転生者セイズ・ベルベットの憂鬱   作:エリス

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第8話 【疾風】の独白

リュー・リオンにとってセイズ・ベルベットには返しきれない恩が2つある。

1つ目は友人(アーディ)の命の恩人であること。

闇派閥(イヴィルス)の策略で子供を使った自爆攻撃を仕掛けてきた瞬間───アーディを咄嗟に引いて庇ったが、その子供と自分自身は爆発に巻き込まれ、普段の美しい顔が見る影もなく、焼け爛れた。

だがそのまま自身の魔法を詠唱すると子供も自分自身もそのまま癒やして不死鳥の如く蘇った。

 

「頭と喉さえ無事ならいくらでも蘇れる」と言って。普段の言動からすんなり肯定はしにくいが彼女が「聖女」と呼ばれることも当然だと思っている。その実力も在り方も。好きにはなれないが尊敬はしているのだ。

 

2度目はあの日、ルドラ・ファミリアを追ってやって来た30階層───アレの性能(スペック)を考えれば、本来はファミリア全滅の危機だっただろう───生き残れていたとしてもせいぜい1人か2人…

当時【派遣】と称してアストレア・ファミリアに同行していたセイズ…彼女が居れば行軍が楽になるのも事実だったので、そのまま同行を許していた。

ルドラ・ファミリアによる爆破にも動揺することもなく直後に現れたアレを【ジャガーノート】と称し、全員に「足手まといだから退け」と怒鳴り、真っ先に斬り結びに行った。

「魔法を跳ね返すから援護も要らない」と怒鳴り込んで、恐ろしい速さで斬り結んでいった。「アレンよりは遅い」とぼやきながら───「自分達だけで逃げろ」なんて素直に聞けるはずもなく、しかし自分たちの所に一切通すこともなくそのまま討伐してしまった。

アレ以来ファミリア全員が彼女の言うことはすんなり聞くようになったが、白状すれば───あの時私は彼女に見惚れていた。憧れたのだ。自身も他人もどんな重傷からも癒やす規格外の回復魔法、

初めて見た剣士としての全力───今では彼女の【切り札】もある程度は把握しているので「絶対に【フレイヤ・ファミリア】とは敵対しないように」と皆で誓った。

「そのうちファミリア抜けたい」とよくぼやいているし、「早く【アストレア・ファミリア(ウチ)】来てくんないかなあ」とか皆思っている。私も思っている。

「昔からよく構ってくれるのは移籍先として候補に入れていたからでは?」と思わなくもない。「男率が高い【フレイヤ】よりは女性しかいない【アストレア】の方が良い」と思っても不思議ではないし。

今はウチもレベル6が4人にもなったし、彼女の能力を持て余すことはないはず…ウチは別に「女性限定」としているわけではないのだが、一切男は入ってこない。

「ハーレム状態」と言えば聞こえは良いが、実際に自分より強い女性だらけだったら男1人じゃ肩身が狭くなるから当然だろう。セイズが回してくるのも女性だけだし。

最初は警戒していた輝夜もライラも今じゃ絆されているっぽいし。まあライラの場合はリリルカを託されたこともあるだろうが。リリルカは、ウチに預けられてから恐ろしい速度で成長していき、

今ではレベル5のライラを抜いて私やセイズや【勇者(ブレイバー)】とも同格のレベル6だ。一応ウチの幹部格に数えられているが、セイズがどこかに改宗(コンバージョン)すればそこについていく気っぽい。

セイズがウチ来てくれればなんの問題もないのに…

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