存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界106

 

 この世界には強力な神格はほぼいないと言ったけれど、全くいないわけではない。ただ、人間が普段生活しているところでは触れ合うことがまず無いから実質居ないも同然と言うだけで。

 例えば神話世界において天空そのものを支え続けるアトラス神は現代ではアトラス山脈という形で名と神性を残しているけれど、起源となるアトラス山脈が人間によって暴かれて神秘を薄れさせていった結果として自ら動くことはできなくなっている。

 その他にも神話において封印されてたり自分の納める場所を離れられない神格は残ってることも多い。信仰が足りなくて零落してることもかなり多いけど。

 

 何が言いたいかというと、冥府の神格って影とか写し身とか本体とかが割と残ってる場合が多いってこと。冥界では絶対的な存在であるがゆえに冥界以外ではそこそこ(神格基準)な神様って結構多いこともあると思う。

 たとえば閻魔大王。仏教における冥府にて裁判を行う十人の王の一人であり、仏教圏にてこの世に生まれた中で最も早くに死んだ人間とされている。恐らくこの世界で一番可哀想な人間。主に人間なのにあの世の運営の多くを任されているという点で。

 閻魔大王と言えば地蔵菩薩と表裏の関係にある同一存在という話だけれど、果たしてそれがどこまで本当かはわからないし解ったところでアタシの行動に関わるようなことはない。ともかく、閻魔大王は元人間で今はその一つ先の菩薩とか仏とかの領域にいる存在だってことだけ覚えておけばいい。格の上では成りたて神様のアタシよりずーっと上だけど、冥府の管理者ってそのあたり厳格だからちょっとイラっと来たからって仕事には影響出さないはずだしね。

 それはそれとしてお土産は忘れないでおくけど。あの世の食べ物を食べるとあの世の存在になるとかいう話もあるからちゃんと用意しておかないといけないし。

 

 ……ただ、そういうのが効かない相手もいる。アタシにとって一番身近な日本神話における冥府の神、伊邪那美がそれにあたる。

 基本的に伊邪那美は嫉妬深い神様だ。あと、愛とかそういうものを信じていないし、愛のためにと言って動く相手には結構な試練を吹っ掛けてきたりもする。冥府の神格のガチな試練ってどうなると思う? はっきり言ってヤバいよ? かつて伊邪那岐が引っ張り出そうとした時に与えられた試練なんて鼻で笑えるくらいのやつがよこされる。

 当時の伊邪那美は伊邪那岐に連れ出してほしかったから、与える試練も最低限のものにされていた。でも今回はそういうの無いから……うん。

 

 ……じゃ、これからちょっと交渉して源義経さんとか上杉謙信さんとかヤマトタケルさんとかの日本における伝説ポジションの人を現世のレースに引っ張り出す許可を貰いに行かないとね……一時的な物だったり影法師だったり、蘇らせる対象が神格だとか魔力だとかと縁の薄い人なら割とそういうの無しでもどうとでもなるんだけど、源義経さんは天狗との関わりがあるっていう点でかなり重いし、上杉謙信さんはトイレで死んでるけど軍神名乗ってる上にそれに異論が出ないような人だし、ヤマトタケルさんは思いっきり神代の存在だしね……。

 相手が影とかそういう存在だったら結構簡単なんだけど、日本神話においては冥界の支配者である伊邪那美は冥界から出れないようになってるから未だにこの世界に縛られている。少なく見積もっても千年は昔に消えていただろうどこかの神格みたいに放っておけば問題なく動かせるだけの機能だけを残した分身みたいなのが相手なら年代ギャップで割とどうとでもなる。でも相手は本物で経験も積みまくってるガチの神格。しかもアタシからするとアタシの住んでる日本という国を生んだ二柱のうちの片方なんだから基本的に相手に有利を取られてると考えていい。

 最悪冥界を畑に変えていい物をいつでも食べられるようにするくらいのことはする必要があるかもしれない。まあそこまでやるならそれこそアタシじゃなくてトレーナーさんの置き土産の出番だね。アタシはともかくトレーナーさんの置き土産は存在からして大分重いらしいから、神相手でも割と通るみたいだし。

 

 まあ、唯一助かるのは日本の死後の世界は地獄と違って分断されてこそいるけどほぼ地続きになってるってことかな。今では地獄の要素とかも取り込んで転生に行ったり、天国の要素を取り込んで死後の世界でのんびりしてたりもするみたいだけどさ。

 

 ……この世界が戦闘モノの世界じゃなくて本当に良かった。戦闘モノの世界だと冥府の神格って基本的に死んだばっかりの人の封印とかそういうのを凄い得意としている場合が多いから逃げようとして逃げられる物じゃないからね。いや、本当に。

 




Q.どこを目指してるの?
A.今現在という意味ならアイルランドの影の国からギリシャの冥界を経由して辺獄を通過し地獄を抜けて黄泉国へ向かっています。存在としてはおよそ到達したのであとはトレーナーの元へ行くために零落しないように地盤固めをば。

Q.戦闘は無いだろうけど、ネイチャってどのくらい強いの?
A.神格とトレーナーの置き土産を換算しなければ各神話の最も強い英雄を相手に勝ち負けできるくらい。(ただしこの世界の英雄は他の世界の英雄に比べて食事の関係で身体能力がそれなりに低いものとする)

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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