存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界112

 

 数年前から考えていたことがあったんだけど、そろそろこの世界で用意したものでどうにかなりそうな感じがしてきたから実際に作ってみることにした。

 必要なものはまず水。あと糖分として純粋な砂糖とナトリウム枠で塩。そのほかにもカリウムとかマグネシウムとか必要なものをそろえつつ情報を集めておく。

 今回作ろうとしているのは……まあ簡単に言うとスポーツドリンクだ。日本のスポドリと言えばやっぱりあの青いラベルのやつね。二つあるからどっちかわからない? 片方は日本生まれとはいえアメリカの会社でしょ。スペインで猛威を振るってるらしいけど。

 

 えーと、人間の体液の浸透圧とウマ娘の体液の浸透圧の比較と、ナトリウムやカリウムといったそれぞれの浸透圧分布の確認。人間とウマ娘だとここらへんが結構違ったりするんだよね。

 で、そうやって調べた分の組成に合わせて純粋な水に材料を混ぜていく。できたところでまずは浸透圧調べて……うわ、全部混ぜるとやっぱり全体的な浸透圧がブレるね? 仕方ないんだろうけど。

 仕方ないので組成を少しずらして吸収しやすい範囲で全体を纏める。これ自体は結構簡単にできたんだけど、今度は味が……甘味のある塩水……? って感じになった。端的に言って美味しくない。完成品といえるものを知ってる身からするととても飲めないね。

 でもこれでも喜ぶ人はいる。というか、この世界ではこれはもう結構な高級品として扱われてしまう類のものだ。なにしろまともに飲める水どころか点滴と同じくらいの速度で体に吸収される水分だからね。点滴は医療従事者じゃないと扱えないけど飲むだけならだれでも扱える。それこそそこらの子供でも。

 

 完璧に浸透圧を体のものと揃えるとやっぱりどうしても味が酷いことになってしまう。多少ずらしていろいろ加えたり逆に抜いてみたりするけれど、思い通りには早々ならないのが現実だ。

 それでもおおよそ何を入れればいいのかがわかっているというのはとても大きく、半日もしないうちにそれなりに整った味で十分な効果の望めるちょっとした経口補水液を作ることができた。500mlの水を基準として何をどのくらい入れればいいかも記録して、実験としてトレーニング中のウマ娘たちに飲んでもらう。ただの水を飲んだときとの比較をしてもらったところ、明らかに回復が早くなっていた。

 科学的な証明と言うにはちょっと弱いかもしれないけれど、盲検はこういうデータの収集には便利だからね。ちゃんとデータ取らせてって先に言ってOK貰えてるから研究倫理的にも何も問題ない。そしてこの世界にはいい感じのスポドリを売っているところは存在しない。法的にも大丈夫。

 

 2000人にちょっと届かないくらいの人数が数か月ほど試しに飲んでみて、明らかに有意な結果が記録できたところでURAに投げてみる。点滴と同じように使える飲料なんてなんぼあってもいいだろうから絶対欲しがるだろうと思ったんだけど、思った以上に食いついてきた。まるで血の滴る生肉を落とされたピラニアの群れのようだけど、食欲以外の欲も絡んでるから面倒だ。

 

 まあこれに関してはアタシとしては割とどうでもいい。アタシはアタシで必要なものは出してたし、無くても困らない。困るのはアタシ以外の誰かだしね。誰かと言うか、みんなかもしれないけど。

 それにアタシが作ったとはいえ元々はアタシの発明品ではないし、必要としてる分以上にこういうので稼ぐのは心が痛む。命を救うものにもなるわけだしね。

 ちなみに結果はかなりしっかり出てきている。この世界のいわゆる普通の水ははっきり言って美味しくない。というか不味い。数億年間かけてメシマズ物質に汚染された水が美味しいわけもないけれど、そんな美味しくない水でも飲まないと死んでしまうから飲むしかない。でもこんなものを好んで飲みたい人なんているわけもなく。どうしても喉が渇いた時に仕方なく飲むか、運動が終わった時に飲むか。この世界の食事ってそういうものだ。

 当然そんな風にしていたら健康はどんどん遠ざかっていくわけだからこの世界のアスリートの健康寿命は長くない。それでも本能に刻まれた走行欲に突き動かされるのがウマ娘という生き物だし、それに魅せられてしまったのがトレーナーという生き物だ。命を削って、寿命を削って、結果がどうなろうと死にゆくものだとしても、それを理解してなお走ってしまう。それがこの世界の競争ウマ娘だ。

 

 最近ではアタシが普通に食べれる食材を用意しているから日本の中央所属のウマ娘の発育が良くなってきている。これまでの栄養失調がなくなるわけではないし一般家庭にまで広めるほどの量は残念ながら用意できないけれど、海外のウマ娘と比較して明らかに日本のウマ娘の身体能力が平均的に上がってきているし、体格も平均して大きくなっている。まあそれでもこの世界のヒトミミ女性と同じくらいまでなんだろうけど、それでも明らかな違いだ。

 そうしたことによる栄養状態の改善によって、当然身体能力は強化される。日本の中央ではオープンクラスに上がることもできないような、言葉を選ばず言うなら十把一絡げのモブキャラのような娘たちでも海外で走れば重賞程度なら簡単に取れるようになっている。まだURAは気付いていないようだけど、多分そのくらいの差は出てきているんだよね。

 

 ……そういえば、そろそろ殿下に色々教えないといけないんだっけ。本職の人に学べばいいと思うんだけどなぁ……。

 




Q.スポドリ?
A.まあはい。なおこの世界では結構いい値段がするものの、非常用に備え付けられる病院及びトレセン学園を含む運動系学科が多い模様。


Q.本職……?
A.一応こういう世界なのでいなくはないんですよ。問題は既にまつられる神のほとんどがいないのでノウハウが残ってるところが非常に少ないくらいで。

次の作品は……?

  • ヒロアカ寝たいだけ
  • ヒロアカ非寝たいだけ
  • ブルアカ非寝たいだけ
  • ウマ娘旧作
  • なんか適当に
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