催淫症   作:一途一

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どうも、一途一こと、一発屋です。気に入ったら連載しますが、現在多忙を極めているため投稿速度が激遅です。ご容赦ください。


催淫症

俺の人生は、いったい何処から崩れていったのだろうか。中学で失恋した時?大学受験に失敗して二浪した時?それとも、訳の分からないブラック会社の就職面接に行った時?…俺には分からない。だけど、きっと何かの積み重ねが引き起こしたという気は薄々していた。

 

ある日、気まぐれに行った占い屋でこう言われた。宝石の連なったアクセサリーを首に掛け、ジャラジャラと言わせながらそいつは言った。

 

「貴方、きっと大量の女性に好かれますわよ!それもとびっきり特殊な!」

 

ははは、と乾いた笑いしか出なかった。特殊ってなんだよ。熟女か?それともAVで見るようなマゾ女か?いや、とびっきりと言うぐらいなら、露出魔のような変態の可能性もあるか。そんな事を考えるような余裕が、まだあの頃の俺にはあった。今になって見れば、そんなのは噓どころか、全くの大間違いであると断言できる。

 

なんせ、今の俺の前には、強姦した挙句首を絞め、その果てには死んだ女が居るのだから。ああ、よく言ったセリフではあるが、本当はこういった時に使うのだろう。

 

 

「こんな筈じゃなかった」

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

カチリ、と時計の分針が三時を指す。窓から見る景色は下のみが妙に輝いており、空は暗い。眠気さえ起きない自分に呆れながら、俺はパソコンを閉じた。仕事量とは裏腹に、ペーパーレスとやらでいつの間にか軽くなった鞄を手に持ち、席を立った。タイムカードは七時間前に切っているため、そのまま部屋を出た。このフロアはまだ明るく、俺みたいな奴が未だに画面とにらめっこしている。エレベータの下りボタンを押し、しばらく待つが、五分経っても来なかった所で、漸く隅に貼られた張り紙に気づいた。『故障中』と傲慢そうに主張するそれを見て、俺は壁を軽く叩いた…ここは二三階だ。

 

 

非常階段を下っている途中、同じように退勤している人間を数人見かけた。そいつらも、俺と同じ目をしている。疲れ果て、人生の先が見通せなくなっている目だ。いっそ階段中央に空いている空洞に落ちてしまおうかと思ったが、途中で手すりなんかに当たってしまうと迷惑が掛かってしまうと思い、辞めた。

 

安っぽい鉄製の扉の外は、俺が働く階よりも明るかった。似たような会社員の姿もいくつかあるが、それよりも華美な服装に身を包んで男と歩く女は嫌でも目についた。…いや、それで普通の幸せを享受している奴が見えないのなら万々歳か。それにしても、目に悪い。点滅する看板は俺を正気から遠ざけているようでうざったいし、遠くの方で勧誘している売り子も面倒くさい。幸い此処の土地勘はあるので、裏路地を通って帰ることにした。

 

 

ビル街から遠く離れたその道は暗かった。さっきとは打って変わって、電球一つない道だ。月明りのみで照らされている。俺の気分は少しだけ良くなった。何の喧噪も無く、ただ、微かな生活音のみが聞えてくる。ここの直線を抜ければ、間もなく俺のアパート近くの道に出る。さっさと寝たい気持ちで、心が潤い始めた――

 

「ねぇ、お兄さん…」

 

思わず足を止めてしまった。まさか、こんな辺鄙な所にいるとは。ここ周辺では中々見ないが立ちんぼ、と言う奴だろうか。

 

「私の事、買わない?」

 

当たりだった。一気に最悪の気分になる。こんな奴にくれる金は一銭たりとも持っていない。身なりはそこまではでじゃないが、嫌なのはその顔だ。この世の中を理解しているかのような浅はかな顔。妙に顔立ちが良いせいでその怒りが増幅された。

 

「…いや、今はそういうのいいんで」

 

怒りを我慢して、今にも煮えくり返りそうな腹に蓋をし捻り出した言葉だった。正直、これ以上話したら怒りが爆発すると確信していた。

 

「いやーそう言わないで、さ…1回二万、どう?」

 

黙ることにした。ついでに、周りの事を見ないことにした。意識を足だけに集中して、地面を踏む力を強めた。聞くだけなら、まだ堪えられる。家に着くころにはきっといなくなっているだろう。そう信じた。そう信じて、歩いて、歩いて、歩いて、歩いて、漸く家の扉の前に来て――

 

「ねぇー!何か言ってくれてもいいじゃない!」

 

そいつは付いてきた、俺の顔も見ずに。そいつは言ってきた、数分前と同じ薄い笑みで。

 

 

 

 

「絶好のチャンスだと思うけどなーー…ナカでも、良いよ?」

 

 

 

 

ぷつり、と何かが切れる音がした。脳内が数千回転したかと思えば、得体の知れない窮屈さが身を覆う。俺は、鍵をドアノブに突き刺したままそいつの方を向いた。改めて見てみると――いや、そういったことはどうでも良い。俺は感情を悟られぬように、ドアを開けた。

 

「お、良いって事?サンキュー」

 

遠慮もせずにそいつは部屋に入って行く。俺は逸る気持ちを抑え、冷静にすることを努めた。ドアは俺の心か、これから起こる事で発生する彼女の感情かは知らないが代弁するかのように悲鳴を上げ、ゆっくりと閉じてゆく。最後にしっかりと鍵を閉め、そいつの方に向き返った。そうして、足に力を込め…

 

「どうする?もう此処でシちゃう?それとも、お風呂でとかぁ――」

 

どご、と鈍い音がして、そいつは吹き飛んでいった。軽いせいか吹っ飛んでったそいつは直通になっている居間に飛ばされ、意味も分からず呆けていた。かひゅ、と微かな音が飛ぶときに聞えた辺り、しっかりと胸の真ん中を蹴り飛ばしたのだろう。咳き込んでいるそいつを見て、俺はほくそ笑んだ。土足のまま俺も廊下に足を踏み入れ、噛み締めるように歩いていく。

 

 

そいつは、俺が居間に来ても尚、状況を理解できていなかった。胸を押さえ、自分の息を整えるのに一生懸命なようだ。俺はそいつの目の前まで来て、数秒逡巡した後、決めた。実際は本能に流された、が正しいが。とにかく俺はそいつの胸倉を掴んで床に投げ打った後、無理くり服を剥いだ。挑発するかのように子宮辺りに刻まれたタトゥーも、その気を強くさせた。

 

「ねえ、止めてよぉ…私が悪かったから、しつこかったから」

 

喘ぐような声で嘆願されても、今更許す気は起きなかった。こいつが完全に悪い訳ではない、というのは客観的事実として存在しているが、俺の脳内には存在しなかった。それだけだ。そのまま、俺は気を滾らせながらそいつに近づき、押し倒した。そいつの顔をまじまじと見て、俺はそいつを穢し始めた。そいつの目は、まだ俺と同じじゃなかった。

 

 

場の雰囲気が変わったのは、行為の終焉が近づき、今更どうしようも無いので首を絞め始めた時だったか。そんな時に、そいつは表情を変えた。俺と同じ、未来の見えていない、絶望した目だ。

 

「ぃや゛…」

 

俺は達成感に打ち震え、更に興奮した。終わりが近かったのもあるが、もっとその奥が見たかった。その一心で、俺は手の力を強めた。そいつの苦悶の表情が深まる度、俺は興奮した。俺が果てるその瞬間そいつは最大限の抵抗をした。途中で服を脱いだために露わになっていた俺の肌に爪を突き立て、引っ搔いたのだ。普通のけがよりも何故か痛みが強かったが、不思議と気にならなかった。そうして俺が果てたと同時、俺は最大限の力を込めた。5秒程、続いただろうか。冷静になったのはその直後である。

 

 

酷く感じたのは、強い尿の香りだった。そいつは俺が気づかない間に漏らしていたようである。ふと、そいつの顔を見れば、白目を剝いたまま、口をだらんと開け、涎を垂らしていた。俺の目より、酷い目をしていた。俺はそれに恐怖し、手を放して無様に数歩後ずさった。怖かった。自分もそうだが、そいつの目が。黒目が見えないにも関わらず、恐怖と憎悪に満ちている、その目が。俺は逃げた。荷物も何も持たず、ただひたすら逃げた。すると走る気力が尽きた頃、どこかも分からない道の端で急激に眠気が俺を襲った。そうだ、そのまま身を任せてしまえと、俺は祈りった。眠りは、一番の逃げ場所だと思った。

 

 

そうして、俺は意識を落とした。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

女は、泣いていた。男に終始気づかれなかった細い尾を腰からだらりと垂らし、茫然としていた。怒りよりも、恐怖が強かった。

 

「なんで…」

 

白い残滓を垂れ流しながらも、よろよろと立ち上がると、死に体の喉である言葉を紡ぐ。そうすると、たちまち女の姿は服ごと元通りになった。だが、彼女は再び崩れ落ちた。胎が重かった、生命の重みを感じてしまっていた。通常の女性では感じない、彼女がそういった『種』であるからこその重みだった。

 

 

「なんで、私が…淫魔である私が…」

 

 

 

彼女から、それ以上の言葉を紡ぐ気力は編み出せなかった。

 

なぜなら、あくまで食事の筈が犯し返された挙句、孕まされたというのだから――

 

 

 

 




一回異種姦で孕んだ後のいざこざを書いてみたくなったという欲望…これR規制掛からないよな?
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