転生者セイズ・ベルベットの憂鬱   作:エリス

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第22話 ヴェルフ・クロッゾ

「えええ~ッ!?マナがリリさんッ!?」

 

戦いの後、すぐにセイズがさも今来たみたいな形で姿を現し、呆気に取られるロキ・ファミリアを尻目に回収して教会まで連れ帰ってから治療した。

ステイタスを更新したらレベル2にランクアップが可能となり、喜んでいたのも束の間、ベルに言われて逃げたマナナが現れ、変身を解き、セイズと共にネタバレをした。

ランクアップは発展アビリティはノータイムで【幸運】を選んでもらい、【英雄願望(アルゴノゥト)】もきちんと発現した。

 

「ええ、そうよ、ナイフ失くしたこともあったでしょ?それもこの()の仕業よ。まあ私の指示なんだけどね」

 

「えええっ!?ひっ酷いよっ…」

 

「人を信じられることは貴方の美徳かもしれないけど、なんでもかんでも、信じちゃダメなこと理解ったでしょう?幸い貴方のナイフは貴方以外が持っていても大して意味の無いモノだったから本当に悪意ある者が盗んでも売れなかったでしょうけど…」

 

「なんでも無条件で信じてしまってはお人好しというよりただの愚者(バカ)だ。わざわざリリルカほどの人材をお前1人に付ける意味をきちんと噛み締めることだ。ベル…」

 

アルフィアさんもやや厳し目に言う。(はた)から見たら滅茶苦茶過保護なことしてるもんな、レベル7の冒険者をレベル1にマンツーマンで付けるとか。もう2だけど。まあ当然贔屓も贔屓なのだが、そうするだけの理由が彼には有るわけで…

アルフィアさんも今は冷静な感じでスン…としているが帰って来た直後は、泣いて喜んでいた。

 

「あのっじゃあもう、マナは…僕と冒険してくれないのっ…?」

 

上目遣いに寂しそうに言う。このあたりが母性本能を擽るとでもいうのか。「弟適正が高い」とはこれか。

 

「まあ暫くはリリも忙しくは無さそうなんで、まだ変身したままサポーターとして付き合いますよ、呼び方は変身している時は今まで通りでお願いします。」

 

ミノタウロスの強化種程度リリルカのレベルを考えれば楽勝だったはずなのに、ベルに言われるがまま素直に逃げ出したことに違和感を覚えないでもない。

尚本人は俊足で地上に戻って眼晶(オクルス)からハラハラしながら眺めていた。それに横目に薄っすらと視えたあの戦いの光景…まるで話に聞く大昔の物語(アルゴノゥト)そのものだった。

自分にはそのような魔法もスキルもない。ロキ・ファミリアなわけないだろうし、*1それなら戦いの直後にタイミング良くすぐ迎えに来たセイズくらいしか犯人は居ないわけで…

なんだったんだろうアレは…いつか聞けたら良いんだけど…

 

「まあこれでリリのランクアップのレコードも抜いて世界最速になったわけだから、注目度も上がるだろうけど…凡百の虫共のちょっかいが増えるだろうけど…まあそれもそのうち落ち着くでしょう。

それに【ロキ】や【アストレア】、に当然【フレイヤ(ウチ)】も、そのあたりの上位陣は私らとの繋がりも知っているから『本当の強者たち』からも否が応でも注目される。

まあそのあたりは皆きちんと()()()()から直接妙な手出しはしてこないでしょうけど…」

 

「フフッ早く()()()()まで来てくださいね、ベルッ」

 

リリが蠱惑的に言う。

 

「レベル3になる頃には()()変わっているだろうから、その時は私と元の姿で堂々とデートしましょうね、ベル君っ♪」

 

ちょっと対抗心を見せたセイズも同じように言う。

 

「!!うんっ頑張るよッ!!」

 

その後は神会(デナトゥス)を経て、【リトル・ルーキー】という正史(ほんらい)と同じ二つ名を賜った。ロキ様はベルが私達の関係者と知っているので、あまり探りは入れてこなかったらしい。

フレイヤ様もそもそも、ステイタス以外の情報は結構私が漏らしているのであからさまに興味を持っている(ふう)は出さなかったようだ。酒場で小物に絡まれたが『リューさん』という従業員は居ないので代わりに私が払い除けた。

そうして正史(ほんらい)通りヴェルフ・クロッゾと契約をしたらしく教会に連れて来させた。

 

「やっほヴェルフーおひさーアンタの魔法滅茶苦茶役に立ったし、紹介した駆け出し達からも評判良いよー?」

 

「ゲッセイズさんっ…その切はお世話になりましたッ…」

 

ヴェルフはレベル1にしては間違いなく良い作品(モノ)を作れるので、懇意にしている派閥の新人に紹介して、壊滅的なネーミングセンスを出さないように銘を変えさせて売りに出させていたのだ。

【ウィル・オ・ウィスプ】もコピー済みだ。上層じゃまず使わないだろうが、竜の壺や、バロールなど深層には魔力攻撃してくる敵がうじゃうじゃいるので、どちゃくそ有用なのだ。彼の魔法は。

 

「『ゲッ』って何よ『ゲッ』って…ウチのヘグニがランクアップ出来たのもアンタの魔法のお陰だから。バロール知ってる?バロール、深層の階層主で単眼からやっばいビーム撃ってくるの、

アレにアンタの【ウィル・オ・ウィスプ】使ったら面白いように刺さってのたうち回っちゃってさぁケラケラ」

 

「そのうちベル君と一緒に直接倒しに行ってごらんなさいよ…上層あたりじゃ実感出来ないかアンタの魔法の有用性…それとも作品評価して欲しかった?」

 

「はあ、それはまあ…」

 

「それは追々ね…自身の産まれ持った才能(チカラ)を否定している内はヘファイストス様どころか椿さんの足元にも一生及ばないでしょうよ。私からは無理に『魔剣作れ』なんて言わないけど…今の時点ではザルドさん達も『顔合わせる気無い』だってさ」

 

要するに今の時点じゃ落第ということだ。まあそれも遠からず乗り越えるだろうし、彼の意地(ポリシー)が多少足を引っ張っても、今のリリが付いていれば万一もあるはずがない。

 

「え…なんで【暴喰】の名前が?」

 

「そりゃザルドさんはベル君の保護者で師匠の1人だからね、あ、ちなみに【静寂】のアルフィアさんはベル君の叔母で義母だから」

 

「ええええええええええっ!?」

 

「まあアンタは肩書にビビって怖気づいて、距離置くような奴じゃないでしょうよ、これからベル君のこと宜しく頼むわね」

 

実力じゃベル君のほうが上だが、年齢と社会経験は彼のほうが上だ。なにより貴重な同性の友人。もう少し腕上げたら私の武器を作らせるのもアリだ。

そうしてランクアップと共にパーティメンバーも獲得し、新たな体制でダンジョンに臨んで行くのであった。

*1
というかティオナが後から興奮して色々と質問してきた

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