存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界58

 

 八月が終われば新学期、そして未勝利ウマ娘の一部がトレセン学園を退学になる時期でもある。悲しいけどこれも規則なので仕方ないといえば仕方ない。そう言うものらしいからね。

 なおアタシたちのクラスでデビューしている中に退学者は一人も出ていない。全員がメイクデビューから今までの間に未勝利戦を勝ち上がり、人によっては重賞まで勝ち抜いている。美食研究会に多くのメンバーが入ってきてからは少しずつ勝率も落ち着いてきているものの、なんにしろ全員が一度以上勝利していることに変わりはない。

 

 それはそれとして久し振りの授業、久し振りの作業、およそ二か月ぶりの勉強と言う作業をすでに嫌と言うほど眺めて覚えてしまった教科書をまた眺めつつ聞き流す。基本的に歴史以外の授業ではこんな感じで時間を過ごし、歴史の授業ではこの世界でどんなことが起きたのかを多少学んでから興味を無くす。大体そんな生活だった。

 なので、こんなに何かに打ち込んでみたのは実は久し振りだった。打ち込まないとやってられない世界だったということもあるが、それはそれとしてこの作業を楽しんでもいた。

 一応トレセン学園にも体育の授業と言うものがあるが、ウマ娘のアスリートを育てている学園である以上はオーバーワークなどが考えられるため基本的にデビュー前の生徒が最低限だれにでもできる類のトレーニングを積むための物として認識されており、デビューを果たしたウマ娘が参加することはまずなかった。つまりアタシからすると体育の授業の時間は自習のような物であり、自習の時間ということはつまり畑いじりの時間ということでもあった。

 

 さて去年植えたバナナはと言うと、なかなかいい感じに生育してきていた。流石にまだ実がなることはないだろうが、来年には収穫できそうな気配を感じる。温室を作ってもらったのはやっぱり正解だったと考えつつたっぷりと水をやり、土に肥料を混ぜ込んでいく。

 そうしていると時々見慣れているようないないようなモフモフの芦毛の先輩が温室の外からバナナを見ているようだけれど、こういう所に入ってはいけないということを理解しているらしく本当にただ見ているだけで暫くすると去っていく。確かあの先輩の好物はバナナだったし、ウマ娘はこういうのに対して非常に察しがいいので何か気配のような物を感じているのかもしれない。そう言えば会長さんもそんな感じだったっけ。主にりんごだけど。

 

 世界から見ればほんの僅かだけれど、少なくともアタシの食生活は改善してきている。アタシの周りにも、食にこだわりを見せるということができる人が少しずつ増えてきていた。まだ自分で料理をしようと言う人はいないけれど、今回の夏合宿の期間でアタシから離れた人はなんとかしようと足掻いているようだ。

 流石に材料を用意するのは難しいかもしれないけれど、トレセン学園内に広大な敷地があり、その敷地の多くが既に畑として機能していることは事実。その一部をまわすくらいならできるんだからちょっとした料理を覚えればそれなりに食べられる物くらいなら作れそうな気もする。世の中には致命的に料理に向いていない人と言うのも存在するけれど、母数から見るとそういうタイプの人はごくごく少数に収まるはずだからね。一部例外除いて。

 ……もしできるのならば、合宿所にちょっとした畑でも作れればいいような気もする。実現できれば普段からちょっとずつ面倒を見ておけば普通に夏でも使えるはずだし、夏合宿でもそこそこの食事ができるはず。となると、合宿所の近くに畑と浄化施設がいるね? 別に例のメシマズ抜きタンポポモドキでも植えれば畑として最低限使えるようになるかもしれないけれど、残念ながら水がね……。

 

 あー、タキオンさんが今この時代に学生になってるか成人しててくれれば後から後から入ってくる砂糖の売り上げを押し付けて研究してもらう所なんだけど。ちなみに今でも月に五十億円くらいの売り上げがある。税金とか考えると減るところなんだけど、なんとこれ国家事業なのよね。税金とか無いのよ。少なくとも日本国内においては。

 流石に外国に回している分は税金とかもろもろあるんだけど、そのあたりの計算とか税理士さんに全部お任せしちゃっているしよくわからないことになっている。そこに加えてあちらもアタシが手を引いたら色々不味いと認識しているらしく税金に関してはかなり優遇してもらっている。らしい。

 その五十億円のうち、七割くらいは国に納めて甜菜工場を増やしたり広くしたり製糖工場を建てたり新しく人を雇って従業員にした時のお給料にしたりしている。ちなみに従業員の皆には初めに『こういうものを作っています』と純粋な砂糖の結晶のお菓子である金平糖を食べてもらい脳に忠誠心を依存を刻み込んで云々と言っている人もいたけど聞かなかったことにしている。だってほら、国家事業に口出ししてもあんまり良いことにはならないからね。どうせ止まらないだろうし。面倒だし。実際秘密を守らせるためには必要なことだろうし。

 ともかくアタシの会社はとてもよく回っているから、ちょっとしたレースの賞金くらいならまあ出せるよって話ね。賞金よりお食事券一回分の方が人気だけど。

 

 

 




Q.これからどうなる感じ?
A.ちょっとレース出て色々作ってレース開いてレース出てお祈りされてご利益返して……って感じですかね。

Q.お祈りにご利益返したらそれ神様じゃん。
A.未来は確定してないからまだご利益返すか確定してないからセーフ。

Q.確率は?
A.十中八九。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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