トリニティとゲヘナ、共通の敵が出来れば両校とも仲良くできるのでは?   作:ミカへの愛

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5話 ホシノの違和感

 

 

―――ここは…?

 

 ミカねぇとの話に夢中で砂漠のド真ん中にいるにも関わらず水の一滴も飲まなかった結果倒れてしまったようだ。

 

 雰囲気的に病院ではなく、アビドスの校舎だろう。

 

 辺りを見渡すと、体はこっちに向けているものの俯いているミカねぇと対面するように座るホシノ。

 

 ちょうど起きたことを伝えようとした瞬間、ホシノがミカねぇに声を掛ける。

 

「あなた達があそこで何をしていたのかは知らないけど…あの子が倒れたのは聖園ミカ、あなたのせいじゃないよ。」

 

―――そんなの、当たり前だよ。

 

 心の中でホシノに首肯する。

 あれがミカねぇなりにとってのできる限りの気遣いだったことは分かっているからだ。

 

「そっか…ありがとう。でも悪いのは私なのに変わりはないよ。」

 

―――ミカねぇが悪いわけないのに…

 

 なぜそこまで自責思考に陥ってしまっているのか。

 引っぱたいて元に戻してあげたいくらいだ。俺の力じゃ痛みすら感じないだろうけど。

 

「…私、1年前には先輩がいたんです」

 

―――1年前…ユメ先輩のことかな?

 

「え?」

 

 

「でもその先輩は私と喧嘩してしまってから行方不明になってしまったんです。」

 

―――行方不明…?ユメ先輩の遺体はホシノが確認してるはずじゃ…

 

 恐らく嘘と本当を混じえて話しているのだろうと考えることにした。

 

「最初はずっと後悔してました。なんであの時しょうもないことで喧嘩したのか、先輩がどこかへ行った後なんですぐ追いかけなかったのか。」

 

「それから1年間、先輩を探し続けましたが遺体どころか装備品のひとつも見つけられず、私のやってることは無駄なんじゃないかと思い始めていました。」

 

―――嘘では無いのでは…?

 

 こんな真剣な口調でホシノがユメ先輩に関する嘘を言うだろうか。

分からない。ずっとアビドスのことを忘れていたから。

 

「後悔は尽きません、ですがこのままではせっかく来てくれた後輩に悪いと思い捜索を諦めたんです。」

 

―――おかしい。

 

 諦める?ホシノがユメ先輩を?おかしすぎる。

 

 はっきりとは覚えていないが…原作ではこの時期のホシノはユメ先輩を諦めるだとか吹っ切れるだとかは絶対にしないはずだ。

 

「それで…何が言いたいの?」

 

 ミカねぇが俯きながらもぶっきらぼうに質問する。

 

「あなたは私と違って、まだ大切な人が残ってる。だからそんなこと考えてないで早くその大切な人を守れるようにして。ということです。」

 

 やはり違和感しかない。

 この違和感は記憶違いや解釈違いなどという言葉には当てはまらないものだ。

 

―――ホシノがユメ先輩を見つけられなかった世界線なんてあっただろうか、それとも俺の存在が巡り巡ってアビドスにまで…?

 

 今この場で考えても仕方ない思考が頭の中で回る。

 

「そんなこと、言われなくても分かってるよ!でも私はあそこでカレンに――――「ちゃんと守れてるじゃないですか。」え?」

 

 正直、中学校の頃からずっとミカねぇに守らていた気がする。

 俺に色々と嫌がらせをしていた小学校の頃の同級生は卒業後、ミカねぇを見る度に小さく悲鳴を上げてその場を去っていくようなこともあった。

 

 俺の通っていた中学校は成績さえある程度取れるならばほとんど登校しなくても卒業できる仕組みだったため具体的に何をしていたのかは知らないけど…

 

 

「確かにあの子―――カレンさんは倒れてしまった。あんな砂漠の中で話し合うだなんて普通は有り得ない。けど、それがあなたにとってのカレンさんを守るための最善策だったんでしょ?」

 

―――間違いない。絶対その通りだ。

 

「…分からない。でも私のやったことがカレンが倒れるのに繋がったんだから、結果として最悪な一一一一」

 

一一一なんでミカねぇがそこまで追い詰められないといけないんだ。俺の事を守ろうとしただけなのに。

 

 そう思い無意識のうちに体を捩ってしまったらしい。

 わずかに布と布が擦れる音がすると、ホシノはこちらを見ることはしなかったが体が反応していた。

 

「はぁ…あなた、自己肯定感低すぎるよ。少なくとも、目の前のカレンさんはそう思って無いと思うんだけど。」

 

 その言葉にミカねぇは今まで俯いていた顔を勢いよく上げ、俺と目が合う。

 

 ホシノもこちらを見ているこの状況で俺は一一一

 

 

「えっと…おはよう、ございます?」

 

 テンパってしまいコミュ障が発動した。

 何がおはようだ。太陽はもう傾き始めてる時間帯になってるというのに。

 

「カレン!良かった…体におかしいところは無い?」

 

 そんな発言を全く気にすることなくミカねぇは俺を心配してくれる。

 

「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう。」

 

 安静にしていたおかげでもはや倦怠感もほとんど無くなっていたため心の底からそう言えた。

 

「…あなた、どこから話聞いてたの?」

 

 少し目を細めたホシノに問いかけられる。

 

「あなた達があそこで何やってたのかは知らないけど―――から、です。」

 

 隠しても仕方がないので正直に言ったのだが…ミカねぇが一瞬愕然とした表情した後、また俯いてしまったがすぐに顔を上げる。

 

 その顔はとても辛そうで、先ほどまでは俯いていたから分からなかったがずっとこんな顔をしていたのだろう。

 

「えっと、えっと…ごめんね、あんなことして。お姉ちゃん失格かもしれないけど、どうかまだ一緒にいさせてくれたら嬉しいなって――――――」

 

―――…?

 

 突然過ぎて反応が言語化することができなかった。

 

 こういう時、何をするのが正解なのかが分からなかったので直感と衝動に身を任せることにした。

 

「えいっ」

 

 そう言いミカねぇを抱きしめる。

 抱きしめると同時に柔らかくて暖かい感覚と一一一肩に冷たい涙が落ちてくる感覚の両方を同時に感じる。

 

「カレン…?何してるの?」

 

「うーん、センチメンタルなお姫様に癒しを与えてる?」

 

 先ほどまでの表情はまさに悲劇のヒロインとでも言えるくらい辛そうだった。

 ずっと前にミカねぇに教えてもらった劇のストーリーにこんなシーンがあった気がするなぁと、あとから思い出しながらも抱きしめる力を緩めない。

 

「私はね、ミカねぇがお姉ちゃん失格だなんて産まれてから一度も思ったことは無いし、ミカねぇの妹ととして生きてこれたことを喜んでるくらいなんだよ。」

 

 紛れも無い本心を面と向かってミカねぇに伝える。

 そうすると突然のことにまた驚いて少しの間フリーズした後――――

 

「本当に…?私はカレンのお姉ちゃんとしてちゃんと出来てた…?」

 

―――当たり前だよ

 

 などと今日だけで何度も思う。

 

「うん!ミカねぇは最高のお姉ちゃんだよ!」

 

 できる限りの笑みを浮かべてそう答えた俺にミカねぇはまた少しの間だけフリーズした後、はにかんだように笑った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 あれからトイレに行くと言って保健室から離れた俺は校内を探索することにした。

 

 理由はホシノの違和感だ。

 

 ホシノと言えば人前では一人称がおじさんでユメ先輩の形見である黒い盾を肌身離さず持っているイメージがあったのだが…

 

 

―――目付きは鋭いままで『おじさん』とは程遠いし、この時点でユメ先輩を諦めるだなんて何が狂ったんだ?

 

 そう思い何があったのかを調べるため、何か過去を探れそうな物がある部屋―――生徒会室に向かうことにした。

 

 ちなみにアビドスでは男子トイレと多目的トイレの両方が閉鎖されていて女子トイレしか無かった。俺が女子トイレに入るのは未だに微妙な気分だが、邪な気持ちを抱いている訳では無いのでセーフ…のはず。

だがそうとなると原作の先生はどうしてたんだろうか…?

 

 なんてことはない考え事をしながら歩き回っていると「生徒会室」とくたびれたプレートに書かれた部屋を見つける。

 

 扉には鍵が掛かっていたが、開いている上の小窓から身を捩って入ることができた。

 

 中は特定の時間を指したまま止まっている時計や様々な資料や本が乱雑に積み上げられており、開いたままずっと放置されているような地図帳のようなものもある。

 その地図帳のとある地点にはバッテン印が付けられており、ページの端にはツルハシ、スコップ、水着…とメモが書かれている。

 

 これから分かるにユメ先輩とホシノの宝探しは行われたようだ。

 

 そして…半年くらい前の物だが、借金明細を見て驚いた。

 

 約4億8100万円、原作では10億近くあった借金が半分になっているのだ。

 法外な利子があるにしても半年で倍になるとは考えにくく…

 

 早々にホシノが悪い大人―――黒服と契約したのかと思ったが、そうしたのなら今この場には居ないだろうと打ち消される。

 

―――なら一体誰がこんなことを…?

 

 そんな疑問が浮かぶが考えられる要因としては1人、ホシノが行方不明と言っていたユメ先輩だろう。

 

 だが黒服が欲しがるのはホシノの持つ莫大な神秘であってユメ先輩への関心は研究対象としては薄いはずだ。

 

―――目的のためにも、いつかは黒服と接触する予定だからその時聞いてみることにしよう。

 

 そう計画を立てていると、窓から2人の影が校舎へ向かっているのが見える。

 

―――シロコとノノミだ!

 

 そろそろ頃合だと思っていたのでちょうど良い。

 急いで保健室に戻ることにした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 保健室に戻ると、そこには楽しそうに談笑するミカねぇとホシノがいた。

 

 

「カレンおかえり!ホシノとモモトーク交換はした?」

 

「私ほとんど話してないのでそんな暇なかったんですが…」

 

「そういえばそうだった!じゃあこれから仲良くなってね☆」

 

 どこかわざとらしい反応をしながらも俺がホシノと仲良くするように促すミカねぇ。

 

「まあ、別にいいですよ。早くスマホを出してください。」

 

 言われた通りにスマホを取りだしてモモトークを交換する。

 

「えっと、ホシノさんって呼んだ方がいいですか?それともホシノ先輩…?」

 

 原作では先生として接していたためそのまま呼んでいたが今は一個下の生徒だ。

 そのため呼び名を聞くことにした。

 

「…なんでもいいですよ。お好きなようにどうぞ。でも後輩の前では一一一」

 

 ガラガラガラ と横引きのドアと開ける音ともにベージュ色の長髪をした生徒一一一十六夜ノノミとその後ろから警戒するようにこちらを見る銀髪で狼のような耳を持つ生徒一一一砂狼シロコが入ってくる。

 

「ホシノ先輩!保健室にいたんですね!…とそちらの方々は…?」

 

 

「うへぇ〜ちょっと人助けをしてね〜」

 

 

―――人、変わりすぎじゃない?????

 

 




いつかリメイクします。
いつか。
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