聖蹄祭に美食研究会として参加しないことは可能だったけど、かといって何もしないで過ごすと言うのはできなさそうだった。まあアタシは現時点で複数のワールドレコードを持っている超新星って扱いだし、オグリ先輩も日本において社会現象にまでなるほどの人気者であることは間違いない。
名前を売っておくことは悪いことじゃないけど、あんまりやりすぎると制御とかが面倒なことになるんだよね。失敗したこともあるからよくわかる。そのせいで何回か死んでるし。
……蒸留器でも売ろうかな? 太陽光だけで使えるやつ。エンジンとか使うならもっと大量に蒸留できる蒸留機もあるんだけど、この広さの畑に使うとなるとお金がね。
名家の皆さんから資金援助が無かったら聖蹄祭でレンゲ一つ1000円くらいの一口サイズの料理でも作って荒稼ぎしようかなとも考えてたんだけど、やる必要がなくなったから。ちなみに作ろうとしてたのはカレーライス。半分ご飯でもう半分カレーで、5000円以上買ってくれた人には福神漬け……は無いから大根のピクルスをちょっとサービス。10000円以上買ってくれたらデザートに一口杏仁豆腐もプレゼント。そんな感じで。
って案を理事長に出して『美食研究会として聖蹄祭に出るとなるとこんな感じの物を出すことになります』って言ったら頭を抱えちゃってた。目の前には空っぽのお皿があったけど。多分いい稼ぎになると思うんだよね。まあ止めましたけども。
多分一週間くらいしたらカレーが食べたくて食べたくて仕方なくなると思うけど、別に危ない薬とかは入っていないので安心してほしい。クラックコカインとかそういうのは無い。大丈夫。なお依存性が無いとは言ってない。
気になってちょっと調べてみたんだけど、どうもアタシが作った、と言うか、アタシが出した食材ってこの世界の人からすると美味しすぎるみたいなんだよね。そのせいだと思うんだけど、突然与えられた濃厚な栄養と尋常じゃない美味しさに脳が焼かれてしまうらしい。それは特に初めて食べた時の料理に対して強く起こるみたいで、オグリ先輩ならアタシが上げた差し入れの簡単なお弁当に脳を半生まで仕上げられ、身体が回復したことで脳もちょっと回復したところでにんにく味噌の焼きおにぎりに完全に脳をやられてしまったらしい。マーベラスやライスも似たような感じみたいだね。
なので、ちょっと頑張って青汁を作ってみることにした。200mlの蒸留水に混ぜればできる粉のタイプのやつ。美味いのハードルがマントル到達してるような世界でも一応味には拘りたいのでできる限り美味しくなるようにはしたけど、そこにちょっと手を加えて飲むだけで脳内麻薬がたっぷり溢れるくらい出てしまう青汁が完成した。完成してしまった。ロイヤルビタージュースよりずっと美味しいので安心してほしい。
自分で飲んでみるとなかなかの味くらいの感覚なんだけど、オグリ先輩なんか大きなバケツに正確に水を測ってバケツ一杯飲もうとしたからね。ライスも似たようなことやろうとしてたけど。
これで使うのは料理とかには使いづらい野菜の端材だからもったいなくないのがいいよね。栄養満点だし。
……でもこれ表に出すのはやめとこうかな、と思う。実質麻薬みたいなものってことだし───
「出すんだ」
「……はい? え、何を?」
「青汁を、世に出すんだ」
「いやいやいやいや、明らかに問題があるって確認したばっかりですよね? 今まで美味しくないものばっかり食べてきた人達が食べるとこの青汁に依存してしまう可能性が凄く高くなるからって」
「そんなものネイチャの作ったものなら料理無しでもそこまで変わらない。人参一本、生で食べさせるだけでなんでも素直に答えるようになってくれた娘もいるくらいだ」
「ちょっと待って? なにそれ知らないんですけど? 何やってるんです? と言うか誰にやってるんです?」
「トレセン学園の壁をこっそり超えて入り込んで畑を踏み荒らそうとしたよく知らない記者だ。名前と職場と上司の収賄の証拠の場所まで教えてくれたからたづなさんに渡しておいたぞ」
あーだからちょっと忙しそうにしてたのかぁ……ふぅん……へぇ…………?
……まあ、確かにこれって美味しさからもっともっとってなってるだけで慣れてしまえば大丈夫か。なんだったら成分的にはアタシのよく知る青汁とそこまで変わらないわけだし、人体に悪影響が出るものは使ってないから法律の方面から見ても何一つ問題は無いし……出すことそのものには問題って無いのか。ただ、人によってはコカインの依存症状みたいなのが出てくるかもしれないってだけ。しかもその依存症って自分の頭から出てる脳内麻薬だからアタシそんな関係ないし。
「ちなみに今ではフリーライターとして働きつつ出版社がよくないことを考えてたりした時にこっそり教えてくれるようになっているから安心してほしい」
「安心して聞いてられる内容じゃないんですけどね?」
「そうだな。なんにも問題ないのが一番だ」
「そういう意味じゃ……いやそういう意味なのか。うん……そうですね!」
細かいこと考えるのはやめよう。しーらない。
Q.やっべぇ野菜じゃないか!
A.やべえのはメシマズに慣れきってしまったせいで普通の野菜で脳が焼ききれるほど脳内麻薬出すようになってしまったこの世界の人間だと思います。
Q.……え? ただの野菜なの?
A.はい、ただの野菜です。トリコに出てくるような特殊なものだとかそういうのでもなければ大飽食祭で育てたような不思議な力が加わってるようなのでもない、普通の奴です。美味しくなるよう品種改良はされていますが、ネイチャさんはある程度品種改良を受けたそれしか知らないので。
Q.オグリさん、ヤバくね?
A.ちょっと本気で守ろうとして動いた結果こうなったようです。誘拐→拘束→脅迫()までやりました。本気になったウマ娘って、怖いね
番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)
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ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
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『ハヤイ』という名の馬について