私の名前はセイズ・ベルベット。フレイヤ・ファミリア所属レベル6の冒険者。ヘイズ・ベルベットの双子の姉。二つ名は戦乙女。数少ない女幹部にして転生者だ。私達を拾ってくれたフレイヤ様には感謝している。
ただ別に忠誠を誓っているわけではない。ミア店長ほど豪放磊落というわけではないがアレに近いスタンスだ。手段を選ばないやり方に辟易する時はあるけど、嫌いにはなり切れないというか。地を知っているので、どうも見捨て辛いというか。
双子の妹はそんな私のスタンスが理解出来ないみたいだけど。フレイヤ様は本当のところ眷属相手でも気易い関係望んでいるんだと思うんだよね。だからミアさんや酒場の同僚たちが特別なんだろうし。
ベルくんがオラリオきたらちゃっちゃとファミリア抜けるつもりだったけど…ベル君成長させるのが物語的に黒竜討伐に必要なんだろうし。派閥大戦の時に私まで敵にいたら流石に勝てない。
私はヘイズ・ベルベット。双子の姉は昔から見ているものが違う。フレイヤ様の眷属になる時も「いつか眷属から抜けることをお許しください」なんて条件を自分から付けたくらいだ。
あの娘に比べれば私なんてオマケみたいなものだろう。常にレベルで先にいかれてるし、私が求めて止まない武の才能も最初から持っていた上に私と同等以上の治癒師としての才能まで開花させたくらいだ。
7年前に【静寂】と【暴喰】と「契約」してから後にレベル6に上がってからはいよいよ団長様くらいしか相手にならなくなった。満たす煤者達の劣悪な労働環境を団長様やヘディン様、
フレイヤ様達に直訴して改善された。【洗礼】を「蛮族の行い」と唾棄し、「闘国と大差ない」と言い放ち頻度を減らした。幹部入りしてから他の幹部たちを次々に討ち倒していき、
どんどん立場を上げ、ミア旧団長が去ってから形成された今の体制を崩壊させてしまった。女神以外の女性を蔑んでいるアレン様が成す術無くボコられまくっているのは痛快だった。
だがとことん自由人として振る舞い、女神に対する最低限の敬意は有っても友人のように接するあの娘は私以外のほぼ全ての団員から睨まれていた。何より女神がその振る舞いを許していて、
団長様以外勝てる者も居ないのだから誰も正面から文句を言える者は居なかった。堂々と敵対派閥の人間とも付き合っているし、まあ私達女性団員は、男共と比べると別に
あの派閥に思うところは少ないのだが…やり合っているのは基本彼らだけだし。セイズなんて神ロキや【重傑】と一緒に酒を呑み合ったりもしているし、【恐怖の象徴】のように扱われている
【フレイヤ・ファミリア】の現役の団員の中で唯一と言っていいほど民衆に慕われている。今日も私室で伽ではないけどイチャコラしているらしい。
ヘルンのあの娘と同じ名前を冠する紛い物の魔法ではなく、団長以上の信頼を心から預けられる関係は正直羨ましすぎる。
「あぁんお店の仕事疲れたぁ!セイズ癒やしてぇ!」
「はいはい好きでやっていることとはいえ、きちんとお仕事頑張れたフレイヤ様はえらいですねー」
いつもの如く甘えてきたフレイヤ様を受け止めて膝に頭を乗せる。
「むぅ私は伽でもいいのに、全くいつになったら私の誘い受けてくれるのかしらね?同性とはいえ私の誘い断る眷属なんて貴女だけよ?」
ぷっくぅと膨れっ面になっているフレイヤ様アザトカワイイ。娘の時はしょっちゅうしていそうだけど。私が撫でているとだんだんニッコニコになってくる。
カリスマな主神様ばっか求めているあの脳筋には絶対見れないけど。ああ、堅物陰険眼鏡はこれに近いやつをベル君の時に見せられて脳破壊されたんだな。私だけ抜け駆けのフライングということか。ふふっざまぁ。
「私の性癖は異性愛なんで同性愛なんて非生産なモノはノーセンキューです」
まあ転生者据え置きっぽい魅了無効スキルがなきゃ抗えなかっただろうけど…
「神様はどちらにせよ人間と子供出来ないから関係ないのかもしれませんけどね、いっそ半人半神でも産まれてくれる世界だったらもっと楽出来たんですけどねえ
北欧神話の所には居ないけど…ヘラクレスとか居たら絶対最強ですよさいきおう」
「女神の栄光とか貴女の口からあの女の名前聞きたくないわ」
また膨れっ面になってもうた。まあ本当は男の名前なんですけどね…
「ああっもう拗ねないでくださいよー私は彼の女神サマに思うところなんてそんなにないですけどね?そもそも団長や店長らと違って会ったことすらないし…まあもし会ったら貴女を虐めてくれやがった意趣返しくらいはするかもですけど…」
「ふふっ頼もしいわね、【あの頃】に貴女が居たら少しは大きい顔出来たのかしら?」
「どうですかね、話聞く限りじゃ店長以外クソザコ扱いだったみたいだし、私と店長だけじゃ力関係変わんなかったんじゃないですかね?アルフィアさん達にはもう少し早く会ってみたかった気持ちもありますけど…」
「というかアルフィアさんみたいな気質の女傑がうじゃうじゃいた頃なんて考えたくないですよ。まあその頃と比べたらウチらが闇派閥に舐められていたのも当然の帰結ですよね」
「団長ボコボコにされていたらしいじゃないですか。私もそれくらい出来ればいいんですけどねえ」
今の時期深層イモムシとか大量発生してるだろうからあんま行きたくないんだよなあ。レベル7以上は当然目指すけど。
それに私…かなり頑張ったんじゃないかなあ…【ロキ】とかいう安牌ではなく、ちょいハードのフレイヤ・ファミリアから成り上がって…
【アストレア・ファミリア】生存させたし、フィルヴィスも人間のままだし…【イケロス】早めに潰せたし…異端児とも仲良くなれたし、リリも早めに助けられたしザルフィアまで生存しているし…
【フレイヤ】の状況もマシにはなったし…めっちゃ頑張ったんじゃないかなあ…ヘイズはなんかレベル5になってるけど。リリまで訳わからん強化されちゃったけど。
フレイヤ様ベル君に惚れるんだろうか…惚れるんだろうなあ…ザルフィアコンビに【アストレア・ファミリア】とも敵対するだろうしそろそろ脱退したい。
ヘスティア様とはちょくちょく会っている。仕事に慣れるまでの時期をちょくちょく手助けしていたので結構懐かれている。改宗するならやっぱヘスティア様かなあ…