってするよ。ただまあ一番近い神様が三女神様だからとりあえず三女神様にお供えするけどね。そっからどう行くかは知らない。

 早速トレセン学園に存在する三女神様の像のある噴水の前へ。いい匂いのせいかものすっっっっごい注目を集めているみたいだけど気にせず行く。あとオグリ先輩達にはこれの代わりに焼き芋で我慢してもらうためにオーブンで焼いているサツマイモを見てもらっている。

 

 赤い上等な布を敷いて、その上にお膳を三つ。それぞれに人参のきんぴらを山盛り乗せたお皿とお箸を並べて両手を合わせる。何度も繰り返した中ではお正月に巫女さんバイトをしたこともあるし、ちょっとだけ祈りの言葉を唱えることだってできなくもない。

 えっと、確か───

 

「───畏み畏み申す」

 

 この世に産まれ落ち十と三年、それ以前の積み重ねと此度の行動、その集大成の一つでございます。

 旧きより大地を見守る御身神、豊穣、水産、殖産興業を司る宇迦之御霊大神、偉大なる御身に伏して奉る。

 我らが地に豊穣を。絶望の地に僅かに生まれた希望の種を、どうか芽吹かせていただけますよう───

 

「いや、それ俺たちに言われても困るんですけど」

「御身ともなれば直接お言葉を賜ることも叶うでしょうに、何故我らに伝えるのでしょうか」

「……待って二人とも。どうやら『まだ』みたいよ」

 

 ……なんだかすごく嫌な予感がする。顔を上げてみると、そこにはアタシの作ったきんぴらをポリポリと食べているある意味見慣れた三人の姿があった。いや、この世界ナイズされてて小さいんだけどね?

 赤と青と黄、あるいは太陽と海と大地。周囲を見渡してみれば現実世界ではほぼありえない無限に続く白一色。これは恐らく……『いる』世界線に当たってしまったらしい。と言うかいてなんでこの世界になるのかと。

 

「あー、だってほら、根本的な原因が神になる前の俺たちが産まれるよりずっとずっと前のことなんだから、流石にどうこうできないかな。どうこうしたら最悪消えるし」

「神界規定で定められておりますしね」

「こら、いまのこの子にはまだそういう話は早いでしょう?」

「───いえ、なんとなく理解できるので大丈夫ですよ」

 

 これはあれだ、たまにある神様との距離が近い世界だ。神様との距離が近いとウマ娘とかが割と存在の階梯を駆けあがって神にまで成り上がる場合があるけど、ここの三女神はそういう形で成り上がった存在なんだと思う。つまり、自然神とも言えるガチの……って言うのも変だけど、生まれながらの神様も多分いる。フクキタル先輩が信仰してるシラオキ様って神様も多分いる。

 そっか、そういう世界か……。でもまあ最悪じゃないから良しとしようかな。うん





Q.最後、どういうこと?
A.最悪の場合ウマ娘世界が命のやり取りアリアリな異能バトル物な感じになります。エロ系が混じると最上位神サヰゲ・ヱムスによって消去されるのでそういうのはネイチャの認識上存在しません。

Q.問題を神様パワーでどうにかする感じ?
A.ないです。それじゃあ再現性が無く、世界全体に広められないじゃないですか。

Q.神様について聞きたい。
A.無駄に長くなるのでさわりだけ。興味の無い方はは読み飛ばし推奨。

 まず、神は信仰によって生じる精神生命体のような物であることを前提とします。つまり、ある程度以上の知能のある生物が十分な数存在していないと存在できなくなるものとしています。この時点でこの世界における神格は人間あるいはウマ娘の始祖よりも新しい存在であることがほぼ確定します。
 この世界がメシマズになる原因が数億年前、恐竜やら何やらが当たり前に闊歩している頃にまで遡れるので、神と言う存在は世界がメシマズ汚染された後に産まれた存在であると言えます。そしてそんな世界で生まれた以上は美味いと言う概念は存在せず、それを直そうとした場合には過去改変となるため時間の連続性が保てず現在の時間軸に存在している神としての存在が危うくなるということです。
 生まれた時から神なのが自然神。生まれた時は神ではないが成長するなり偉大なことを成し遂げるなりすることによって神に成り上がることが可能。信仰も必要になる。成り上がった神様は成し遂げた偉大なことの内容によって持つ力や格が決められます。最上位神サイゲ・ヱムスは世界創造によって最上位の神となりました。

 以上、知らなくても全く問題ない神様についてのさわりでした。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。