存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界26

 

 今年になってURA日本支部から発表があった。

 まず、アタシことナイスネイチャは日本国内においてGI以外の芝レースには参加できなくなったこと。そして参加した場合にはアタシの記録は参考記録として残されるし記録としても受理されるがそれはそれとして二着の選手も事実上一着だったとして勝者として記録に残されることになった。

 正確には『明らかに逸脱していると認められるウマ娘がレースを走る際、その記録を参考記録として残すものの二着の選手も一着と同等の栄誉を与えるものとする』と言う、なんと言うか普通に考えればふざけてるのかとなるような発表だった。

 そうなってないのはまあ、アタシのせいだろうね。だってほら、アタシはこの時点で1000m、1200m、1400m、1600m、2000mの世界記録を持っていて、更にそれまでの世界記録に対しておよそ三分の二の時間で走り切ると確証が出てしまっているのだから。アタシのような、言ってしまえば『外れ値』の中でも特級のが現れてしまえばこんなぶっ飛んだ規則が出てきてもおかしくはないよねと。多分なんだけどこれがなんとかしてアタシがGIレースに問題なく出場しつつそのレースが開催できるようにできる方法で一番丸く収まる方法だったんだろうとは思う。

 まあ屈辱かもしれないけれどそれでもその屈辱を押し潰せるくらいに強い意志があるから出場してくるわけだし、なんだったらアタシって競争ウマ娘としてのアタシしか知らない人からすれば本当にウマ娘かすら疑わしいくらいの化け物だしね。実際アタシの事化け物って言ってる人もいたし。

 

は?

 

 ……いや、なんでもないですよー?

 

「通らないよ、ネイチャ」

「マーベラス、目のキラキラが血みどろ赤十字になってんじゃん。ほら直して───」

「ネイチャさん。ライス、いつでもできるよ?」

「うーんハイライトオフ。それじゃあいつもみたいにライスの美味しいお米が食べたいからそっち頑張ってほしいなーって」

「……」

「わあ相変わらず黙ってるとイケメン。理性が見えるのが逆に怖いね落ち着いて?」

「落ち着いているよ」

「落ち着いて探し当てる方法を考えるんじゃなくってね?」

「(水グビグビ)」

「飲んどる場合か」

「せやかてネイチャさん、ウチそういうのは走りで真正面から叩き潰す以外にないと思うとるんで」

「走りで真正面から叩き潰しすぎて言われてるんですけどね?」

「そんなら次は挽き潰してやらなあかんな?」

 

 本当に元気になったなタマ先輩。アタシの知るタマ先輩と反応がそう変わらなくなってきた。よかったよかったあっはっは。

 おっともうこんな時間だ美味しい野菜の旬は待ってはくれないぞっと。

 時期はもうすぐ春。桜にはまだ早いけれど、種を蒔くにはちょうどいい時期なのは間違いない。それは甜菜にとってもそうで、今回はお願いされた甜菜と一緒にいつもの大豆や麦、米などを植えていく下準備をしなくてはいけない。土の状態の調整は植物にとっては大事だからね。忙しくなってくるぞー。

 

「……私は誤魔化されてやるが、他の者を誤魔化す手伝いはしないからそこは一人で頑張ってくれ」

「ん、ありがとね、オグリ先輩」

 

 まあ誤魔化すだけならなんとかできる。三人纏めて抱きしめてくるくる回って振り回して、心配してくれてありがとうとか困った時には助けてねとか言葉をかけて、後はいつもと変わらないように『本当に何にも気にしてません』アピールをしてからご飯の時にちょっとサービスしてあげる。これで大体なんとかなるとアタシの灰色だろう脳細胞が告げている。それ以外の事も告げているけど。

 受粉、大抵のやつは風とか虫とかが媒介するんだけど、この世界ってだーいぶ昔にそういう虫が役立ちにくくなってきてるのね? なにしろこの世界の植物って栄養を溜め込まないようにしている性質上、蜜出したりもしないから。蜜を出さないって言うことはつまり、虫を引き寄せての受粉ではないってこと。風によって花粉を蒔いて受粉させる類のものになるのね?

 甜菜についてアタシは正直よく知らない。花とか全然目立ってなかったし蜜も出さないから多分同じような風に運んでもらうタイプではあると思うんだけど……室内で育てるわけだから一つ一つ手作業で受粉させるのかな? 特に種を残してもらいたいものを選んでやらないといけないはず。でもそう言えば今年甜菜の花って見てな───

 

 ……こんにゃく芋方式だったりする? 一回収穫して越冬させてからじゃないと花が咲かなかったりする奴?

 だとしたら、全部砂糖にしないで本当に良かった。まだ砂糖にしないで残ってる奴がある。凍ったりしないようになってはいるけど、もしかしたらこれ物凄く大事かもしれない。今気づけて本当に良かった。後で回収して保存しとかないと。勝手に絞られたら本当に困る。

 そういう訳で今この場で全員にそういう可能性があるからとまだ残っている甜菜の根っこには触らないでもらうことにした。これを取りあえず十分あったかくなってきたころに肥料とかを追加して馴染ませた畑に植えなおしてやれば、多分いけると思うんだけど……実際どうかな? 甜菜なんて育てたこと無いからそのあたり全然わからない。これで根を割って株分けできるとかだったら面白くないんだけど、そうなるかどうかはわからないから一旦安全策を取る。また新しく出さないといけなくなるしね。

 

 





Q.甜菜って花咲くの?
A.咲くはずです。蜜とかはないそうです。

Q.ところでネイチャを化け物扱いしたのって誰?
A.ネイチャ「ナイショ」
 美食研一同「「「「「…………」」」」」<●><●>

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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