転生者セイズ・ベルベットの憂鬱 作:エリス
「それでは今週の幹部会議を始めます」
フレイヤ・ファミリア幹部勢による週末恒例の定例会議。ヘイズが司会進行をする。かつてはセイズかヘディンが担当していたのだが、いちいち毒を吐くことも多い2人は不適格とされ当たり障りの無い人選でヘイズが選ばれた。
ヘイズに暴言を吐こうものなら最強の片割れたる
「今日の議題は…皆様何か有りますか?」
「はいはーい」
「はい、セイズ」
「『幹部資格の見直し』を提案します」
かつて「幹部降りろ」と言われたことのあるアレンがギクゥと動揺する。碌に喋らないオッタルと違いこの場の実質的な支配者は
「ヴァンとかレミリアあたり、そろそろランクアップしそうじゃん?あいつらには悪いけどこれ以上幹部増えても多すぎない?って思うわけ…私らもう普通に【ロキ】より強いんだし、向こうと同じ基準ってのもおかしいじゃない。
だから『幹部基準の見直しと引き上げ』を提案します。具体的には『レベル6から』ってことで。副団長の私はまだしも、レベル7の白黒君達は『たかだかレベル5』と同格に思われたくないでしょ?ヘディンなんて参謀も兼ねているんだし…」
ニヤニヤしながら四兄弟を見るセイズ…
「ふむ一理あるな…」
ヘディンが同意する。
「「「「ヘディンッ!?」」」」
「いい加減ランクアップしなさいよアンタ達、4人がかりで2レベル差くらい覆せない連携なんてなんの価値もないのよ、ソロがクソ強い
冗談交じりのイジりから始まってガツンと本題に切り込む。兄弟もフィンには及ばないとはいえ
それに兄弟達もベルを引き合いに出されたら弱い。「たかだかレベル3」なんて侮っていたらあっという間に追いつかれてしまう。眼の前のこいつに近い人種であることには違いない。こいつは成長速度と戦闘力以外も色々とぶっ壊れなのだが。
───とは言ったものの正直手詰まり感がある。こいつら面白いから割と気に入ってるし、それなりに肩入れしている方なのだが…いやぶっちゃけ1つだけ案はある。だが結局他人依存の案だし、こいつらの地力が伸びないことには意味が無い。
「フレイヤ様はどう思います?」
基本的に真面目な内容は殆ど無し、誰かしらがセイズ主導でイジられる糞のような会議だが偶にサラッと爆弾のような重要情報をセイズがもたらすことがあるので基本欠席は無い。
本来フレイヤが出る必要など全く無いのだが、傍で聞いていてそこそこ面白いので偶に暇潰しに顔を出すのだ。
重要でもなんでもない話でもサラッと崇拝対象の女神に話を振れるのもセイズだけである。オラリオ内では上澄みの第一級冒険者でも、幹部内では最弱という中途半端だが微妙に美味しいポジションの兄弟はイジられ易い。
「ガリバー兄弟がやられたようだな」「クク…奴らは幹部でも最弱」なんていう現代日本では使い古されたようなネタのやり取りでもこの世界の者には新鮮に映る時があるので結構ウケた。*1
神々にとっては全然新鮮でもなんでもなく普通に通用するときもあるが。
リリルカはフレイヤの許可も得ている顔パスのほぼ「名誉フレイヤ団員」なので、変身して四兄弟に紛れさせて1人増やして「馬鹿な5人居る!?」みたいなネタを仕込んだこともあった。
魂レベルで似ているのでフレイヤにすらごっちゃにされることもある四兄弟だが、フレイヤからなら
セイズとリリルカは兄弟を完璧に区別出来る特例だがそのセイズからしてもフレイヤが間違えるのは無理ないと思っている。魂レベルでもそっくりなのだ。
セイズは微妙に違う兄弟の鍛え方と体格、それに伴う気配の差異で区別している。口で説明しても誰にも理解されない。勘の良いオッタルでも無理だ。
ネタばらしした後に大抵全員がセイズから『仲間の区別も出来ないなんてサイテー』と揶揄されるが「あ、ヘイズはいいのよカワイイから」とか露骨な
心の奥底では「道化など真っ平ごめん」と思いつつも「女神の笑顔のためなら」と身体を張るのが
「そうねえ、確かにもうウチが最強なのは疑いようがないし、セイズがそう言うなら良いんじゃないかしら?」
「「「「フレイヤ様ッ!?」」」」
「別に私は『冒険者は強い奴だけが偉い』なんて思っていないけどさ、幹部の選定基準が戦闘力だけな以上もっと頑張って欲しいわけよ。黒竜相手にはアンタらが全員レベル6になったところで全く戦力にならないだろうし、ダンジョンでも4人分食うのに、
レベル6が1人分程度の働きじゃ不満なの。いっそ合体とか出来ないわけ?こう
ちなみにこの女
「幹部の面汚し」と言ったら少し前までのアレンがそうだったが、今では割と普通の扱いに戻っている。「
「セイズに自己犠牲紛いのことをさせたバカ兄妹」という評価だけは当分の間は拭えそうもない。アーニャはそもそもファミリアから距離を置いているし、