存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界6

 

「許可ッ!300ヘクタールまでなら無条件で貸し出そう!」

「待って広い広い広い」

 

 300ヘクタール……えーと確か一辺10mの正方形の面積が1アールつまり100平方メートルで、それが100あると1ヘクタールだったはず。つまり10,000平方メートル=1ヘクタール。そしてそれが300あると300ヘクタールだから、3,000,000平方メートル。

 3,000,000平方メートル。

 

 ……さんびゃくまんへいほうめーとる??

 

 いや無理。アタシ別に農家じゃないし、農家だったこともないんですが? この世界だと食べ物とか料理、お酒を売る店がほとんど無いからウチの店もそんなに繁盛してるわけじゃなかったけど、基本的にはバーの娘なんですが?

 確かにそれなりに有名になって農業ちょっとやってみたこともありますけども。だからってそんな広い畑任されても困りますって。

 

「耕運機や水道設備も任せてくれ!」

「至れり尽くせりすぎて怖いんですが何を求めておられます?」

「無論!君の作り出す至高の食材である!活動報告の意味も込めて収穫した中から二割ほどを物納してくれれば助かる!」

「年貢ですかね?」

「妥当!言い得て妙ッ!」

 

 年貢とすると二公八民は格安ってレベルじゃありませんけどね? いやこっちとしてはありがたいんですが。

 ただ、水道設備に関してはちょっと待って欲しい。この世界、自然の水ほどではないにしろ水道水すら不味いのだ。口に直接入れるなら可能なら一度蒸留したいし、最低限一度沸かしたい。じゃないと異様な味がする。仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないが。

 前に一度試してみたが、自然の川の水を集めて水分と不純物に分けたら『不味さの結晶』のようなものが出来上がってしまった。結晶と言うかなんと言うか、あれはもう『不味いという概念の具現化』みたいなものだったような気もする。私はそれを『メシマズ物質』と呼ぶことにした。

 小学校で女子のスカートを捲ることに命をかけていた男子が数人いたのでお仕置きとしてメシマズ物質を耳かき一杯の半分の半分の半分のそのまた半分くらい食べてもらったが、その場で舌を掻きむしって血まみれになり病院送りになったのが一人、即座に舌を半分噛み切って病院送りになったのが一人、その場で気絶しながら嘔吐して吐瀉物で窒息死しかけて病院送りになったのが一人という惨憺たる結果に終わった。全員病院送りになってるね?

 

 そういう訳なので水は一回蒸留したい。太陽光と鏡を使って格安で蒸留できるような機構を用意したのでそれを使ってもらえるととても助かる。いやほら、アタシが居なくても持続可能な風にしないと文化として根付かないじゃない? それじゃダメなんだよね。

 理事長からの許可は取れたけど、秘書であるたづなさんが苦言を呈してくる。仕方ないのでこちらも少し搦め手を使わせてもらおうかな……。

 

 たづなさんが何を好きだったのかは知っている。ラーメンと餃子、あとビール。三種の神器って言ってたけどどう考えてもいい年してるオッサンの好みなんだけどまあ置いておく。本当にいい年したオッサンはラーメンと餃子を一緒に食べると胸焼けしてしまうから食べられなくなると言う話ももう置いておく。

 残念ながら海藻は無いし動物系の出汁も今出してしまうのは時系列その他がおかしくなるから、茸で出汁を取った醤油ラーメンと野菜と押し豆腐の餃子、そしてこの世界に酒税法だのなんだのが存在しないことを確認した上で自作したビールをご用意。もちろんビールは凍り付く寸前まで冷やしてあるし、ラーメンと餃子は熱々だ。

 

「こちらで人手は用意しますので1500ヘクタールを使って量産計画なんて立てられませんか?」

「イヤイヤイヤ無理無理無理無理広い広い広すぎますってホント」

「そこをなんとか……」(チラッ)

「いやお金の問題じゃなくて技術とかそういう積み重ねが必須の物が原因だから無理ですよ? と言うか小学校卒業して間もない子供に一万円札の束とか渡そうとしないでください」

「3ピーナッツです♡」

「ロッキード事件用語やめてください今の子供わかんないですって。ほら理事長もハテナ浮かべてる」

 

 ちなみに1ピーナッツ100万円。中学一年生にポンと渡していい額じゃないしそもそもそれ多分贈賄に当たるやつ……。

 そして思ったより効果抜群。手首の引っ繰り返し方が凄まじい。小規模なプランターだったらある程度問題なく増やせるようになってはいるけど規模が大きくなるとどうなるかわからない。大規模な、それもメシマズ物質を多量に含んでいることがまず間違いない大地でやるとなるとまずそのメシマズ物質を抜く必要が出てくるからすごく時間がかかりそうだ。

 ……メシマズ物質を集めて廃棄するか、もしくはメシマズ物質を吸収して育つ植物でもあればいいんだけど……残念なことにそういうのは現在確認されてないんだよね。いや実際には植物が育つとそこにあったメシマズ物質は吸収されるけど、メシマズ物質以外の物からも作って実際の総量が増えてしまう。しかも土の中に残った根にもたっぷりとメシマズ物質が残るから土の中のも最終的には減らないどころか微増するという最悪の循環。

 しかもこのメシマズ物質、熱にも冷凍にも強いし電気刺激でも分解されない。だからこれをなんとかするとなるとこの世界からすると今までやってきた方向とはまるで違う方向への遺伝子組み換えとかが必要になってくるし、やったとしても今まで数億年単位で溜め込んできたメシマズ物質を全て除去するなんて現実的じゃない。実現できたとしても多分アタシが生きている間じゃ無理そうだしね。

 

 まあ、なんとかできないわけじゃないけどね。

 

 

 





Q.この世界のネイチャの実家って何?
A.一応バー。ただし、酒も食事も美味い物なんて無いので悲しい感じ。酒にはなるからその点恵まれてはいる。なお酒も普通に不味いし臭いしエグい。アルコールの分水より多少飲みやすかったり。

Q.酒税法無いの!?
A.そもそも酒作れるほど糖質を持っている作物がこの世界だとあまり多くないので……お酒はこの世界においては結構な贅沢品です。そのため酒税法どころか作ることを禁じる法すらありません。まともに作ろうとするとびっくりするほどの作物が必要で、酒作るくらいなら普通に売った方が金になるので儲けを求める人ほどやりません。

Q.でも酒はあるのね?
A.一部の農家の人達が売れない分かつ自分達でも食べきれなかったもので極少量作っています。分厚い殻を剥いて中身を砕いてとか色々やって。なので供給が少ない。そもそも酒のために穀物を作ろうとするとあまりにもロスが大きすぎるので本当に裕福な所か放っておくと腐らせるしかないようなものがお酒にされます。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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