存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

36 / 115
絶対に存在してはならない世界35

 

 NHKマイル。NHKマイルですよ皆さん。ちなみにアタシは今のところ短距離から中距離2000くらいまでが適正距離だと思われています。面白いね。全然違うけど。

 アタシの適性は相変わらず中距離から長距離で、短距離とマイルはけっこう無理矢理上げた。トレーナーさんに見初められたウマ娘としては、弱点なんて残しておくわけにはいきませんので。

 適性の伸ばし方とか知らないならともかく、知ってるならそりゃあやりますとも。だってアタシもウマ娘なんだから。勝ち負けに拘らないように見える? 多分その目はあまりよく見えてないから眼鏡かけるか手術でもした方がいいんじゃないかな。いい病院紹介するよ? 病院と言うか、とある岬の小屋に住んでる無免許の医者なんだけどね?

 

 さてそんな冗談は置いといて、そろそろアタシが本気でクラシックのうちに出ることができる全ての国内G1を取ろうとしているということが広まってきたらしく結構な視線が向けられている。この後はダービー、オークス、安田記念、ちょっと時間を空けて宝塚記念に出てからスプリンターズステークス、菊花賞、秋華賞、秋の天皇賞、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ、有馬記念だ。今年はジュベナイルフィリーズとフューチュリティステークスが一週間空いてる。これなら両方出れたのに……両方出たかったなぁ。

 まあ今更言っても仕方ないのでとりあえず今はパドックでいつもの通りきっちり決めてみせる。その場でくるりと回って、ウインク一つ。また何人か倒れたのが見えたけど、大丈夫?

 

 レースはいつも通り特に何かあったわけでもなく勝った。この世界のいつも通りに数えるのに一苦労するくらいのバ身差をつけたので問題なく例の規則が適用されている。きっとこれからみんなにちゃんとした食料が供給されるようになればこういうのも難しくなってくるとは思うけれど、まあアタシが現役でいる間は余裕だろうなとは思う。だってそう簡単に広められないだろうから。物理的な量が足りないっていう理由で。

 今回は……と言うか、皐月賞でオグリ先輩に聞かれてから一人ライブも一切していない。代わりって訳ではないけれど、参加者に青汁とカロリー高めのおからクッキーを差し入れることにしている。こうやって思いっきり動いた直後に必要な栄養を入れてあげることで再起できる可能性はぐっと上がるからね。これまでみたいに全く美味しくない栄養剤で誤魔化してるよりずっといいと思う。

 

 ちなみに、マイルの距離で十馬身差をつけたら大抵の場合怪物とか呼ばれるんだけど、今回アタシに付けられたのは『ビッグレッド』だ。大丈夫なのかと思ったけど、なんかこの世界ビッグレッドと呼ばれたウマ娘はいないらしい。

 まあそれはおかしな話ではない。だってほら、ウマ娘と言う存在がみんな小さいのであれば本来ビッグレッドと呼ばれるウマ娘も小さくなるわけで。ウマ娘の中では大きいっていう意味ならおかしくないけど、人間と言う割と大きめの存在が普通にいるとそう呼びにくいって言うのもわかる。

 そこでアタシですよ。この世界の人間の中でも特に大きくて、栗毛。その上強い。アメリカ風に言えば間違いなく『ビッグレッド』なわけ。名前負けしないくらいの成績も残せてるしね。

 でも日本でそんな名前を付けられるのはおかしくないかと思ったけど、そうやって呼び始めたのはどうもアメリカの人らしい。なるほどビッグレッドって呼び始めてもおかしくはないね。いやアタシがそう呼ばれてるのはおかしいんだけどさ。

 

 なんかアメリカのトレセン学園にスカウトされたんだけど、今は日本でやりたいことをやっているからと断らせてもらった。実際、アメリカの方が土地はあるとは思うけど自由にやるのは難しそうだし、何より銃が当たり前のようにそのあたりに転がっているのが嫌だ。嫌いなんだよね。銃。

 一応名刺を置いていったけれどその人はどうやらこの世界ではかなり有名なトレーナーらしい。においがきつかったけれど、それでもできるだけ何とかしようとしているということは十分伝わった。メシマズ物質って完全に抜こうとしてもそうそう抜けないし、水道の水も汚染してるからシャワー浴びると臭いがついちゃうんだよね。仕方ないけど。

 

 ちなみにそのことを理事長に報告したらハイライトが消えた。ついでに理事長の手元から何かが磨り潰されるような音がして扇子が短くなったし一緒に聞いていたたづなさんの笑みはすごく深くなった。ただ明らかに目の奥が笑っていなかった。あれは間違いなく怒ってる。

 仕方ないことだけどこういうのはちゃんと報告しないとアタシが叱られるからね。ハイライト消えた目でしっかりと視線を合わせられたうえで懇願と脅迫の入り混じった感じで訥々と語られるからね。怖いね。

 とりあえずちゃんと断ったことも伝えたし貰った名刺も渡しておいたから大丈夫だとは思うけど、今後もいろいろ気をつけようと思う。最悪の場合誘拐ワンチャンもありうると思っておかないといけない。誘拐されても全力で暴れて帰ってくるけど。

 

 

 




Q.マンノウォーとセクレタリアトがいない!?
A.居ます。人間と比較して大きくないから『ビッグ』と呼ばれてないだけで。ちなみにこの世界では『The Red』あるいは『Great Red』

Q.なんか勧誘されてるんですが?
A.断りました。まあネイチャさんからすれば離れる理由も無いしね。なお相手がこれで諦めるとは言ってない。

Q.何度見ても頭のおかしいレーススケジュールだ……。
A.わかる。正気じゃできない。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。