転生者セイズ・ベルベットの憂鬱   作:エリス

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第12話 兄弟

セイズはガリバー兄弟とは結構仲が良い。セイズからは兄弟の実力はかなり低く見積もられているが…セイズは仲間想いの奴が好きだ。それは単なる同一眷属同士でもいいが、血の繋がった家族同士だと尚良い。

前世(かつて)非業の運命を辿ったある小人族(パルゥム)の姉弟に今世でも肩入れしてしまう程度には血の繋がりには思い入れが有った。彼女がアルフィアを慕う理由の多くでもあった。

そして(セイズ)と仲が良いから彼女から特に大事にされている(ヘイズ)には兄弟も結構肩入れしてしまう。

セイズがレベル6になり副団長の座をヘディンに明け渡しながらも、実質的なNo.2になったのを追うようにヘイズもレベル5になり幹部入りをした。

アレンがボコボコにされながらも(セイズ)(ヘイズ)への愛を語っているのを聞いていて、彼女は恥ずかしりながらも内心滅茶苦茶嬉しかった。

意外だったのは「女神より妹が大事」だと言っても同僚の誰も「不敬」とか否定せずに、ニヤニヤしながら自分たち姉妹を眺めていたことだ。

セイズが思っている以上にヘディンが「狂神者」と蔑むような輩は結構減っていた。そんな輩にまで辟易しながらも結構世話を焼いていた彼女の人徳の賜物であった。

 

「ヘイズ、お前はこの『緊急幹部会議』初めてだったな…」

 

「?定例のもあるのに『緊急』のも結構あるんですか?アルフリッグさ…ん」

 

ヘイズは「既に同格なのだから様付けは止めろ」と先日兄弟から言われたが、兄弟のほうが先達で歳上であったため「さん」付けに落ち着いていた。

 

「まあセイズからは『下らない会議する時間がムダ』と言われているのだがな。大体狼狽えたオッタル主導で行われる。セイズに任せておけばいいものを…」

 

「フレイヤ様は偶にふと『伴侶探し』のためにふらりと供なしで出ていってしまうのだ。ヘディン曰く『セイズが来てからは昔より減った』とのことなんだがな…」

 

「『話し合う時間がムダ』と最近では勝手にセイズも1人でフレイヤ様を追いかけて陰から見守っているらしいがな、あいつの隠密スキルはそのあたりで磨かれたらしい」

 

「もっと前の時は酷かったぞアレンのバカが『脱走出来ないようにフレイヤ様を鎖で縛り付けとけばいい』と吐き捨てたらセイズがキレてな…」

 

──────

 

「別に『フレイヤ様を利用する』って考えも構わないわよ、アンタ程度の雑魚がどれくらい利用出来てんのかって問題もあるけど。『女神を常に一番に考えろ』とか『命を懸けろ』とまでは言わない。

でもそれはあの方の願いを蔑ろにしていいことにはならない。もし本当に一方的に利用するだけで、主神の幸せすら願えなくなったら、ホント誰の眷属であっても変わらなくなっちゃうじゃん?

そんなん利用し合うだけの闇派閥(イヴィルス)のカス共と同じになっちゃうじゃん。私はあの方の我儘や「伴侶探し」も織り込み済みで幹部(このせき)着いてんの。見つかりっこないのが悲しいんだけどね…

でもそれはあの方を構成する核…神としての本能のようなものだから。どれだけ不毛でも、どんなに辟易しても決して眷属(アタシら)が否定まではしちゃダメなものなんだよ…

不満があるならとっとと脱退しろ。それか幹部辞めて下っ端に戻れ。今のアンタ如き誰も惜しまないからとっとと抜けろ。ホラぬーけーろっぬーけーろっ」

 

──────

 

「それでアレンもキレて手が出てだな…」

 

「そのまま反撃でボコられてまああとは察しだ…」

 

「バカな奴だ手が出た時点で負けだ、殴り合いで奴に勝てるわけがないのに」

 

「多分もうミアよりパワーがあるからなオッタルくらいだろうウチで勝てるの」

 

「あのアルフリッグさん達は姉さんのこと…」

 

「ああ、奴のことは気に入っているぞ、ぶっちゃけ団長も奴でいいと思っている」

 

「『性愛を司るあの方につまんないなんでもない男との一夜なんてマジでなんでもないから、昔はそんな男ばっか相手していたみたいだし、アンタらの負い目は何の意味もない、寧ろ不敬、処女厨キモい』

と散々な言われようだったが実際にその通りだったのだろうしな…」

 

「???何の話です?」

 

「いや、なんでもない───つまらん昔の恥だ」

 

「『伴侶』とやらもぶっちゃけ奴が立候補すればいいとは思っている、他の男とかだと殺しに行きそう、奴ならギリギリ嫉妬抑えられそう」

 

「「「それな」」」

 

「実際ヘディンの奴もそんな節あるしな…」

 

姉が意外に好かれていたことを実感するとどこかホッとする(ヘイズ)。尚会議自体は「セイズが行ったから大丈夫だろう」で終わった。こんなところで脳筋団長(オッタル)の人望は無くなっていくのである。

かつては幹部の座に憧れていたこともあるヘイズは姉が『抜けたい』言っている気持ちをほんの少し分かち合ってしまうのであった。

 

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