存在してはならなかった世界   作:真暇 日間

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絶対に存在してはならない世界79

 

 トレセン学園の畑の支配者は事実上アタシだ。だけどそんなアタシでもできないこと……いや実のところできなくは無いけどやりたくないことがある。畑についている虫の除去は、やってもやってもやってもやってもきりが無いからやりたくない。

 そこで出番なのがうちのペットたち。雀、燕、鳩、鶏、火の……なんかよくわからない種類の鳥。

 みんな仕事熱心で、畑に入ろうとした虫やアタシに飼われていない鳥、獣なんかを見事に狩ってみせる。雀でも虫くらいなら問題なく狩れるし、なぜか燕は音を越える。大昔の剣豪が燕を斬るために剣を振って魔剣と言われる技術を作ったと言われてるけど、確かにあんな燕なら魔剣って言われるくらいの剣術が使えないと斬れないね。納得した。

 ちなみに鶏たちは虫ばかりでなく雑草も駆逐してくれる。狙って植えている作物と雑草を上手に見分けて引き抜いて畑の外に運びだすことをしっかりやってくれるのは凄いと思う。

 それにほら、この世界の植物ってメシマズ物質の増殖者だから可能な限り早く駆逐したいんだよね。叶うことなら芽を出す前に排除したいくらい。流石に無理だけど。

 やっぱり外で畑やってるといろんなところから予期せぬ植物が紛れ込んできて少しずつ汚染されていくんだよね。これはやっぱりあのタンポポモドキが必要不可欠。本当にいいもの見つけたよ。

 

 そんな風にとても役に立ってくれるペットの鳥たちにいつものようにご飯を上げたりしてからアタシの農作業は始まる。一応鳥たちはメシマズ物質の限りなく薄くなったものだけ食べさせているから臭いとかも相当マシになったし、糞にもメシマズ物質がほぼ含まれていないから肥料にもできる。そうなってくれたのは嬉しいね。昔は酷かったからなぁ……。

 冬と言っても雪の降ることのほぼ無いこのあたりの地域なら、大きく育った白菜なんかの葉野菜を収穫することができる。お鍋にするととても美味しい。ジャガイモやニンジン、ネギなんかと一緒にお鍋って言うのはもう冬の風物詩と言ってもいい。まあ、この世界にそんな風物詩存在しないんですけども。

 でも大丈夫。アタシがこれから風物詩にしていけばいい。

 

「そういう訳でこちらが野菜と豆腐のお鍋です」

「ハフハフ……うん、身体が温まるな。寒い季節にはぴったりだ」

「ムグムグ……油揚げにお餅が入ってる!これ面白いね!」

「こっちの油揚げには……おから?」

「ああそれおからを丸めて揚げたやつ。おから以外もちょっと混ぜたけど」

「お出汁の浸みた大根が最強☆」

「「「わかる」」」

 

 お鍋をつつきながら炬燵で暖を取る……身体の内からも外からも温めるある意味最強の過ごし方だと思うんだよね。栄養もあるし。

 あとはあれだね、甘酒。ライスのお気に入りだけどこれがまた普通に美味しい。実は美食研の地下にこっそり存在する秘密の酒造施設で米のお酒を造る際に出てくるやつを再利用しているから、ちょっとだけアルコールが入っている。ウマ娘だったら十歳でお酒を飲んだところで大して酔っぱらったりしないけど、人間だと色々大変だからやめようね!

 

 そしてお鍋の具材が大体無くなったところでご飯を入れて溶き卵と青ネギ。蓋を閉じて一煮立ちさせて……はい、雑炊。キノコ入れてもよかったけど、今回はまあいいや。

 ラーメンにしなかった理由? ラーメン作ってるとアイルランドに住んでる妖精が気を利かせたのか何なのか知らないけど某国の第二王女様に匂いだけ繋げるせいで後でちょっとした文句の電話がかかってきたりして面倒だからさ……うどんでもよかったかな?

 

 そうそう、そう言えばなんだけど、この世界だと日本人でも海苔を生で消化できないらしい。海の物をほぼ食べないできた弊害と言っていいかもね。仕方ないけど。

 そう言うことでアタシも海苔を食べられない。食べられるけど生だと消化できないって言うのが正しいかな? だってほら、海苔の消化をするバクテリアがお腹の中に居ないから消化できなくなっちゃってるんだよね。焼けば食べられるんだけど。

 

「……ふぅ……ごちそうさまでした」

「はーい、おそまつさま」

「……これで粗末なら学園に来る前までボクが食べてたのはいったい何なのってなるんだけど? 汚物?」

「あんまり間違ってないかもね。実際メシマズ物質って汚物みたいなものだし」

「んぅ……ライス、眠くなってきちゃった……」

「コラー、炬燵で寝ると風邪ひくぞー」

「Zzz……」

「テイオーはもう寝てるし……移動させるのもあれだし、布団でもかけてあげればいいですかねぇ」

 

 アタシが洗い物とかしている間にお腹いっぱいになってしまったみんなはすやすや夢の中。とりあえず風邪をひかないように全員に毛布を掛けておく。やってることがもうお母さんなんだけど、アタシまだこの世界で子供作った覚えないんですけどねぇ……。

 まあいいや。今日も楽しく過ごせたし、きっとみんなもいい一日だったに違いない。アタシはそれで満足してますよー。




Q.サブタイトルをつけるなら?
A.ある冬の日の一幕。

Q.やっぱりコズミック害鳥やんけ!
A.違うと言ったことは一度も無いんだなぁ。

番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)

  • ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
  • ウィニングカラオケ(NN杯直後)
  • 『ハヤイ』という名の馬について
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