グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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今日も今日とて、トレーナー修行を頑張る俺。

さーて、今日はどんな出来事が待ってんのかな?


第9話 〜トレーナーの極意、3対3のバトル!(前編)〜

「よーしみんな、ポフィン食うかー?」

「タージャ!」

「ムクバード♪」

「ミ、ロ♪」

各々の口にポフィンを放り込む。

 

「ミィ♪」

どうやら喜んでくれたようだ、っていうか……何故涙目に?

ここ数日でわかったのだが、このミロカロスは随分と泣き虫……というか涙もろいようだ。

 

「キル〜」

「? どうしたキルリア、お前も欲しいのか?」

「キル♪」

「いいぞ。確かキルリア用のが……」

「アンタ、キルリア用のも持ってるの?」

「いろんなポケモンのポフィンを作りたいと思ったからな。

 とりあえず、カレン達の手持ちポケモン達用のポフィンは作ってみたぞ」

「本当ですか?」

「意外な特技ね……アンタトレーナーよりブリーダーやコーディネーターの方が向いてるんじゃないの?」

「それは無理、俺の目標はあくまでトレーナーだからな」

「キル〜♪」

「おっ、上手いかキルリア?」

「キル!」

こくこくと頷くキルリア、どうやら気に入ってくれたようだ。

 

「アヤト、このポフィンやろうか?」

「いいのか?」

「もち。だってキルリアはお前のポケモンだろ?

 ならこのポフィンはお前が持ってた方がいいさ」

「悪いな……」

「それにしても……アヤトのキルリア、グリードさんに凄く懐いてますね」

「確かに……アヤトより懐いてるんじゃない?」

「……グリード、もしお前がよければキルリアをお前のポケモンにしてもいいが……」

「何言ってんだ、キルリアはお前の大事な仲間だろ?」

「だが、キルリアはお前に懐いてるし、その方がいいんじゃないか?」

「確かに懐いてくれてはいるけど、キルリアとお前の絆の方が強いさ」

 

懐くのと絆が強いのとはまた違う。

俺も少しはポケモンの事がわかってきたけど、アヤトとキルリアの絆は凄く強い。

俺のポケモンになっても、きっと俺じゃあ十二分にキルリアの力を引き出す事はできないだろう。

あくまで、俺ではなくアヤトではなければダメなのだ。

 

「そうか……」

「そうだよ。それに……やっぱり自分の力でゲットしたいんだ。

 ――こいつらみたいにな」

「………タジャ」

「ムクバーッ♪」

「ミロ♪」

「そうか……そうだな」

「でもグリードさんのポケモン、大分充実してきましたね。

 これから、四日後の試験も大丈夫そうです」

「…………へ?」

 

試験?

ちょっと待て、そんな話聞いてない……。

 

「アンタ知らないの? 四日後にはトーナメント形式のポケモンバトルがあるのよ?」

「えっ、だって、そんな話言ってない……」

「掲示板に張り出されてるぞ、定期的にチェックするのはこの学園では常識だ」

「…………」

 

無情な言葉が、俺の胸に突き刺さっていく。

掲示板を見ろって言われても……常識だなんて言われても……知らなかったんだからしょうがないじゃないか。

 

「………タジャ」

ツタージャ、その呆れたような視線とため息はなんだ!?

「バトルは3体3のシングルバトル、交代はどちらも自由。

 ――そんなに気を落とすな、まだ四日ある」

「うぅ……簡単に言ってくれるよな」

 

ムクバードはまだブレイブバードを完成させてはいない。

ツタージャもミロカロスは確実に強くなっているけど、俺自身はまだまだ弱いのに試験だなんて……。

 

「トーナメント形式って言ってたけど……一回戦負けしたら、補習とかになるのか?」

「必ずそうなると決まっているわけじゃない、バトル内容にもよるが……可能性としては高いだろうな」

「…………」

 

嫌だ。

補習になんてなってたまるか。

 

「ツタージャ、ムクバード、ミロカロス。早速特訓をするぞ!!」

立ち上がり、そう言うやいなや俺はその場を走り去る。

あと四日、それだけの時間でなんとかしないと………!

 

「ちょっと待ちなさい」

「ぐぇ——ぐふっ!!」

 

いきなりカレンに首根っこを掴まれ、息が詰まると同時に背中から地面に倒れ込む。

ひ、ひどい……。

 

「な、なにすんだ……」

「アンタ1人で特訓なんかしたってしょうがないでしょ、あたしも手伝ってやるから」

「えっ……いいのか?」

「……アンタ1人じゃ、危なっかしくて見てられないからよ」

 

少し頬を染め、そっぽを向くカレン。

俺は首を傾げるが、アヤトとモモカは何故かカレンに苦笑を浮かべていた。

 

 

………。

 

 

と、いうわけで。俺達は地下のバトルフィールドへとやってきた。

「いいグリード? アンタはまだ3体3のバトルをやった事がない。

 ただポケモンの数が増えたと思ったらダメよ、使用ポケモンが増えた事によって戦略の幅が広がり、当然使うタイプも増えている。

 だから、まずはこのバトルに慣れる事から始めなさい!」

「おぅ!!」

「じゃあまずはあたしから……エルフーン、出てきなさい!!」

「――エル、フーン!」

「エルフーン……えっと、たしかあのポケモンのタイプは……」

「エルフーンはくさタイプよ、それくらい覚えておきなさい」

「そ、そうだった……」

 

バトルの相手に教わるなんて、情けない……。

だけどくさタイプなら、コイツで――!

 

「ムクバード、君に決めた!!」

「ムク、バー!!」

「ムクバード……やっぱりひこうタイプで攻めてきたわね」

「相性ならムクバードの方が有利だぜ!!」

「甘いわね、グリード」

「え―――?」

「確かにくさタイプのエルフーンはひこうタイプのムクバードには弱いわよ。だけど……相性の優劣がバトルの勝敗を決めると思ったら大間違いね」

不適に笑うカレン。

 

「だけどそんな事くらい俺だってわかってるさ」

「いいえアンタはわかってない。だから教えてあげるわ……あたしの言葉がどういう事かを!!」

「なら見せてみろよ、ムクバード、でんこうせっかだ!!」

「ムクバード!!」

高速のでんこうせっかで、あっという間にエルフーンとの間合いを詰めるムクバード。

 

「かわしなさい!!」

「エルッ!!」

 

しかし、エルフーンは左にジャンプしてでんこうせっかを回避した。

でも、それくらいなら追撃できる!!

 

「ムクバード、つばさでうつ!!」

「ムックーッ!!」

 

右の翼による攻撃が、見事エルフーンを捉えた。

よし、このまま―――

そう思った矢先、エルフーンは空中で一回転して華麗に着地を決めてしまった。

 

「えっ!?」

そんな馬鹿な、弱点の攻撃を受けてもピンピンしてるなんて……。

「グリード、ポケモンバトルはただ技を当てればいいってわけじゃない。

 ムクバードの攻撃が当たる瞬間、エルフーンは上体を逸らしてダメージを最小限に留めたのよ」

 

「上体を、逸らす?」

そんな動きで、ダメージを軽減できるなんて……。

 

「ひかりのかべやリフレクター、ダメージを軽減できる技はいくらでもあるけど、ポケモンだっていつでも技が発動できるかはわからない。

 だから、ポケモンだけで動けるように鍛えなきゃバトルには勝てないわよ」

「…………」

「トレーナーという存在によって、ポケモンはいくらでも強くなれる。

 ただ技を出せば勝てるのは、野生のポケモンとのバトルだけ」

「くっ………ムクバード、つばめがえし!!」

「ムクバーッ!!」

さっきより強い攻撃なら、上体を逸らしたってダメージを軽減する事はできないはずだ!!

 

「――エルフーン、コットンガード」

「エルッ!!」

 

エルフーンの身体にある綿が光り、それは身体全体を覆い尽くした。

そこにムクバードのつばめがえしがぶつかり――まるで壁に当たったかのように弾かれてしまった。

でも、ムクバードのつばめがえしの方が速かったのに……。

 

「――あたしのエルフーンの特性はいたずらごころ、これは補助技を先制して発動できるの」

「特性……?」

「各々のポケモンが持っている特殊能力よ。

 ――勉強不足ねグリード、そんな事じゃバトルには勝てないわ」

「くそっ、ムクバード、ブレイブバードだ!!」

「エルフーン、ソーラービーム!!」

「エールッ!!」

「ムクッ!!?」

ブレイブバードが発動する前に、エルフーンのソーラービームがムクバードを地面に撃ち落とした。

 

「ムクバード!!」

『ムクバード戦闘不能、エルフーンの勝ち』

「――トレーナーの乱れはポケモンの乱れ。 グリード、トレーナーはポケモンに技を指示するだけの存在じゃない、互いに一心同体にならなければならないの」

「一心同体に……」

「トレーナーが自分を乱せば、ポケモンは充分に力を出す事ができない。あなた達のように心から信頼し合っているなら尚更よ。

 熱くなりすぎず、且つ自分のスタイルを忘れないように。

 そんな程度じゃ、いつまで経っても誰にも勝てないわよ」

「くっ………!」

「ほら、またこんなつまらない挑発に乗る」

「………っ」

「トレーナーとの駆け引きもバトルに必要よ、挑発をしろってわけじゃないけど、相手の言葉で自分を見失うのはダメ」

「そ、そうか……」

 

熱くなりすぎるな、それにバトルに集中しないと。

ポケモンバトルは、トレーナーだってポケモンと一緒に戦ってるんだ、そんな俺がだらしなかったら、ポケモン達はどうする?

 

「すー…はー……うん、よしっ!!」

深呼吸をして、自分をゼロに戻す。

「カレン、まだまだこれからだぜ!!」

「いいわよ、ならかかってきなさい。――エルフーン、戻って」

 

エルフーンを戻した?

すぐさま、別のモンスターボールを手に取るカレン。

 

「次はこの子よ。ピカチュウ、出てきなさい!」

「――ピッカ!」

 

「あのピカチュウか……だったら。ツタージャ、君に決めた!!」

「――タジャ」

ミロカロスでは不利だ、トレーナーとしての実力が離れている以上、少しでも自分に有利になるようなポケモンを出さなくては。

 

「ツタージャ、たいあたりだ!!」

「タジャ!」

短く小さな足をちょこちょこ動かしながら、ピカチュウに向かっていくツタージャ。

 

「かわしなさい!!」

「ピッ!」

だが、当然のごとくピカチュウに回避されてしまった。

 

「攻撃一辺倒じゃ勝てないわよ。ピカチュウ、10まんボルト!」

「ピカァァチュウゥゥッ!!」

「ツタージャ、かわすんだ!!」

「タジャ」

黄色い電撃をジャンプして回避するツタージャ。

 

「いいわよグリード、そうやって攻撃一辺倒じゃなくて、回避も織り交ぜて戦うの! ピカチュウ、でんこうせっか!!」

「ピッカァッ!!」

 

速い……!?

一瞬で間合いを詰めるピカチュウ、その尻尾は光沢のある鉄色に……。

――アイアンテール!?

 

「ピカチュウ、アイアンテール!!」

「ピカァ…チュゥッ!!」

「っ、ツタージャ、リーフブレード!!」

「タージャ!!」

 

上段からのアイアンテールを、右のリーフブレードで受け止め弾き返す。

あ、あぶねー……もう少し遅かったら。

 

「グリード、攻撃技を防御に使う……今の指示はよかったわよ」

「……こういう事なんだな、バトルって」

「そうよ、あたしだってバトルの全てをわかってるわけじゃない。

 だけど……今のあんたに教えられるくらいの力は、あるつもりよ」

 

そう言って笑みを浮かべるカレン、その笑みはとても穏やかなものだ。

……少しは、強くなれたんだろうか。

まだ半人前だけど、前より少しは……。

 

「タージャ、タジャ!」

「ツタージャ……」

ツタージャも、俺の成長を喜んでいるようだ。

 

「でもグリード、まだまだバトルが終わったわけじゃないわよ?」

「わかっているさ、いくぞツタージャ!!」

「タージャ!!」

「ピカチュウ、今のグリードとツタージャは油断ならないわよ。全力で、迎え撃ちましょう!!」

「ピカァッ、ピカチュウ!!」

「よーし、絶対に勝利してやるぜ!!」

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀  【ムクバード】♂
【使えるわざ】   【使えるわざ】
・つるのムチ    ・たいあたり
・リーフブレード  ・かぜおこし
・たいあたり    ・でんこうせっか
・かげぶんしん  ・つばさでうつ
・へびにらみ    ・つばめがえし
・グラスミキサー  ・ブレイブバード(未完成)
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