色々あったけど取りあえず目的の一つは果たすことができた。そう、KG6&QEステークスのことだ。勿論勝たせてもらった。
いつもと違うことと言えば、アタシの体格に参加者だけじゃなく観客まで驚いてたことかな。まあこの世界的に見れば身長250cmくらいの巨人が参戦してきてるんだからそうなる理由もわからなくはない。ただ、流石はイギリスと言うべきなんだろうか、凄くウィットと自虐と悪意に満ちたジョークが飛び交っていた。感覚的に非常に合わないのでレースが終わったらさっさとアイルランドまで戻らせてもらった。
この世界ではアイルランドとイギリスはあまり仲が良くない。イギリスからするとアイルランドの農耕のできる土地は非常に魅力的なものだろうし、アイルランドからすれば自分たちの土地を奪おうとする相手は基本的に敵でしかない。まあ戦争と言っても国を挙げてのウマ娘レースで決着をつけるタイプらしいからまだ穏便ではあるんだけどね。
これが殺し合いありのマジの戦争となると被害が馬鹿にならない。まあこの世界ではそんなことをやる余裕すらないからそんなことになってないというのは救いなのかどうなのか……。
さてアイルランドまで戻ってきたアタシだけど、アタシの式神化しているはずのエポナ神が普通に顔見せに来た。しかもアタシの式神ではあるけど結構な割合で侵食……と言うか、感化されてるって言えばいいのかな? ともかくかなりエポナ神寄りの存在に変質してしまっている。流石はウマ娘そのものを司る、現存していれば三女神以上の大神格。残り滓みたいなものでも形を得ればこうなるのか、神って凄いけど面倒。
「ふふ……安心なさいな、邪魔はしませんよ」
「だといいですけどね」
「ええ。ちゃんと貴女が異邦に生まれた新たな神格だという話はしておきましたし、邪魔にはならないはずですよ」
「……ハァ。それは、どうも」
あー、うん、これはちょっと相手にするの面倒だ。神としての年季が違いすぎる。流石に思考の読み取りはできてないようだけど推測だけで当てられてもおかしくない。とは言っても本当に残滓も残滓だからかアタシの方が能力自体は高そうだけど。
そもそもケルトの神格って基本的に人間っぽいのが多い。人間が人間以外の存在に生まれ変わったり人間以外と結婚したりって言うのが結構あるから、もしかすると本当にケルト神話圏でウマ娘という存在が産まれた可能性も無くはない。
いやごめん多分無い。エジプトでケルト神話が語られる以前にその存在が残ってるわ。なんだったら現存する最古の文明と名高いメソポタミア文化圏でもウマ娘の存在は認識されてるみたいだし、いったいいつから存在していたのかって言われるとちょっと困る。これで困ったところで問題があるかと言われるとないんだけど。
でもまあ、これでアタシとエポナ神が同一視されることはなくなった。その点については有り難い。
「私がこうして顔を見せられるようになったのはあなたの作った神器の力だという話もしておきましたので、恐らくとてもいい関係を築けるはず。王冠も渡しておきましたし」
「どっちに」
「両方♡」
王位に対して口出しとか本当に勘弁してほしい。まあ確かに王冠作ったのはアタシだし、あのセットに王冠も組み込んだのもアタシだけどさ。
あのセットに王冠を載せてしまうとちょっと妖精と言うか精霊に寄りすぎてしまう。寿命とかそういうのが人間離れしてしまうからお勧めしない。平均寿命55の世界で200以上生きる人間作っといてなに言ってんだって? いやいや200どころか1000年生きるようになりかねないから言ってるんですわ。
と言っても外せば効果は失われるから死にたくなったら死ねるけどね。寿命で辛くなったらちゃんと引き継ぎしてからお願いね。アタシが関わってる国が無くなっちゃうのはアタシとしても好きじゃないから。
……豊穣神がいるなら畑とかはそっちに任せてしまってもいいような気がしたけど、残念なことにこのエポナ神はメシマズ世界のエポナ神。美味しい野菜とかそういうものには縁が無いからまずはどういうものかを理解してもらうために一緒に畑をまた一から作る。何故か参加者にクー・フーリン一味と新しいティアラを被ったピルサドスキー殿下、そして一部を芋畑にしようと企むお芋さんも加わった。お芋さんが企んでなくても普通に芋畑も作る予定だったけどそれは言わないでおく。
ただ、そのうち神の力を借りないでもちゃんとした作物を採れるようにしておいた方がいいとは思う。人と神の間にはどうしても意識とか認識に差ができてしまうからね。人間主体で考えるんだったらそういう技術はいずれ必ず必要になってくる。
……神との視点から見ると、できないでいてくれた方が信仰心を向けてくれるからありがたくはあるんだけどね?
そう考えると、一部とはいえ寿命に関わるようなものは神らしくていいね。人間が寿命をどうこうするのにはまだまだ時間がかかるだろうし、できるようになったとしても恐らくそれらとは競合しないだろうから加算あるいは乗算されていくだろうから。
つまるところ、エポナ神ってちゃんと神として信仰を受けられるように上手に立ち回ってるわけ。上手いなと思うし、アタシの式神っていう立場も利用して自分に向けられてる信仰から少しアタシに回してるみたいだし。どうやってるのかは知らないけど。
Q.相当大きなレースなんですけど、飛ばすのね……。
A.勝負にならないからね。仕方ないね。
Q.王冠渡しちゃったよ。
A.渡しちゃいました。ついでに事実上エポナ神が復活みたいなことしています。アイルランド圏の王族の脳はもうボロボロ。
番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)
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ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
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ウィニングカラオケ(NN杯直後)
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『ハヤイ』という名の馬について