そう言えば、高松宮記念に出た話をしてなかった気がする。大方の予想通り、普通に出て普通に勝利した。しかし、それに続けとテイオーが出走した皐月賞ではいい感じに混沌が広がっていた。
理由は簡単。テイオーは基本的に調子に乗りやすい。調子に乗っている時に最高のパフォーマンスを出せるタイプなのはそうなんだけど、最大のパフォーマンスをするのは追い詰められてからだったりする。しかも余裕がない所から本番に行かせてさらに追い詰めるととてもいい味を出す。
そこで今回手伝ってもらったのはターボだ。ターボはテイオーにライバル意識を向けることが多いから結構簡単に煽れるし、素直な娘だからアドバイスなんかはしっかり聞いてくれる。そこでちょいちょいアドバイスしてテイオーに勝つ可能性がある状態にまで仕上げたら本番だ。
まあ今回はテイオーもターボの事を多少は意識してくれていたらしい。多分ナイスネイチャ記念のせいだと思う。あそこでなかなかいい勝負をしてみせてたし、もしかすると自分に届きうる相手だという認識をしていたはずだ。
でもまあ甘い。自分こそが最強だと思っているだなんて、思い上がりが凄いよね。そう言うのはそれこそアタシみたいによその世界の法則を適用させて強化するとかそういうことができるようになってからの方が良いと思う。できるかどうかは知らないけど。
と言っても流石にそれを実行するのはずるいしアタシはレース本番ではそういうのは使わないようにしてるんだけどね。
皐月賞は結局テイオーの勝利に終わる。ただ、二着にはほんの僅か、ハナ差2cmでツインターボが入っている。テイオーもかなり必死な顔で走っていたし、ターボはターボで走り切った後疲労と酸欠でその場でぶっ倒れてしまった。
更に、テイオーは本来ここで出すはずではなかった全力以上で走った結果、ダービーを待たずして左脚を骨折。ターボは骨折とか腱の炎症なんかの重大な症状は出なかったけどものすっごい筋肉痛で翌日半分以上死んでいた。なお、その頃のテイオーは目が死んでいた。
仕方ないから今回の皐月賞は祝勝会を開くのはやめておいて、代わりにテイオーのトレーナーさん、略してテイトレさんに許可を貰ってテイオーの身体の修理をすることにした。なにしたかって? 笹針。上手くやるとあれ本当に効果的だよ? 上手くできればの話だけど。
その点アタシはまあそれなりに上手くできる。時間はたっぷりあったし、ウマ娘の身体を治すことにかけてはそれなりに詳しい。なにしろ初めのころ、トレーナーさんのいない世界ではよく怪我をしたり骨に炎症が起きたりしてそれをなんとかするために何でもやったからね。だってそうじゃないとトレーナーさんの愛バであるアタシが完璧な状態でいられないじゃん。
なので、ちょっとした炎症とか怪我とかなら結構簡単に治せる。骨折になると流石にちょっと大変だけど。
「いやあの、何か物凄く美味しいもの食べるとかじゃ……」
「フェニックス杯の打ち上げの時以上のは早々出せないし、あの時溶けたけどあれ以上のでまた脳味噌焼いたりは難しいから無理かな」
「え゛……じゃ、じゃああれ!サルデスって娘が飲まされてたあの薬なら!」
「……勇気あるね。あの後あの娘がどうなったか知ってる? 薬飲んですぐに泡噴いて白目剥いて身悶えして結局意識失って三日くらい起きてこれなくて、しかもあれから緑色の液体を見かける度に引き付け起こすようになったのに……」
「───な、何か他に方法は!?」
「
「イヤーーーーーーーッ!!!」
なんでここまで嫌がるのやら。いやまあ確かに笹針とか注射とかは資格を持ってる人じゃないとやっちゃいけない類のものではあるけどさ。昔ではあるけど免許も持ってたんだよ? 一応だけど。
今? 持ってない。それより大事なことがあった。主に食べ物関連。
……さて、これだけ怖がらせればいいかな。骨折ってもアタシに頼れば大丈夫だなんて安易な考えはしなくなるでしょ。実際割とどうとでもできるのがあれだけど……。なんだったらちょっと半月くらい母乳が出るようになるけど骨折が一月くらいで治る薬なんて言うのもあるけど、あれは一か月かかるから明日すぐに練習に戻るなんてことできないしなぁ……。
あとできることと言ったら、手合わせ錬金で治す……と言うか直すのと、アモールの水とかそういう道具出して使ってもらうか、魔法とかそういう系? 一応神が近いこの世界なら魔法の類は多分どこか一部で継承されてると思うし、大丈夫だとは思う。でもあんまりさっと治したくはないから、ちゃんと自分を大事にしてくれるようになって欲しい。今回は転ばずに済んだけど走ってる最中に骨折は普通に危ないからね。時々頭おかしいテイオーが骨折しながら走ってダービー獲ってそのまま転んで死ぬとかあったし。本当に勘弁してほしい。
あるんだよ、そう言うことも。目の前で脚が途中から変な方向に曲がって高速で地面に顔面から叩きつけられて転がっていくテイオーとか流石に二度と見たくないよ? いやマジで。あの時は流石に堪えたからね。トレーナーさんが一緒に居る状態じゃなかったら耐えられなかったよ。いや本当に。
……よし、それじゃあ大分恥ずかしい系のマッサージでいこうか。はーいみんなちょっとテイオー借りてくけどしばらくアタシの部屋には入らないでねー。マーベラスは……知ってるからいいや。うん、アレやります。そう、アレ。
うん、だから誰か入ろうとしたら止めてあげてね。主にテイオーの尊厳のために。
「ナニサレルノォ!?!?」
「あれも嫌これも嫌と宣うイヤイヤ期の子供相手にちょっと辛いことかな。じゃあ行くよ」
翌日、テイオーの脚は完治していましたとさ。
Q.何やったの?
A.前やったのより大分際どいと言うかちょっと描写できない類のマッサージ()
Q.……目の前でテイオーがダービーで死んだとこ見たの?
A.ネイチャ「あの時アタシの感情の一部が麻痺した覚えがあるね」
Q.なんか色々方法あるのになんでそれ選んだの?
A.ネイチャ「後悔してもらうため。後遺症とか残さないようにかつ即時効果があるのだとあれかなって」
番外編のネタ(すぐ用意できるものに限る)
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ナイスネイチャ+αのヒミツ(ウマ娘風)
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ウィニングカラオケ(NN杯直後)
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『ハヤイ』という名の馬について