転生者セイズ・ベルベットの憂鬱 作:エリス
「【リトルルーキー】めぇどこ行きやがったんだい?」
フリュネ・ジャミールはベル・クラネルを探していた。だがそこに割り込む者が居た。
「はい、そこまでです、ふっとべカエルらしく」
セイズのハイキックがフリュネに決まり吹っ飛んで中央部の高い塔に突き刺さる。
「ゲェッ!聖女ッ…!?」
「レベル8になったって話だよな…」
流石に血の気の多いここの連中でも迂闊に飛び込むほどのバカは居ないか…
「あんたらの主神がコソコソ動いて邪法にまで手を伸ばして
「お前ら止めなっ!」
「…アイシャ!」
「あんな穴だらけの計画なんて万事上手くいってもそいつらには通用しないよッ!」
「向こうにはレベル6から8が2人ずつ居るんだい勝てるわけないだろうがっ!バカ共大半が魅了されてるんだろうがっ…!」
「──────【ディア・エイル】!」
最大限に幅を広げたセイズの回復魔法が歓楽街の魅了を解いていく。
「魅了されていた連中も正気に戻ったようだねっお前らよく聞くんだよっアタシは今までイシュタル様に無理矢理魅了させられていて、冷静な判断が出来なくなっていた」
「この中でも何人か反抗的な奴は魅了させられていただろう。いいかいっ?まだ少しでも勝ち目がある相手ならアタシだって怖気づきはしないさっ、でも今の
ウチで最強のフリュネですらあのザマだ。それに【
「ちなみに今は私と同格の【静寂】さんは長文詠唱魔法一発で歓楽街どころかオラリオの地上部分を一発で灰燼に帰せますからね?私も同じ魔法を継いでいるので似たようなことが出来ます。団長はそんな私達と同格です。」
「『かいじん』?ってなんだ…?」
「要するに魔法一発で大きな街とか滅ばせるようなレベルのが2人もいるファミリアなんですよ。団長は攻撃魔法そのものは持っていないですけど全力を出せば似たようなことは出来ます」
「私達に準ずるレベル7も2人。団長やそいつらに仮に上手くダメージ与えたとして、私が健在な限り治します。それで私を倒せそうなのは居ますかね?」
「イシュタルの言う『地下のバケモノ』は私1人にも通用しませんよ?」
聞けば聞くほど絶望的だ。盛った上での脅しでもなく単なる事実なのだろう。中堅
というか魔法職が少ないのは寧ろこちらだ。
魅了に酔っていたら「舐めやがって袋叩きにしちまえ!」とかなるところだが、あのフリュネより3つも上なのだ。更にバケモノ染みた第一級冒険者の他の幹部達もこの女と妹がいる限り難攻不落の不死身の戦士だ。
いくら血の気の多いアマゾネス達でも流石に分は弁えている。
「アタシも降りるーアイシャの言う通りだよーセイズにはアタシも世話になったしぃ友達だしぃ?」
「はぁ?レナ?」
「アンタいつの間に…」
まあそんな感じだ。ダンジョンで怪我していたレナちゃんを治療して以来懐かれてしまったのだ。
「既にギルドからイシュタルの『送還許可』は貰ってるから向かってくるならどうぞ?」
暗黒期に
「あ、それとフリュネのこと仲間だと思ってるなら一応治療くらいはしてやんなさい、多分大人しくなっているはずだから」
そんな様子を───副団長のタンムズ・ベリリは一部始終覗いていた。
「やばいやばいっ!あの女にはイシュタル様の魅了も効かなかったはずだし、早くイシュタル様を連れて逃げなければっ」
当然セイズは気付いていたが無視した。どうせ一本道で逃げ場などなかったからだ。
「普通、こういう時のために『秘密の脱出路』とか造っておくべきなんだけど…攻められる想定してないからないでしょうね…」
そうしてタンムズが通った道をそのまま辿って玉座の間に辿り着く。
「うおおおおおおおおおおお!」
タンムズが雄叫びを上げて向かってくる。
「へえ向かってくるんだ?確かに高潔だわ、感動的ね、だが無意味だ」
渾身の一撃もあっさり躱され額にデコピンを入れられる。それだけでノビてしまう。一応手加減はしている。フリュネ含めて。じゃないとその場で弾けるし。
「ぐっ…くそぉおおおおおおおお私とお前らとで何が違うんだ!?」
堂々とイシュタルに歩みを進めるセイズに対しイシュタルは睨みつけることしか出来ない。
「人望、品性、頭、若さ、運───他にまだ要ります?」
まあ人望に関しては当然イシュタルはほぼ0、フレイヤ様は外見と魅了を除いても一応眷属に慕われるだけの理由はあるのだ。
品性…
頭もぶっちゃけ大差ないけど、ブレーキ役になれる側近が1人も居ないからここまで酷くなってしまったというのもあるだろう。若さは単なる事実、運に関しては私が眷属に居る時点でフレイヤ様の運は滅茶苦茶良いし。
「じゃあ
そして無造作にイシュタルを掴むとぽーいと雑に外に投げ捨てる。5階くらいの高さだったのでそのまま地面に激突して光の柱になって送還される。
「さて、後はベル君とバカ