トリニティとゲヘナ、共通の敵が出来れば両校とも仲良くできるのでは? 作:ミカへの愛
設定ちょっと変わってます。
ですが結末に変化はありませんのでご安心を。
ある少年は呟く
「エデン条約編凄かったなぁ~」
「アリウスはベアトリーチェの洗脳から解放されて、セイアもなんだかんだ生きてて、補習授業部は退学を免れて…うん、ハッピーエンドだな!」
「とはいえ結局トリニティとゲヘナの仲が良くなるどころか悪くなってるような気がするし…マイナスを0に戻しただけなんじゃないかな?」
―――あーあ、トリニティとゲヘナ、一緒になって戦うようなイベントでもあれば多少はこの蟠りを改善出来そうなのになぁ
そんな独り言が誰もいない空間に響き渡り…彼は意識を失った。
***
目が覚めると、意識を失う前にいた自分の家とは異なる雰囲気を感じた。
『んっ…なんだか身体が思うように動かないな…』
まるで見覚えのない天井と―――傍でこちらをみる活発そうだが無邪気さを感じさせるピンク髪の少女。
「んー?もう起きたのかな?おはよう、カレン。」
これ、ブルーアーカイブの世界だ!!!
そう舌足らずな言葉を発する少女を見て俺は確信した。
***
どうやら俺は何らかの要因によりブルーアーカイブの世界に転生し、聖園ミカの1つ下の妹として生を受けたらしい。
意識がはっきりしてから、鏡で自分の姿を確認した。
碧目でピンク髪一一一そしてどう見ても女児としか思えない顔つきをしているが…実際、例のアレが付いていたので性別は男だった。
しかし両親は俺に女性と思われるような名前を与え、女物の服しか渡さない。
幼いうちは見た目からして似合う女性ものの服を着せているだけなのかと思ったが…
そんな甘い理由ではなかった。
この両親はいかにして自分の影響力を高めるかということしか考えておらず子供はそのための道具としか考えていなかったからだ。
当然、周りに女子しかいない中1人だけ男がいれば目立ち、周りの反応次第では将来権力を良いポジションにつけるかどうかも怪しくなる。
逆に言えば、受け入れられ方次第ではむしろ目立つことを利用して上手いこと立ち回って強い影響力を持てたかもしれない。
だが姉のミカが既に友好関係が広く、強い影響力を持っている。
ならばもう要らないと俺は切り捨てられ、ミカの出世一一一ティーパーティー入りの邪魔をしないようにと、万が一に備えて女装の強制とミカとは違う小学校へ入学することになった。
元々女のような見た目をしているこの体でならば綺麗な服やアクセサリーで着飾るにさほど抵抗はなかったので特に文句も無く慎ましく学校生活を送っていた。
しかしさすがトリニティ、小学校から既に派閥闘争が始まるという事態を見てしまってからというもの、ああいうのとは関わりたくないと思っていたのだが…
1人、ゲヘナ系の小学校の生徒の子が何らかの理由で迷い込んでしまい、それを見た特にゲヘナを厭う派閥の生徒がリンチにする光景を見てしまった。
いてもたっても居られずに、何とか助けることが出来たのだが…
その出来事から小学校を卒業するまで、常にその派閥から目の敵にされ嫌がらせを受けることになった。
中学生になってから小学生の頃の出来事が少しトラウマになっていた俺は誰とも関わろうとしないままほとんどの時を1人かミカねぇと過ごすことになるのだが…この期間があまりにも長いせいでコミュ障になるだなんて予想してもいなかった。
具体的には…そう、初対面の人との会話では言葉の最初に「あっ」がついてしまうとか、目を合わせられないとか、そんな感じだ。
―――ミカねぇ相手ならちゃんと話せるんだけどなぁ
一抹の不安を抱いて俺はトリニティ総合学園の入学式へ向かうことにした。
***
校門の前に立った俺はトリニティの清雅な校舎と重厚な門を前に言葉を失ってしまうほどの感動をしていた。
英国風の建物と現代的な高層ビルが目には入り切らないほど広がっており、興奮と好奇心に駆られて探索してみたくなるのだが…今日は入学式だし、遅れないように先に校舎に入っておこう。
そう思ってまだ案内係の人がいない時間に中に入ってしまった俺は一一一やけに豪華な廊下のど真ん中で迷子になってしまった。
最初は道なりに進めば入学式会場に辿り着けると思っていたのだが…道なりに進むどころか複雑な構造をしているので自分がどこにいるのかも分からずに突き進んだ結果だ。
心做しか進めば進むほど装飾が豪華になっている気がするし人影もない。
一体どうすれば良いのか分からないまま廊下の奥へ歩くと、大きな扉を見つけた。
扉の奥から外の空気を感じた俺はきっとここから外に出られるのだろうと思い扉を開けると――――――そこは大きなテラスで、真ん中にある大きな机と3つの席が汚れ1つない状態で置かれていた。
「まさか…ティーパーティーの席…?」
そう呟くと横から「ええ、そちらはティーパーティーの席となっていますが…何か御用でもありましたか?」
という声が聞こえた。
恐る恐る横を向くとそこには大きな白い翼と腰まで届く長いクリーム色の髪をした女性が立っていた。
―――ナギサ…様…?
まさかこんなところで会うとは思ってもいなかった俺はコミュ障全開で…
「こ、こんにちは!えっと、まさかティーパーティーホストの方に会えるだなんて、光栄です!!!」
「まだ私はティーパーティー補佐ですし、時刻は朝8時ですよ?」
そう言いながら何か疑う目を向けられる。
―――やらかした!余計なこと言った!!
そう思い焦りながらも入学式会場へ辿り着くことができずに迷子になってしまい意図せずここにたどり着いてしまったことを何とか伝えると、ナギサからの疑いの目は無くなった。
―――よかった…下手に疑われたままだと補習授業部送りにされるかもしれないところだった…
そう安堵したのもつかの間、入学式までまだまだ時間があるので紅茶を出されながらお話をすることになった。
会場までの道は教えてもらったのですぐに別れると思っていたのだが…どうやら興味を持たれたらしい。
―――やっぱり疑いは晴れなかったか…?
そう思い緊張していると、彼女はこう切り出した。
「実は私、悩みがあるんです。」
「私の大切な幼馴染と喧嘩してしまいまして…どうか相談に乗ってくれませんか?聖園カレンさん。」
名乗って無いのに…なぜ名前を知られているんだ…?
「ええと…なぜ名前をご存知なんですか?私いつか名乗りましたっけ…?」
「ふふ、あなたのことは私の幼馴染、ミカさんから聞いていますからね。」
―――ああ、なるほど。
そう考えると納得出来る。
「それで…悩み事の件なのですが…どうか仲裁をしていただけないでしょうか?」
記憶を掘り返すと少し前にミカねぇにモモトークでグチられていたのを思い出す。
ああ、あれか…ナギサ様昆布茶取り違い事件。
ナギサ様昆布茶取り違い事件一一一一ナギサ様がティーパーティーの方に出す紅茶を茶葉では無く昆布から作るという間違いをしてしまい、ミカねぇに散々煽られた結果キレて口に無理やりロールケーキを詰め込んでそのまま別れてしまった事件だ。
『あの程度でそこまでキレるなんて、ありえないじゃんね☆』
なんて言ってたが割と悪いのはミカねぇな気がする…
そう思いながらもナギサ様の話を聞くと裏で様々な事情があったことが判明した。
激務で体調を崩した状態だったため昆布と茶葉が判別できずにそのままま入れてしまったこと、口に無理やりロールケーキを詰め込んだのは体調不良で精神が不安定だったこと…などティーパーティーの補佐って大変なんだなぁと遠い目をしているとこんなことを言われる。
「それに最近、どこに行っているのか分からない時があって…心配しているのですが…妹のカレンさんからミカさんにどこに行っているのか聞いてくださいませんか?」
「はい、お任せ下さい!」
「仲裁の件も含めてお願いしますね。」
そんなことを話していると入学式の集合時間まで残り30分を切っていることに気づいた。
「もうこんな時間ですので…そろそろ行かせてもらいますね。」
「はい、相談に乗って下さりありがとうございました。
………最後に、一つだけ質問をしてもいいですか?」
「いいですけど…」
今まで穏和な雰囲気から打って変わってこちらを見定めるような雰囲気になり、動揺して不貞腐れたような返事をしてしまう。
「聖園カレンさん、あなたは何を目的にトリニティに入学したのですか?」
この世界に来る前からそんなものはとっくに決まっている。
「私は、トリニティとゲヘナが手を取り合って青春を謳歌できる一一一そんな未来を実現するために入学しました。」
あんな両親の言いなりになるのではなく、トリニティとゲヘナの透き通った
例え大切な姉やその友人が敵になってしまったとしても一一一
そう答えてからナギサ様はまた穏和な雰囲気に戻り…こちらに微笑んでから背を向けてどこかへ去ってしまった。
***
無事に入学式を終え、1ヶ月が経った頃。
ミカねぇは行き先こそ答えてくれなかったが、無事ナギサ様と仲直り出来たようだ。
それに2人ともそれぞれパテル分派とフィリウス分派の偉い立場になれたようで、既に次期ティーパーティーの候補になっているそうだ。
そんな2人を横目に俺はというと――――
なんの派閥にも属していない半端者となっていた。
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