存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界114

 

 日本に戻ってきてから初めてのレース、そしてこれがアタシの引退レースになる。まあアタシみたいのが長いこと居ると界隈が冷え込むから仕方ないよね。

 アタシが最後に選んだのは有記念。既に一度勝利しているレースだけど、有記念は賞金がおいしいからね。出られるなら出ますとも。最後になるけど。

 

 といっても相変わらずの圧勝。全力を出すこともなく普通に勝利。まあ凱旋門の時みたいにウマ娘としての全力を出して走ったりするとどうしてもしばらく体にガタが来るからやりたくないっていうのもあるんだけどね。アタシの場合は精神的においしい料理を食べなれてるっていうのもあってテイオーたちみたいに溶けて治ってなんてことできないしね。

 なお引退レースであることは誰にも言っていない。URAは多分知ってるけどちゃんと言ってはないからそのあたりどうだろう? でも向こうから引退を勧めてきたんだし別にいいかという思いがある。

 

 それにほら、レースを引退すると時間ができるからね。トレセン学園もある程度勝ってれば中学から走り始めて高校に入る前にピークアウトしてレースに出れなくなった人でもちゃんと一般的な高校卒業くらいまでは問題なく学園に籍残させてくれるし。

 まあその後どうなるかは本当に人によって違うんだけどね。高校卒業の後に就職したり大学に行ったり……トレセン付属の大学なんてものもあったりする。というか、一部の生徒はそっちに通いながら走っていたりもする。ドリームトロフィーリーグで走るにはそういうのも必要だからね。

 ……一部の人は学校に籍は残しつつ社会人として活動したりもしてる。成人しても走れる間は守ってくれるのがトレセン学園だ。すごいよね。

 

 それにしてもなかなか走ったほうじゃないかと思う。逆流したときには六年だか七年だかかけて70戦以上したけど、その時に怪我なくしっかり走り切ってから体もやたら頑丈になった。ウマソウルなんてものがあるなんて昔のアタシに言っても信じなかったろうな、と思ったりもするけど……今となっては信じるしかない。

 そして同時に、ウマ娘が誰かの願いを背負って走るということの意味もよくわかった。ウマソウルとはまさに人の願いの結晶と言えるもので、それはある種運命にすら干渉しうる。アタシの知ってる中で一番影響が強いのは……ハルウララかな。良い意味でも悪い意味でも。

 ウマソウルは『馬』が背負った人の夢とその馬の軌跡が混じったようなものだ。ある意味では神格にも似ているけれど、とある世界風に表すのなら『無辜の怪物』スキルが一番近いかもしれない。

 ハルウララは馬だった頃に本気で走ったことはほぼ無く、それでも最下位ばかりではなく一位以外はそれなりに取っていた。けれどウマ娘となってからは本気で走っているのに毎度のように最下位を取るようになった。

『ハルウララは勝つことができない』という人の思いを背負って走るハルウララはそのままでは勝利することはできない。適切なトレーナーが付いて、十分なトレーニングを積んで、脚質を合わせればマイナスを打ち消すことができる。まあやばい変態が付くとクラシック期に有馬で百馬身差つける(マンノウォーする)ハルウララとか言うよくわからない生き物ができたりするけどね。

 なおアタシのトレーナーさんがついていろいろやった場合、なんか……多分この世界以外の法則が適用されて色々すごいことになった。スタート直後にレース場全体を覆うスタミナと最高速度を参加者全員から奪い続ける固有スキルなんていったいどう対策すればいいのか。今なら多分勝てるけども。

 

 それじゃあこれからはレースじゃなくて美食文化に全振りで行こうかな。と言っても美食を広めるにあたってウマ娘の食事情とか栄養だとかも改善されていくだろうからレースにも多少の関わりは持つことになるだろうし、おいしい食事でメンタル面のケアとかもできるはずだし……うーん、できることが多すぎるのも困ってしまう。

 まずは会社を移転して自前の畑を正式に持つことから始めようかと思う。今アタシが持ってるのって国が持ってるのを格安あるいは無料で借りてるかトレセン学園の使ってない土地を実験農地として使わせてもらってるくらいだから、ちゃんと人を雇ってどうこうとかはまだできないんだよね。

 ……こっそり隠し持ってる妖精郷だとか神域だとかの畑は表に出せないからね。妖精郷の方はともかく神域の方は只人に食べさせたら多分大変なことになる。普通の世界だったら人間から外れるとかそっちの方面で大変なことになるけど、この世界だと多分ある種の薬物とかそういうのと同じ感じになるんじゃない?

 

 日本のお偉いさんたちにはそれなりの繋がりができているし、何なら一部の海外にも繋がりがある。そのあたりから少しずつ広めていこう。一歩ずつね。

 

 じゃ、まずはウマ娘の多くが大好きなニンジンの生産を安定させるところから頑張ってみよう。何百年と集中的に品種改良を進められたあのニンジンをこの世界の現在の状態から一代で作り上げるなんてのはまあほぼ無理だけど、ほぼ完成と言えるものを出すこともそれから増やすこともできる。あとは土と水の問題だけど、それも数年前から増えてきている甜菜工場の技術の応用でなんとかなるはずだ。やっぱり積み重ねって大事だよね。

 




Q.……え引退? マジ?
A.マジです。まああくまでレース引退なので大丈夫。多分。

Q.ネイチャって史実では六年以上走ってましたよね?
A.そうですね。ちなみにここのナイスネイチャはウマソウル逆流で馬として結構走ってます。

次の作品は……?

  • ヒロアカ寝たいだけ
  • ヒロアカ非寝たいだけ
  • ブルアカ非寝たいだけ
  • ウマ娘旧作
  • なんか適当に
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