「……あー、良いもん見れたわ」
ナイスネイチャは楽しそうに呟いた。
ネイチャの目の前に広がるのは、それぞれが全力を出し切って2400mを走り切った17人のウマ娘達。両膝に手をついて体を支えるもの。支えきれず芝に倒れてゼイゼイと息を荒げるもの。なんでもないように見せてはいるが一歩動くことさえできないほどに消耗しているもの。状況は様々だが、今見たレースの参加者のそれであると思えば納得もできる。
まず、この世界のウマ娘達は体格が小さい。体格が小さくなるとどうしても一歩の距離も短くなり、事実上長い距離を走っているのと変わらない状態になる。故にこの世界の記録はネイチャの知る記録よりも長くなりがちなのだが、活性化したウマソウルやスキル、領域などを駆使した今回のレースで出された記録はネイチャの知る日本ダービーのそれに並ぶほどのものとなっていた。
とはいえ流石にレコードになるほどではなく、一般並と考えてもやや遅い方ではあるが……事実上1.5倍の距離を走っていると考えればどれだけ凄まじい記録が出ているのかはわかるだろう。
ともかく、相当無茶をしただろう参加選手にクールダウン用の冷水入りのビニールプールとちょっとした補食を用意して、一人ずつ移動させて手渡していく。
「スピードシンボリさん、お疲れさまでした」
「お、おお、ナイスネイチャか。すまん、こんなじょうきょ、ぅえっほ、げほ」
「ああもう無理しないで……すぐに脚を冷やした方が良いですし、こちらへ。あと、こちらもどうぞ」
抱き上げてビニールプールのすぐ近くに並べられた椅子に座らされ、靴と靴下を脱がされて脚を水につける。ついでに参加者に渡されていた水分補給用のゼリーと補食を渡され、スピードシンボリは大人しくそこにいることとなった。
「……で、誰が勝ったんだい? だいぶ前の方だったから隠れて見えなかったんだよ」
「ふふ……それは後ほど」
ネイチャは薄く笑うと、次の人物を連れにゴールまで戻っていった。
そして次に声をかけ、運び出してきたのは……
「やっぱりアメリカのダートとは大きく違いますか」
「本当にそうよ!やっぱり芝はあんまり得意じゃないわ」
「お察しします」
スーパーフェクタ達成者、ワーラウェイ。彼女も同じようにネイチャに運ばれ、靴と靴下を脱がされてプールに足をつけられていく。ゼリーと補食を渡されるのも変わらない。
その時点でスピードシンボリは何となく気付いていた。これは恐らく、最下位から運ばれてきているのだと。
その予想を外されることなく、次はハイセイコーが運ばれてきた。ファンの数だけ背中を押されて加速し、最高速度が上がり、更には消費する体力も減るというハイセイコー以外であればオグリキャップくらいにしか十全に使うことのできないだろう領域を使い、三女神の牙城を食い破ってみせた道中の激走はかつての姿を思い出させて胸が熱くなった。
次に連れられてきたのはグリーングラス。本人が得意とする距離より短かったのが敗因だろうが、それでも体力を使いきってぐったりとしている。
そしてなんとここでエクリプスが運ばれてくる。スタート直後からひたすらにポテイトーズからの威圧や牽制を一身に受け続けていたせいでスタミナを相当持っていかれてしまっていたらしい。悔しそうにしているしさらにその次に運ばれてきたポテイトーズに噛みつかんばかりの視線をぶつけているが、しっかり報復を終えたポテイトーズは満足げに笑っていた。ついでになぜかポテイトーズの分のカロリーバーだけ芋主体だった。
マルゼンスキーが運ばれてきた。どうやら久し振りのレースでテンションが上がりすぎてガス欠を起こしたが、ガス欠したまま根性だけで減速を最小限に抑えて走り切ったらしい。マルゼンスキーのトレーナーさんがぐったりしたマルゼンスキーに付き添っている。
テンポイントとトウショウボーイが同時に運ばれてくる。最初から最後まで仲良く張り合いながら走り切り、倒れ込んだ時の姿まで鏡写しのようだった。
そしてシンザン。本気なのかどうか最後までわからないままだったが、間違いなく強いことだけはわかる。そして領域の中で振るわれた大鉈。あれに足を取られていなければと思いもするが、取られた方が悪いのだと思いなおして口をつぐむ。
バイアリータークは最後の加速にかけていたようでほぼ最後方から一気にここまで上がってきていた。道中にかけられたちょっかいは根性で躱すか無視して、最後の一息に全てを託した。最後まで勝利のために自身を律する、規律を司る存在に相応しいレースだったと言える。
ゴドルフィンバルブはやや体力が足りていなかったか、最後の最後、ほんの20m程度でスタミナが尽きていたようだった。様々な方法でスタミナを継ぎ足して走っていたようだが、いまだかつてないほどの殺人的な、あるいは殺神的とすら表現できる速度について行くのはこれが限界だったらしい。残念そうに眉を顰めて落ち込んでいるようだった。
そしてマンノウォーとトキノミノルが同時に運ばれてくる。トキノミノルは初めて最初から最後まで全力で走り切ったことに興奮を隠せないようで、マンノウォーも自身に追いつき追い越しを繰り返していた日本ウマ娘レース界においていまだに最強格として語られるウマ娘を認めるような視線を向けていた。
ダーレーアラビアンが運ばれてきて、最後に残されたのは二人。ハンガリーの至宝にして、世界中のウマ娘が知る童話の主人公、キンチェム。そして……どうやら今ジュニアで走っているのとは別人らしい、トウカイテイオー。
どちらも自分の足で立ち、その場から動けない程度の疲労はあるものの倒れることもふらつくこともない、この中でもさらに一つ抜けた実力者。
初めから先頭付近をかけ続けた三人の逃げウマ娘。先行の位置でレースを支配せんとしたが逃げウマ娘達の速度に引きずられるように自身の脚も消耗させた五人のウマ娘。差しの位置でタイミングを狙い、あるいはただ一人を引きずり下ろすためだけに全霊を注いだ七人。そして追い込みの位置で息を潜めながら勝利へ邁進した一人。十七人の参加者の目の前で、先に手を取られて現れたのは───
Q.話し切るところ間違ってますよ。
A.間違ってませんよ。次の話ででます。多分。
Q.すっごい気になる。
A.また明日よろしく。
Q.代わりにネイチャかSSのヒミツ教えて。新しいやつね。
A.ナイスネイチャのヒミツ② 実は、とある世界でハーレムを作らされたことがある。
SSのヒミツ 実は、とある世界でナイスネイチャのハーレムに居たことがある。
番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)
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ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
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ウィニングカラオケ(NN杯直後)
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『ハヤイ』という名の馬について