転生者セイズ・ベルベットの憂鬱   作:エリス

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第7話 いつかのメリーディオニュソス

「神ディオニュソスが…?」

 

「ああ、どうにかならないかな、セイズ…」

 

「まあ『酔い覚まし』には慣れているから、ロキ様や神酒(ソーマ)中毒者相手で…『酒と酩酊の神』から酔いを祓ったら…彼の本音も見えてくるんじゃないかしら…」

 

『27階層事件』から助けたフィルヴィスから相談された。「主神(ディオニュソス)様が呑んだくれになったからどうにかならないか」と。

最後に彼らが見た見た怪物についてはギルドというかウラノス様から直々に箝口令が敷かれた。まあアレ本体の解決は未来の私達に任せるとしよう。

 

そうして案内された【ディオニュソス・ファミリア】のワインセラー。そこで「都市の破壊者(エニュオ)をいつかのどこかで名乗っていていたかもしれない神」は酔いつぶれていた。

 

「えにゅお~ぐへ~」

 

「【我が名は戦乙女。不朽を誓いし女神(かみ)の娘にして朋友(とも)。求めるは解毒。その光輝は酔いを覚ます。消えろ、覚めろ、覚めろ。我が身は異邦の聖女にして終焉の乙女、争いなき楽園ををここに】【ディア・エイル】」

 

「───せっかく酔ってこのクソみたいな現実から背けていられたのに余計なことしてくれるじゃあないかぁ糞聖女…!」

 

「伊達男の仮面も取り繕えていないですよ自分が【都市の破壊者(エニュオ)】とかいう痛々しい名前名乗って全てを黒幕気取りで暗躍する楽しい夢でも視ていましたか?どうせそれロキ様に敗北するんで貴方が求める狂乱(オルギア)なんてこの地上のどこでも叶いっこないですよ…消えかけた自身の眷属の恩恵が私の手で戻ってきたのがそんなにショックでしたか?」

 

「ああ、そうだよクソッタレめ!どうせ黒竜がどうするまでもなくお前らはダンジョンに呑まれる!私はソレを天界(うえ)で楽しく見物していようじゃないかぁ!」

 

そうして急に神威を高めるディオニュソス。

 

「!?いけない!皆退いて!」

 

「アハハハハハハハァ!」

 

そのまま耳障りな哄笑を響かせて光の柱に変わっていくディオニュソス。展開早すぎだろう…天井もぶち抜いたし、ちょっとした騒ぎになった。酔い覚ましただけでこうなるとは思っていなかった。

まあ彼も酔って善神のフリだけするのはいい加減限界だったということだろう。団長やフィルヴィスらも目撃していたので見ていなかった他の団員にも彼らが説明し、ディオニュソス・ファミリアはそのまま解散の運びになった。

6年後ほど民衆に慕われているわけじゃなさそうだったので、送還云々の方を私の方にそこまで追求されることは無かった。まあそれだけ私の信用が高いということだ。

 

「───今までのディオニュソス様は嘘だったのか…?」

 

「まあわざわざあんなヤバい酒用意して別人格作っていたみたいだから…『そっち』の(かた)は本当に尊敬出来る神格(じんかく)だったのは間違いないんじゃない?」

 

「まあ「嘘か?」って聞かれたら『そうだ』としか答えられないわね、あの醜悪な方が本性で主人格だったのは間違いないから」

 

「どいつもこいつも神々なんて殆どが腹に一物持っているような奴ばっかりよ『狂乱と陶酔の神』なんてどう考えてもマトモなわけないの判りきっていたし。

ちなみに貴女の二つ名の【マイナデス】って碌でもない逸話しかないんだからね本当は…」

 

フィルヴィスを元気づけるために前世(かつて)の知識を総動員して、神話を語っていく。

 

「ふむ、『神話』か面白い概念だな、神デメテルとか大らかだが、怒らせると恐い一面もあるのだな…」

 

「そうよぉでも私は『知識』は参考にしても実際の人となりを見てからきちんと判断するからね、だからデメテル様には普通に甘えまくってるわよ、フレイヤ様と復縁させたら感謝されたし」

 

「だが『その知識』この地上で知る者はお前以外居ないんじゃないか?」

 

「…ちょっとサービスし過ぎちゃったかしらね…貴女とこうして笑顔で語り合っていられるのも奇跡みたいな時間だから本当は…それで次のファミリアどうするの?貴女ならどこに推薦してあげてもいいわよ」

 

「じゃあフ‥「ダメ」早いなオイ…『有望な弟子』とやらも自分のとこには入れようとしなかったし、何故そこまで拒むんだ」

 

「あそこはいつか私と敵対する可能性が高いから、『あそこが一番輝ける』って言い切れるくらい適性高い人でもない限りお断りなの。まあ貴女ならウチでも大成出来るでしょうけど。『洗礼』減らせたし。」

 

「???お前は神フレイヤのことを慕っているんじゃないのか?」

 

「慕っているからこそダメなの。本神(ほんにん)が後で絶対不幸になるやり方なんて認められないわ…黒竜で詰む可能性も高いし」

 

「それに先程の『神話』…神ロキや神フレイヤのことは頑なに話さなかったが…知らないわけじゃないんだろう?」

 

「うんまあ…フレイヤ様の方は単なる『身内の恥』っつーか流石に勝手に話すのは可哀想に思って…ロキ様は…『神話』だとマジ糞オブクソっつーか『悪神筆頭』って感じだけど…地上に来てから眷属が可愛くて満喫しているのは間違いないから…天界だとよっぽど退屈で…今の方が素なんでしょうね、きっと…だから酒癖とセクハラはどうしようもないけど今は間違いなく眷属を愛してくれる良いお方だから…【ロキ・ファミリア】に推薦したいの貴女のことは…あと更にサービスしておくと3年後くらいに【学区】からやって来るウィーシェの森出身の山吹色のエルフ…すっごい才能の持ち主で、でもポンコツで思い込みが激しいところもあるけど…良い()だから…貴女と相性は絶対良くて生涯の友になれるはずだから、その()のこと導いてあげて?」

 

「そうか…だが私の方もお前のことは親友だと思っているぞ?」

 

「ええ…私達はマブよっマブダチッ」

 

手を握り合うセイズとフィルヴィス。

 

その後はフィルヴィスには無難に【ロキ・ファミリア】を紹介しておいた。

他の面々は数が多すぎたので各々に任せた。

まあ数年後にはレベル6くらいの幹部になって立派にリヴェリアさんの右腕にでもなってレフィーヤとイチャコラ百合百合しているだろう。

彼女は普通にロキ・フレイヤ幹部陣に並ぶくらいの才能は有る上に、魂の方は言うまでもなく、気高く綺麗だ。フレイヤ様に【ロキ】仲介したことバレたらむくれられるだろうな…

以前仲介したこの世界のベートさんはロキ・ファミリア的にも大当たりっぽいので、まあ今回も期待されるだろうなあ。大手のほうが普通にレベル上げ易いし。レフィーヤ、アイズよりフィルヴィスだけに憧れちゃうんじゃないかな…

いや彼女らは前世(かつて)からの縁もあるから多分そこは変わらないか。アイズは元々脳筋だし、「フレイヤ適性」普通に高めだし…憧れるのならフィルヴィスだけで良いと思うんだけどねえ…

 




レ「フィルヴィスさんとられたぁ~」
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