転生者セイズ・ベルベットの憂鬱   作:エリス

5 / 35
第5話 6年前

都市ですぐにやるべきことを終わらせたのでベル君に会いに行ったアルフィアさんを追おうと思ったが、預けた眼晶(オクルス)から「お前は来るな、都市で鍛え続けろ」と言われてしまった。

実際にザルドさんは都市に残っている。最近毒も解毒し切った。同格になった団長とよく模擬戦をしている。成り行きでエレボス様の眷属になったらしいけど。

まああの(ひと)あんま好きじゃないんだけど。大嫌いなヘルメスと仲良いし…お二方を思い留まらせてくれた恩があるので一応敬意は向けている。

眷属2人だけなので【エレボス・ファミリア】は名乗っていない。当代の最強の1人が眷属なので誰にも無視できないが。そこそこの物件を見繕って3人のホームとしたらしい。

私の方はアストレア・ファミリアと共同して闇派閥(イヴィルス)の残党を執拗に叩いているが。そうして1年経った頃───この【原作6年前】もそれなりに事件がある。

1つは【ヴィーザル・ファミリアのセレニア氏死亡事件】だ。ベートさんがオラリオから脱出した時からずっと彼らを張り続けセレニア氏が深手を負ったタイミングで偶然を装って前に出て治療してあげた。

勘の鋭い獣人が多いので尾行には少し苦労したが、私は隠密向けのスキルまであるので、なんとかバレずに済んだ。ベートさんが戻ってきた頃にはセレニア氏を失いかけたことで彼らは責任を感じ、結局ベートさんら2人を残して都市を出てしまった。

リーネちゃんやレナちゃんには悪いが日頃から命を張っているオラリオにいる全部の冒険者を私の手で助けることなんて出来ないが、死ぬタイミングまで分かっている人になら全力で手を伸ばす。

ベートさんらは私に感謝して【フレイヤ】に入団しようとしたが、流石に断って【ロキ】を紹介しておいた。恋人が存命しているので正史(ほんらい)より丸いままで、順調に馴染んでいっているらしい。

セレニアさんも元々ファミリアの中心人物だったので、それなりに才能があり、順調に成長しているらしい。二つ名は【灰狼(フェンリス)】のままだ。

そして【27階層の悪夢】…ヴァレッタしぶとく生きているから起きるんだろうなあ…この時期は警戒が必要だったからアルフィアさんにも戻ってきてもらった。

ちなみに改宗の際に「ロキもフレイヤもエレボスも嫌だからお前のオススメの神を紹介してくれ」と言われたのでデメテル様を紹介しておいた。更新したら病気の完治が確認されたらしい。やはり例の母の力(マザーパワー)か…

ヘスティア様ともヘラ様ともフレイヤ様とも関係が深い神なので一番角が立たないだろう。ルノアも恩恵貰うだけの関係なのでそんな眷属があと1人くらい増えても構わないだろう。

都市の破壊者(エニュオ)が暗躍することになるかは判らないが、今の彼女なら怪人(クリーチャー)フィルヴィスと対峙しても単騎で勝てるだろうし。

【アストレア・ファミリア壊滅事件】のジャガーノートの方だけなら私だけでもなんとかなるが、27階層の方は最終的に精霊の分身(デミ・スピリット)が出てくるので今の私だけじゃ無理だ。

だがそれもあの2人が居ればなんとかなる。私の「フレイヤ様にも禁止されている奥の手」の使用も考えたが、その必要はないだろう。表向きの【切り札】は使えるが。

何度か会っているフィルヴィスは確実にレベル6以上に到れる器だ。みすみす犠牲にはさせない。私はザルドさんやアルフィアさんらに鍛えられながら「その時」を待った。

そうして「その騒ぎ」が起こった時私らはフィンさんに闇派閥(イヴィルス)の本拠に突入する戦力として見込まれていたのか待機を命じられていたのだが、無視して27階層に突入して行った。

私は切り札の1つを切って派手に暴れた。モンスターの大群も私ら3人が居れば物の数にもならないし、アンフィス・バエナも紅霧を広げる前にアルフィアさんの魔法一撃で死んだ。

病気のないアルフィアさんマジぱねぇっす。私は後方支援と治療を優先して動いた。そうしてあらかた片付いて冒険者の大半が撤退を始めていたところでアレが現れた。

近くに居たディオニュソス・ファミリアの何人かが深手を負わされたが私が素早く治療して退かせた。

 

「ほう…なかなかの威圧感…病気のまま本体相手だったら私でも危なかったな…所詮は分身らしいが」

 

「ザルドさん…流石に食ったらどうなるか判んないので止めてくださいよ…?」

 

「わぁってるよでも毒は無さそうだし…ダメか?」

 

「ダメだ!」「ダメです!」

 

私のチートスキルその2は「自身の基礎アビリティを貸し与えその対価に契約者の発展アビリティか魔法かスキルをコピー出来る」というものだ。「契約出来るのは私が真に勇士或いは勇士候補と見做せる者のみ」という条件も有るが。

その能力の強さに応じて貸し与えるアビリティの数字は重くなる。尚相対する契約者側からは『私の方が遵守するべき契約」を結ぶことも出来る。互いの口に出しての合意が必要なので「土壇場で私の方に無茶苦茶な条件を呑ませる」なんてことは無理だ。

ザルドさんからは「黒竜退治に真摯であれ」、団長からはシンプルに「強くなれ」、リヴェリアさんからは「【フレイヤ】在籍中には【ロキ・ファミリア】とは敵対しない」、アーディからは「自分が正しいと思うことに使って」と。

ヘディンからは「フレイヤ様を裏切るな」、アリーゼからは「自分の思うがままに生きて」、アルフィアさんからは何も無かった。てっきり「ベルを守れ」とかだと思っていたのだが。私の生き方を縛りたくなかったらしい。

リリからは「捨てないで」だった。リリの【変身魔法(シンダーエラ)】はオール100、アルフィアさんの【サタナス・ヴェーリオン】はオール300、【静寂の園(シレンティウム・エデン)】はオール400、

【ジェノス・アンジェラス】はオール500だった。アイズの【エアリアル】はオール1000くらい持っていかれそうだったので止めた。どうも精霊関係は高いらしい。ヴェルフの【クロッゾ・ブラッド】も止めたほうが良いだろうな。

ちなみに契約者の死後には私の所に魂が来るらしい。その際貸し与えたアビリティも返して貰い能力の全てが貰えるらしい。まだ1人も死んでいないので実例がないが。

私はこの「能力集め」をレベルが上がってからも行っているから経験値補正スキルが有る割にランクアップ速度はそこそこ程度だ。

一番効率が良いのは一番アビリティが上がりやすいレベル1の時に集めまくることなのだが、いつまでもレベル1に留まっているような雑魚が信頼してもらえるわけがない。

まあ確かに【戦乙女(ヴァルキュリア)】だな、これは…他所には無差別にはバラせないが。後、基本出力はオリジナルの8割くらいの性能になるのだが、

契約者との信頼関係に応じて性能も向上する。まあ私のレベルにも勿論依存するから、強くなれば気にならなくなるだろうが。

ちなみにヘディンの魔法は意外にも100%くらいを確保出来ている。まあ能力の高さは互いに信用し合っているしな。ちなみにアルフィアさんのは140%くらいだ。

「契約」に関してはそれぞれの性格が出ていて面白い。アリーゼとかアーディとか実質縛り0だし有り難い。リリはいじらしくて可愛い。「フレイヤ様を裏切らずにファミリア脱退」は多分出来るだろう。

「あんなやり方」でベル君手に入れても幸せになれるはずないからだ。このへんの見解は未来のヘディンと一致するだろうな。このスキルの都合上アルフィアさんは私のことを「自身の後継者」と見込んでいるらしい。まあそのまま魔法継いでいるしな…

それから私達は前衛ザルドさん中衛アルフィアさん、後衛私のほぼ最強の布陣で討伐した。そうして私はレベル6になった。




27階層のデミスピの情報は乏しいので戦闘描写スキップ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。