存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界33

 

「オグリ先輩って何歳でしたっけ?」

「? 今年で21だが、それがどうかしたか?」

「21……今は20であってます?」

「いや、もう過ぎてるな」

 

 21歳。それは20歳より一つ年上ということ。そしてそれはつまり、子供の時より味わえる範囲が広くなっているということだ。

 何が言いたいかって? 簡単に言えば、酒が飲める年齢だということだ。まあこの世界だと酒を飲める年齢は15なんだけど。ウマ娘は基本そういうのに対して耐性があるから余計に早い場合が多い。だからってわざわざこの世界でお酒作って飲むのは道楽でしかないってよく言われてるけど、道楽のためにお金を出せるのもまた人間。

 

 一応アタシは20まで飲まないようにしておくつもりではあるけれど、誰かが飲んでるところを見るのって結構好きなんだよね。たづなさんがビールで餃子を流し込んでる所とか結構見てられる。あの人絡み酒凄いから酔ってる時に近くに居たくはないけど。

 そしてオグリ先輩がお酒を飲める年齢だと言うことは、タマ先輩もお酒を飲める年齢であると言うこと。そう言うわけで今夜ちょっと時間をいただいて、お二人に試してもらいたいお酒がある。

 

 本当は蒸留酒とか試してほしいところなんだけど、流石に一年物じゃああんまり美味しくないからね。最低でも五年、できれば十年くらいは置いておきたい。

 なので今回はビール……いやビールと言うには作る期間が短めだから違うんだっけ? じゃあエールかな? まあ、そんな感じで弱めな麦のお酒を楽しんでもらうことにした。味の保証は……アタシはまだお酒飲める年齢じゃないからできないけどね。

 ちなみにエールは状況を整えてやれば三週間もしないくらいでできるので、今回のはその確認でもある。お祝いの意思があることも間違いないけどね。

 

 エールの楽しみ方は人それぞれだけど、まずは常温で。常温のエールは香りが立ちやすくて一気に飲みやすい。そしてエールに合わせるものと言ったらまずはフライドポテトだと思う。実家のバーでもよく出てた。

 皮付きのジャガイモを櫛切りにしてそのまま揚げただけのフライドポテトに塩とちょっとしたハーブをかけて、ついでにトマトケチャップを添える。これで一品。エールもポテトもすごい勢いで消えていくけど沢山あるから大丈夫。

 そして二品目にアスパラとクミンシードの炒め物。ベーコンがあれば入れたいところだけど無いからね。香り自体はとってもいいし栄養もそれなり。お酒に合うよう味付けは塩だけ。これもなかなか美味しいけど、クミンみたいなスパイスの類ってどうしても好き嫌いがあるからお好みで。ちなみにオグリ先輩もタマ先輩も大分気に入ってくれたみたい。

 三品目には野菜の切れ端のピクルス。切れ端と言ってもそれなりの大きさはあるし、食べ応えもあるんだけどね。使ってる酢はこれも自作。日本酒を更に酢酸発酵させて酢を作り、そこに砂糖を追加してなんちゃって寿司酢を作った。味の素? そんな物この世界にはまだ無いよ。作り方も知らないしね。

 そろそろおつまみじゃないちゃんとしたものも食べたいだろうと思ったので、芋餅を炒めてお肉代わりにしたなんちゃって肉野菜炒めをにんにく味噌味で。そろそろ普通に使えるお肉も欲しいけど、大元がいないからどうしようもないんだよね。鶏の有精卵を孵してメシマズ物質無しの餌だけで三代ぐらい育てていけば多分大丈夫な気もするけれど、鶏のエサって何をやればいいのかよく知らない。なんか小魚とかを上げる場合もあるとか、カルシウムが少ないと卵をあまり産まないとか聞いたこともあるけれど、まさか自分が育てることになるとは思ってなかったからね。

 そしてお酒の締めと言えばラーメン。そういう訳で今回はお祝いだし、広めるという目的があるわけでもないのでトレーナーさんの置き土産を使ってアタシの思う本物を作らせてもらった。まあ、中学生が作った部活の部室の地下でお酒を造ってるだけでも色々問題なんだし、追加でこのくらいの問題があっても大丈夫だと思う。この世界じゃあお酒を造っても特に問題にはならないけどね。

 タマ先輩とオグリ先輩はそれぞれの食べる量に大きく差があるけれど、でもお酒の飲む量はそんなに変わらないみたい。お酒の方は思っていた通りに減っていって、そしてご飯の方は思っていた以上に減っていった。タマ先輩は少食だって聞いてたんだけどな……?

 

「……っふ、ぅ…………ああ、沁みる……」

「ホンマやな。こいつは、たまらんわ」

「ふふ。お粗末様」

「粗末なものか」

「これが粗末やったらウチらが最近まで食っとったもんはなんやねんっちゅー話や」

「形式的に言っただけ……でも、ないですけど」

「……つまり、あれか? 明らかにこれ以上のものが存在する、と?」

「そういうことになりますね?」

 

 とは言っても、トレーナーさんの置き土産無しじゃあ再現不可能な代物だから広めるつもりも表に出すつもりもないんですけど。これは絶対。

 だってほら、虹の実ゼリーとかセンチュリースープはこの世界じゃ絶対出せないでしょ? この世界のセンチュリースープとかどう頑張ってもメシマズ物質の塊にしかならないのが目に見えてるしさ。

 

「そうですね……じゃあ、結婚式があれば出しましょうか。喜ばしい時にはそれに相応しい料理があるべきだとアタシは思いますし」

 

 にっこりと笑顔を浮かべつつ、流石に料理のために結婚とかそういうことはしないだろうと一抹の不安を切り捨てる。あとにはスープまで綺麗になくなったラーメンの丼が二つ並んでいた。

 

 

 




Q.グルメ界の食材とか出せるの!?
A.まあ、出すだけなら。増やしたりとかはできないので表には出しません。

Q.余ったお酒はどうなりました?
A.たづなさんが美味しく飲み干しました。

Q.二人は結婚を考えましたか?
A.タマはもう一回、今度は大きめに披露宴だけでもすることを考えました。オグリは相手が、その、アレなので。はい。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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