存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界7

 

 早速だがアタシはデビューすることにした。将来の事を考えるとお金は必要になるだろうし、ちゃんとした食料を広める時にアタシと言う十分な栄養を取ることでちゃんと成長することができたウマ娘をお披露目することは大切だろうと思ったのだ。

 ……まあ、実のところ幼少期からしっかり栄養を取ることができたとしても今のアタシと同じくらい成長できるとは限らないんだけど。

 栄養が不足することを前提として進化を続けたウマ娘は、アタシの知る限り弱くなっている。筋力やスタミナもそうだし、瞬発的な出力も持続的な出力も、もしかすると脳に送られる栄養も制限されているせいか頭の回転力まで少し落ちているような気さえする。

 ただ、アタシの知るウマ娘達がこの世界の自分達と同じものを同じだけしか食べないでいたら間違いなく餓死するだろう。そういう意味ではこの世界のウマ娘は適者生存という形で生き延びているだけでも凄いと思う。

 一度手に入れた力を手放すというのは多くの生物にとっては苦痛を伴う。しかしそれができなかったものから振るい落とされ死んでいく。血を残すという生物としての勝利のために自身の力を削ぎ落とす。正解であっても辛かったことだろう。ひとえにこの世界のメシマズをどうにかできなかったせいだけど、普通は無理だしね。

 

 そういうわけで出走したんだけど、当然のように勝った。手近なところから攻めていったから距離適正的にはあんまり合ってなかったけど、周りが強くないからどうとでもなった。なんならワールドレコード出た。短距離なのに。1000mなのに。

 主な原因は体格と鍛え方。なんと言うか、バトル系漫画でよくあるパワーインフレ。あれの前と後。何が言いたいかっていうと、要するに『ウマ娘の本格化ってすごいね』ってこと。実際何回やっても凄いからね。

 力なんていくらあってもいいから小さい時から色々やって身体能力を上げてはいるんだけど、本格化の最中の伸びを体験するとその時以外の練習が馬鹿らしくなってくるくらいに伸びるんだよね。まあそれでも積み重ねは馬鹿にならないし、本格化で伸びるのはあくまでも純粋な身体能力だけで、しかもそれも時間制限付きだから鍛えられる時に鍛えておくんだけど。

 それに、身体の方は元に戻っても技の方は結構覚えてるし、身体が持つようになれば結構簡単に使えるようになるしね。

 

 そういう訳でメイクデビューで1000mのワールドレコードを3秒ほど短縮した事もあって色々と疑われることになった。主に薬とかドーピングとかそういうのね。

 まあ普通に考えればおかしいし、疑うのもわかる。人間で言うと100mの記録が突然1秒縮んだみたいなものだからね。何らかの異常事態が起きていると考えるのは当たり前だ。

 でも問題ない。だってアタシの身体は健康だし、おかしな薬なんかも使っていない。そもそもこの世界においては体格が違い、健康状態が違い、そして根本的な所で言うと年季が違う。トレーナーさんの置き土産については練習以外では使っていないし、この身に恥じるところは一切ない。実際事後の検査でも何一つ問題は出なかった。

 

「そういう訳で祝勝会のお鍋です。出汁のベースは豆乳で、味のベースはお味噌。具材は主に白菜と豆腐ともやしとしいたけ、あとエノキ。動物性のたんぱく質が無さすぎるけど仕方ないですね。頂きます」

「……ね、ネイチャ。これはいったい……」ギャオォォォォォォォォ!!!←腹の音

「祝勝会用のお鍋です。わざわざオグリ先輩のためにこんな大鍋用意したんですから、オグリ先輩も食べて食べて」

「う、うむ……イタダキマス」グギャゥ♪

「お腹の音どうなってますそれ? いえ返事はいいです食べて食べて」

 

 ぎこちなく手を合わせるオグリ先輩。そう、この世界には食材に感謝するという作法が存在しないのだ。まあ、どう考えても明らかにこっちを敵視しているとしか思えないような進化をしてるからね、この世界の植物。動物もだけど。

 でも、アタシの用意したこれらの野菜は違う。美食研究会が活動を開始してから作ったのはもやしだけだけど、畑の方はとりあえず一定の目途が立ったからこれから美味しい物をどんどん作っていきたい。ちょっとトレーナーさんの置き土産使ってズルはしたけど、だからこそズル無しでなんとかするためにはどうすればいいかもわかってきたし。

 

 ……ジャガイモがあれば片栗粉が作れる。片栗粉があれば芋餅とかも作れるし、芋餅を焼いてはんぺんみたいにもできる。小麦粉があればお麩だって作れる。とりあえず主食になる物を作れるようになることが先決ですかね?

 いや待ってほんの一分程度しか考えごとしてないのに七割くらい消えてるんですけど。ああ待って待ってスープは残してくださいご飯入れておじやにするんで。ほんとは麺入れてラーメンも考えたんですけどラーメンはちょっと今気づかれると面倒な人がいるんでナシで。目途は今回で立ったけどある程度実績がないとあの王女様は受け入れができないし。

 

 まあ、きっとなんとかなる。鍋に残った野菜の切れ端の混じった汁の中にご飯を投入し、蓋をしながら考えごとを打ち切って味噌を取りに行く。ちゃんと温めてから味噌を入れてあげた方が風味が飛んでない美味しい味噌が味わえるからだ。オグリ先輩のキラキラした目は裏切れないしね。

 





Q.そう言えばループ物らしいけど、何が原因? 条件は?
A.原因はまだ内緒。条件は『ナイスネイチャが死亡することor【検閲削除】』 なお老衰も含む。

Q.何週目? 解除方法は? 今まで一番きつかったのはどんな時?
A.今まで現実世界のウマ娘アプリ内でナイスネイチャが育成された総数より多い。解除方法は【検閲削除】。一番きつかったのはウマソウル逆流を起こして馬だった頃のナイスネイチャになってしまった時。

Q.……そう言えば、この世界ではイギリスはどうなってる? メシマズ国家のまま?
A.全てがメシマズなので当然メシマズ国家です。ただ、特にイギリスの飯が不味いと名指しで言われるようなことはありません。文字通りの意味で全ての国家がメシマズ国家なので。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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