参加者全員の脳と身体を溶かしてしまう結果となった食事会が終わり、未だ形が戻らない全員をそれぞれベッドに連れて行ってから、ようやく一息つくことができた。今回のこれは少しはっちゃけすぎたと言うか、自重を無くしすぎたような気もするけれど……それでもやっておいた方が良いと判断したからやった。後悔はしていない。反省もしない。
「……で、なんでここまでやった? 普段のお前さんならこんなことしなかっただろ」
サンデーサイレンスは相変わらずペパーミントのキャンディを口の中でころころと転がしながらアタシをジト目で見つめる。確かに、いつものアタシならその通りだ。恐らく普段のアタシならギリギリこの世界でも手に入る可能性が全くのゼロではない食材のみで料理を作っただろうし、それでもみんなは喜んでくれたはずだ。
でも、やる必要があった。
「……回りくどく説明していい?」
「ある程度必要ならいいぞ」
「おっけ。じゃあ説明するんだけど、アタシっていろんな世界で何度も生まれなおしてるじゃん?」
「ああ。……解決しそうなのか!?」
「回りくどく説明させてくれない?」
時間をかけて説明するつもりが一言で察されてしまった。しかし苦笑いを浮かべつつも説明を続けることにした。
「そもそも原因って、アタシがトレーナーさんとずっと一緒に居たいっていう我儘からなのよ」
「知ってる。そのために何十億周してるってのは流石に引いた」
「アハハ……まあ引くのはご自由に。で、そんなアタシの我儘に応えてくれようとしたトレーナーさんがアタシにくれたのが、アタシの言う所の『トレーナーさんの置き土産』なワケ」
「ああ、確か異界法則適用権とそれを固定させるための核として渡されたあらゆる武器を作り出す権能の欠片だっけか」
「そうそう。で、これを使って神格になるか、もしくは世界的に認められる英雄になるかすればアタシはトレーナーさんの所に行ってずっと一緒に居れるわけ」
「……あー、なるほど。今までの世界じゃどんだけぶっ飛んだ記録出して神と呼ばれてても信仰までされることはなかったしな」
「そうそう。でもこの世界だとさ……ね?」
「ああ、そうだな。ガチの信仰を向けてる奴らがごろごろしてるな」
「何なら先日神格及び準神格からも信仰向けられたからね」
「あれの目的それかよ……まあ、やっぱお前はそういう奴だよ」
「目的そのものはおめでとう会だけど? ついでにアタシの思惑も載せてもらったってだけ」
けらけらと笑うネイチャに呆れの感情を含ませたため息を一つ。まったく、これからこの世界で生きていかなければならない奴らがどれだけ苦しむことになるのかわかっていない。
こんな世界で、生きていくだけで無数の苦痛に苛まれる世界で、その苦痛を掻き消した女。そいつがその気にならなければ二度と出されることのない、恐らく至上の食物。見た感じだがあれはこの世界で作り上げるにはあまりにも合わない。人の手があろうが無かろうが、土地の浄化がどれだけ進もうが、あれと同じものがこの世界で育つことはないだろう。それだけは確信をもって言うことができた。
つまり、あれを一度味わってしまったあいつらは、恐らくナイスネイチャのお願いであればおよそあらゆることを必死に、文字通り死に物狂いで叶えようとすることだろう。わざわざ死人だけではなく現在も生きている伝説扱いのウマ娘も集めたのは、今すぐに現世で影響力を広める目的もあったに違いない。
「……あいつら、もう一回呼んだら絶対来るだろ」
「来るだろうね。例え仕事に忙殺される未来が待ち受けていることを理解していてもそれでも来るだろうと思うよ」
「ハ、随分と強かな女神様もいたもんだ」
「まだ違います~」
「ところで、お前この酒何使った?」
「ラムとミントと炭酸と氷」
「具体名は?」
「……BBコーンの廃蜜糖から作った名前のないラム酒にのろま雨の丘で50年かけて育ったプラチナミントと不完全なエアの調理の際に出た空気を入れたエアアクアとグルメショーウィンドウの氷」
「バ鹿野郎道理で異様に美味いわけだよ畜生」
「また飲みたかったらぁ……ね?」
「ド畜生がよォ……ッ!!!」
そりゃあこんなもの飲まされたら脳も溶けるわ。正直サンデーサイレンスであってもかなりきつい。なにしろ精神はともかく、身体はこの世界で生まれ育ち、そして死んだサンデーサイレンス自身の物を使っているのだから。自分の好物であるミントキャンディでも椅子に座っていない状態で食べたら腰が抜けてしまいそうになるほどだというのに、これでは暫く立てなくなるのは間違いない。
……それとこれはネイチャには絶対言えないが、この世界のウマ娘は妊娠しようとする時以外に身体が一気に栄養を取ることをする機会がなかったせいか、十分な栄養を取ると若干……アレな気分になりやすくなるようだ。季節が若干ずれているためそこまでではないが、正直これは大分まずいんじゃなかろうか。今現在のこの世界でネイチャを襲ってことを為せる奴なんて想像もできないが……と、そこまで考えて死人が口出しするようなことじゃないと考え直す。別にネイチャがそういう状況になって困っているところを見たくなったわけではない。断じて。
「まあ、そう言うことなら好きにしな。ただ、あんまやりすぎると反動がでかいぞ」
「そうだね。でも、必要ならやらないと」
「ここの世界で育ててる奴でも十分な気がするけどな」
「あー、あれね。大体浄化は終わらせてるけど、100%抜けてるわけじゃないから。ほぼ完全に抜けてるけど、逆に言えばほんのすこーしだけではあるけど残ってる。だからあれ、もう一段階上があるよ」
「変身を残してるボスキャラかよ」
じゃあな、と言い残して実体化を解いてこの場から退出する。そして誰にも見られないようになったところで───
あっもう無理
サンデーサイレンスは溶解した。
Q.原因解ってないんじゃなかったの?
A.公開されてないだけでわかってないわけではなかった、と、思います。あれ、どっかに書いたっけな……?
Q.サンデーサイレンスも堕ちた?
A.逆にお聞きしますがあのどう考えても大人しくしているわけのないサンデーサイレンスが今の今までネイチャの前では大人しくしてる理由についていかがお考えで?
だいぶ前に堕ちてますね。
Q.ところで、ヒミツシリーズとかやるつもりない? 重大なのから大したことないのまで何でもいいから知りたい。
A.……じゃあ、今度考えときますね。とりあえず一つ。
ナイスネイチャのヒミツ3 実は、馬だった頃にイクノディクタスを妊娠させたことがある。
番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)
-
ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
-
ウィニングカラオケ(NN杯直後)
-
『ハヤイ』という名の馬について