存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界25

 

 砂糖についての話で色々知ったけど、名家でも結構死人が多いっていう話だったからちょっと調べてみたところ……この世界、アルダンさんってお亡くなりになってるのね。しかも、走ることもできずに。

 死因は乳幼児期に起きる突然死。双子の片方は死産で、もう片方は産まれてすぐにとは……南無阿弥陀仏、と。アタシ別に仏教徒じゃないけど死人に向ける言葉ってこれ以外にはアーメンくらいしか知らないから許してね。

 アタシの知ってるアルダンさんだったら、自分が居なくなってから自分の事を想って手を合わせてくれる人がいるって知ったら涙流して喜びそうなところあるけど。(なお永遠をともに刻める相手を見つけた場合を除く)

 でもまあ多分、ここのメジロの皆は基本優しいから……と言うか基本的に喧嘩しているほどの余裕が無いからかみんな尖ってはいるけど柔らかいんだけど、それを勘定に入れたとしても今のメジロの当主さんは優しい人だから。月に一回はそういうお墓に手を合わせてると思うよ? 多分だけど。

 

 あと、アタシが知ってるくらいの有名所で死亡が確認できてるのは……ケイエスミラクルさん? 死にかたとかは流石にわからないけれど、多分そうだね。

 ……あんまり話したこともない人だったけど、ハジケると凄いことをする人だったことは覚えてる。同じ年代で走ることが多くて、大抵はデビューして一年もしないうちにスプリンターズステークスで脚を砕いていた。そこで死んでしまう場合も多くて、そういう時には大抵学園の一部がお通夜みたいになっていたっけ。

 生き延びた場合、そこからハジケることが多い。そこからしっかり脚が治ったりなんかするとだんだんと儚げな印象が薄れてくるくらいになってきて、時々トレーナーさんにちょっと怒られるようなこともやるようになったりもしていた。まあ、真夜中にお菓子食べちゃうとかそういう悪いことだけど。

 

 ……いや、あいつもだ。アタシが直接教えを受けたことはほとんど無かったし、仲良くなれることはまずなかった相手だけど……サンデーサイレンス。寿命以外じゃ絶対に死ななそうだったあいつも、この世界ではもう死んでしまっている。ライバルだったイージーゴアさんは生きてるのにね。

 好きにはなれない相手だったけど、会ったこともない死人相手に向ける感情じゃないからね。とりあえずミントキャンディーの一つでも供えてやることにやっぱ止めた

 あいつそんなやわな奴じゃないわ絶対。供え物なんかしたらそれを核に蘇ってきたりしそうだし……でも、確か一回だけ、バス事故の時にあいつの他に一人生き残ってた時は───。

 

 ───あー、もう、繰り返しってやっぱり困る。そんな一回きりの激レアケースまで勘定に入れないといけないんだから。なにより、覚えてんのがアタシしかいないってのが一番嫌だ。アタシが忘れたら、その時こそ本当にあいつらみんな死んじゃうんだよ。覚えてるしかないじゃん、そんなの。

 

 とにかく、できることを増やさないと。今の所は使える土を可能な限り急ピッチで増産中。水は畑の方には最低限だけ回してるから土の浄化に使えて、ついでにそれでも余ったら飲料水として使われている。こっそり浄水設備の一部でわさび作ってたけど最近バレたからそれもちょっと出荷。説明聞かずに丸々かじって口から鼻を貫くような特殊な辛味に変な悲鳴を上げた生徒会長がいたとか言う噂もあるけどアタシ知らない。なーんにも知らない。

 なんならその姿を見て腹筋がねじ切れるほど大笑いした天狼さんは直接鼻にわさびを突っ込まれて三倍悶絶したとかいう話を某メジロの至宝さんから雑談の一環として聞かされたなんて事実は無いので誤解しないでくださいね。なんの誤解か知らないけど。

 

 後の事を考えないならできることはたくさんあるけど後々まで考えるならやっちゃいけないって面倒臭い話だよね。一人が全部終わらせちゃうともう一回そうなった時に詰んじゃうことがままあるから後々の事を考えるならやっちゃあいけませんって言うのはよく言われることではあるし。逆にさっさと終わらせておかないといけないこともあるからそのあたりの判断は難しいんだけどね。

 とにかく、今は多くの工場が動いていない。なにしろ寒くて土の浄化が進まないからだ。もっと言うと、土の浄化に使った水を再蒸留するのに結構手間がかかる。夏にゆっくりやればいいならそれこそ太陽光集めて自然任せでできるけど、冬にやるなら火力あるいは電力が必要になる。でもそうなると水に溶け込んだメシマズ物質が析出して来た時にそこそこの高温に触れる場合がある。そうなると毒性のある気体になるから困るのだ。やっぱり冬にはやりにくいね。新しくわかったことだ。土の浄化は春から秋まで。冬は無理。

 まあなんとかそれまでに用意できた分は甜菜の方に回せたけれど、追加は水が凍ることが無いくらいの温度に安定するまでは難しいかな。甜菜の種も流石にそんな数用意する予定はなかったから暫くは種を増やす方向に全力になって欲しい。アタシが用意した種ではあるけど、そこから増やすためのノウハウって大事だからさ……。

 





Q.お悔やみ申し上げます。
A.【黙祷】

Q.大抵の相手に嫌悪を向けないネイチャさん、サンデーサイレンスに何されたの?
A.反りが合わなかった、って感じですかね。ただ、お互いにお互いを認めているところもあった場合が多いです。周回によって多少変わることもあったので。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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