なーんでアタシがこんな苦労してるんだろうね? 目的のためにも必要だってわかってるけど、なんか必要ないところまでやってる気がしてならない。
美食研究会はどんどんと拡大し、数年かけて作った畑で取れた作物を何度か提出しては栄養価や畑に与える影響を調べ、連作障害の有無だとかそれに対処するためにどうすればいいかを調べたりという研究機関のようなものになってきている。
そして本番ともいえる料理についてはどんどんと拘る人が増えてきて、自分の口に合うように出されたものをアレンジしたり、アレンジのために調味料を自作したりする人も現れている。いいことだと思う。
それだけならともかく、結構前に起業したアタシの会社はなんかすごいことになっている。株価はある程度のところで落ち着いたけど、タマ先輩は50株当たりの値段が自分が稼いだレース賞金の総額を額を超えていることにひきつった笑いを浮かべつつテレビなんかでちょくちょく料理を振る舞ったりして美食研究会について広めたりしていた。
オグリ先輩のお願いから始まった形だけの宣伝大使のはずが、いつのまにかかなりしっかりした仕事になっている。こういうのって普通はあんまり無いはずなんだけどね?
そんなこんなで季節はおおよそ冬。一部の作物は一旦収穫されて熟成されたり、冬の寒さに負けて枯れたりしないように保存される。そうして一時的に空いた畑は今のうちに肥料を撒いたり冬用の作物を植えたりうちのペット兼家畜である鶏や鳩に食べさせるクローバーなんかも植えてみたりして。
そしてこの冬、とても大きな進歩があった。ようやく水田が完成したのだ。まあ、冬なのでまだ水は入ってないんだけど、春から秋にかけて水を張ってお米を育てるのをある程度大規模にできるようになった。今までは陸稲でやっていたから肥料の追加タイミングだとかを間違えると大変なことになってたんだけど、それもあまり考えなくて良くなってくる。
アタシの知っている内容なんて大したことないけれど、一応小さめのカモを放してやるとなんかいい感じになるらしいと聞いた。まあ残念なことにこの世界にいる鴨は最悪の生物濃縮によってとてもとても食べられたものじゃない味だし排泄物にもメシマズ物質が混ざっているから一度卵から孵してメシマズ物質なしで育てたうえでさらに卵を産んでもらってからじゃないとちょっと使う気にはなれないかな。
……で、アタシがそれに気付いていて用意がないとでも?
用意することそのものは簡単にできる。トレーナーさんの置き土産を使えばいい。
ただ、それをすると今度はそれを持続させることが難しくなってしまう。ならどうするか。
ここでアタシはトレーナーさんが昔やっていたとある方法で新しい空間を用意して、そこで全部なんとかすることを思い付いた。水田とか水とか栄養素だとかを全部解決するために、メシマズ物質が存在しない空間そのものを作り出してそこで全ての栽培をすることにしたわけだ。
持続性も再現性も全く無いけどそろそろお米が恋しい。だからとりあえず作れる場所を用意して、最低限の供給だけできるようにしたわけだ。
……そのために小さな太陽と地球と月を作り、山と海を用意することになるとは思わなかったけどね。
ちなみにアタシが作った世界には天動説を採用した。その方が楽だったからね。太陽の大きさもかなり小さくしても大丈夫だし、巨大な太陽の周りを動かすよりも小さな太陽と月を動かすように作る方が楽にすむ。
潮の満ち干きが1日二回くらいになるのと太陽から降り注ぐ光が斜めになりやすくなったりするという問題はあるけど、それは植物の生育にはそこまで大きな影響を与えない。
なにより、外からメシマズ物質が入ってこないというメリットがあまりに大きい。メシマズ抜きのために土を水や油に沈めるとせっかくできかけていた土の中の生態系が全部パーになるし、少しずつ溜め込み始めていた栄養も見事に抜けてしまう。やはりメシマズ物質は悪。
さてそういうわけで秘密の水田が出来上がったわけだが、当然人の手が入らなければ水田なんてできるわけもない。鴨達のご飯として別に植物を用意しなければ稲が食べられてしまうからいわゆる雑草と呼ばれる類いのものも作り、おおよそ昔ながらの日本の水田の環境を再現できたと思う。
内部時間を早めて一年過ごさせると鴨が増えすぎているのでお肉にもなる。増えすぎたままにすると鴨同士の喧嘩で殺し合いが発生したりするし、餌が足りなくなって稲にまで手を出されたりするから数の調整は必要不可欠だ。ペットと家畜は違う。
色々あって動物を絞めるのにそこまで抵抗はない。ペット枠の鶏や鳩も死んだら食べるつもりだし、余すこと無く活用する予定だった。本格的に神格化され始めてからはなんか眷属みたいなものになってきているからいつごろ死ぬのかわからなくなってきてるけど。
もともと普通に出せば食べられるものを作れるようになったことを進捗で出すのはおかしいと思うのはおかしな事ではない。重要なのはお米ではなく、アタシが作った小さな世界の方。
なんとわたくしナイスネイチャ、この度アタシの神域を作り上げることに成功しました。要するに、アタシもこの世界において神の一柱であると認められたというわけ。やったね。
作った箱庭が神域になっていることを教えてくれたのはアタシの分身を使って再臨したエポナ神。三女神は結構前のレースの時の筋肉痛が今さら来たことで年を感じてショックを受けているゴドルフィンバルブを慰めるのに忙しくしてて気付かなかったそうだ。人間あるいはウマ娘から神になって長いと筋肉痛が数か月とか遅れてくるようになるらしい。怖いね。
……うん、それじゃあ一応目的は達成したわけですし……ここからは久しぶりにのんびり、やっていきますか。
Q.神格化オメ
A.ネイチャ「どーもどーも」
Q.
A.
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なんか適当に